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悩むのが馬鹿らしい
2018年11月15日(木)
「女優というより、人としてどう生きるかが大事」。
そう語っていた彼女は見栄や世間体にとらわれなかった。
その飾らない普段の生活を知るだけでも、私たちは人生のヒントを数多く得ることができる。
「やり残したこと? そんなの、ありませんよ」
「女優としてではなく、一人の人間として、ひっそりと逝きたいのよ」
そう本誌のインタビューに語っていた樹木希林さん(享年75)が亡くなって2週間あまり。
彼女の人柄を偲ばせる逸話を知れば知るほど、人生100年時代を生きる私たちが学ぶべきことがたくさんあった。
なかでも、彼女が口にしていたという、このルールは多くの示唆に富んでいる。
「誰であろうとも、祝儀・不祝儀は一律3000円と決めている」
希林さんは決してケチな人ではない。内容を気に入れば、たとえノーギャラであっても映画に出演することがあった。
'04年の高額納税者名簿によれば、希林さんの推定所得は1億1719万円(納税額4087万円)。
その後も映画やCMなどに途切れることなく出演を続けてきた。
おカネに困ることはなく、また情にも厚い希林さんがなぜ冠婚葬祭に関しては、慎ましい金額しか包まなかったのだろうか。
「希林さんがよく言っていたのは、『考えるとキリがないから』ということ。
祝儀や香典の額に悩むなんて、無駄なことだと考えていたんでしょう。
安い金額しか包まないと公言することで、結婚式に呼んでくれなくなってもかまわない、とも思っていた。
実際、一人娘の内田也哉子さん(42歳)が俳優の本木雅弘さん(52歳)と明治神宮で挙式した際は、集まったご祝儀を、
希林さんは誰がいくら払ったなんてまったく気にせず、すべて赤十字に寄付したんです」(希林さんを知る映画関係者)
長寿社会であると同時に多死社会でもある現在、長生きすればするほど、人間関係は複雑になり、
冠婚葬祭の機会は増えていく。
そんな状況のなかで、祝儀・不祝儀の金額を一律で決めてしまえば、たしかに悩み事は一つ減ることになる。
「普段から希林さんは親しい人には『それ、いいですね』と言われると、服でも物でもすぐにプレゼントしていました。
結婚式だからといって、あらためて多額の金品を贈ることはないと考えていたのでしょうね」(前出・映画関係者)
祝儀も不祝儀もその金額は周囲に知られるものではない。だが、多くの人は受け取った側に
「この人、ケチだな」と思われたらどうしようなどと考えて見栄を張る。
言ってみれば、世間体からどれだけ自由でいられるかが、長い人生を賢く生きるコツなのだろう。
葬式のあり方について詳しい京都・正覺寺副住職で宗教ジャーナリストの鵜飼秀徳氏が言う。
「地方の葬式であれば、地域の慣習で香典の金額に一定の決まりがある場合がありますが、
それでも3000円ならけっして安いわけではない。
また都心部の葬式は、いまは家族葬や直葬、お別れの会など『個の葬送』にシフトしています。
参列者側も個々人の考えで香典の額を決めて問題ないと思います。
かつては世間体を気にして高額の香典を渡す方もいらっしゃいましたが、
大切なことは故人とお別れをしたいという気持ちです」
見栄や世間体など希林さんにとっては無縁のものだったに違いない。
評論家でNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子氏もこう賛同する。
「最近の家計調査のデータによれば、65歳以上は、家計に占める交際費の割合が多いんです。
65歳未満と比べると約2倍も高い。これは高齢者の家計が、年金のみの収入にもかかわらず、
長生きするほど香典を払う機会が多くなるからでしょう。
病気見舞いもそう。だから交際費が多くなる。
そうすると樹木さんのやり方しか防衛策はないかもしれません。
どんな人にも平等に、しかも少額に決める。その代わり、参列を欠かさない。これはとても合理的です。
勇気も必要で、ときには人から批判されることもあるかもしれません。
でも、しっかりと自分のポリシーを持続させ、周囲の意見に巻き込まれない。これは学ぶべきことです」
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希林さんから、
「悩むのが馬鹿らしい」
「執着しない」
「わが道を行く」を学んだ。
お坊さんよりもお坊さんらしい生き方をした人だと思う。
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この記事へのコメント
お嬢様・也哉子さんが、本木さんと結婚なさる頃についてを振り返り、本木さんは役者として確かなステイタスを
丁度いいタイミングで築いておられた頃でしたから、そのタイミングについてを希林さんはインタビューでの答えとして
「そうねぇ生活が安定するわねぇ。」と、冷めた口調で答えていらっしゃいました。
(本当は金銭が意図では無いのでしょうが、「生活」を表現するための「収入」を引き合いに出したのでは?と思いました。) 高額所得を得る有名女優でありながら、地位・名声・お金 に溺れることなく、平静で普通 を敢えて心掛けていらっしゃったようにお見受けしました。それは役者として「普通」を見失うことの無いように、自然体な演技のための日常を心掛けていらしたのかな、とも思えるし、また華美な世界(業界)への反骨精神のようにも思えます。
お金を持つ身でありながら、お金に溺れない生活に徹するという哲学を感じました。
Posted by もも at 2018年11月15日 11:23 | 返信
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