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抗認知症薬が必要な人、不必要な人
2018年12月11日(火)
毎日、認知症の人がかなり遠方からも受診される。
嬉しいけども地域の人しか診ないので申し訳ない。
薬の相談は主治医として下さい、と説明している。
嬉しいけども地域の人しか診ないので申し訳ない。
薬の相談は主治医として下さい、と説明している。
私は抗認知症薬を全否定しているわけではない。
だから「適量処方の会」をやっている。
効く人にだけ、適量処方すれば、とっても有用な物である。
その辺は、メデイアにいくら話してもわかってもらえない。
医師でも理解できない人が多いので仕方がないのかなあ。
最近の朝日新聞。→こちら
40人に一人とは、ずいぶんヤブ医者を載せたもんだ。
効きそうもない人には使わなければいいだけなのに。
静内の新聞にも。→こちら
意外かもしれないが、
「抗認知症薬がひ必要な人と、不必要な人」がいる。
「抗認知症薬が効く人と、効かない人」と言ってもいい。
シロスタゾールは、ほぼ万能といっていい。
しかしジェネリックは効かないので注意を。
全か無か、ではない。
メデイアが書くような単純なものではない。
上手に使えば、人の幸せにつながるのが薬なのだ。
その辺のニュアンスを、私たちがお伝えする機会が、
1月27日(日)の品川での第4回セミナーである。→こちら
PS)
いい年こいて、連日連夜、深夜も往診している。
「風邪をひいた」といって学校や職場を休む人がうらやましい。
私は、小中高と病欠はゼロ。
医者になってからも病欠はゼロ。
だから死ぬまでに一度でいいから風邪で休んでみたい。
貧乏性なので、休むことを知らずに、還暦を迎えた。
みなさま、仕事も忘年会も、ほどほどにしてね。
2日後に迫った、第二回目の歌舞伎町のライブに向けて
さらに深夜の練習を欠かさないオッサンは、かなりヘン。
でも12月13日(木)の池田清彦先生とのトークライブに来てね。→こちら
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この記事へのコメント
トークライブより、もっと週刊誌に派手派手に「そのクスリ必要ですか?」を描いて欲しい。
特に睡眠薬、精神安定剤、向精神薬、抗認知症薬。
これらのクスリが必要な人は、現在服用している人数の50分の一以下だと思う。
特に喫緊の問題は若い人。
不規則なシフトに合わせるために睡眠薬を飲んで寝る介護職、
勉強するためにカフェインを過剰摂取する受験生、
精神安定剤を飲んで職場のパワハラセクハラに耐えるお嬢さん、
「一人で悩まないで医療機関に相談しましょう」という甘い誘い文句につられて心療内科を受診してクスリ中毒になるお母さんなどなど、
どれもこれも病んでいるのは「日本社会」なのだ。
病気大国ニッポンが国民をビョーキにしているのだ。
Posted by 匿名 at 2018年12月12日 02:45 | 返信
「痛い~~!!」と大声で叫ぶ。その痛さのためか、臥床時には壁をドンドン叩く。
離床時であれば、テーブルをドンドン叩く。
あまりにも周囲への迷惑が甚だしく、入所者からも苦情が出る。当然、
職員からは看護師に何とかして欲しいと、再三再四にわたって上申した。
そこで、抗認知症薬のひとつ、イクセロン(一般名:リバスチグミン、貼薬)が
処方された。4.5mgではなく、9mgである。
症状並びに、左上肢に麻痺があることから、血管性認知症と鑑別した。
アルツハイマー型認知症らしさはほとんど見受けられない。
ならば、イクセロンは不向きな選択である(保険適用のことを言って
いるのではない)。
効くハズがないことは分かりきっていたが、案の定、大声は鎮まらない。
そこで、リスパダールが追加処方された。効くハズがないと思って様子を
観ていたが、予想通り効かない。大声は止まったが、それは過鎮静である。
食べられなくなり、涎を流し、意識朦朧となった。
「イクセロン効かないよ。リスパダール要らないよ」とは、当初から言って
いたが、聞き入れられることはなかった。
何を考えているのだか、この施設嘱託医。
アリセプトは5mgで維持しているのはいいが(ホントは無駄)、認知症の
中核症状にも周辺症状にも、せん妄にも何でもかんでもイクセロン9mg
である。それで効果不十分であれば、抑肝散を一律に3包/日である。
こんないい加減な処方では、周囲の入所者だけでなく、お世話する職員も
可哀想である。
あまりにも酷いので、大声を出す場に居た看護師にたまらず言った。
「なんとかしてください。入所者も私たちも迷惑しています!」と。
ちょうど書き終えたばかりの推奨される薬剤名のメモを渡した。
すると、看護師は言った。
「向精神薬は難しいですから・・・」
「嘱託医は、認知症専門医じゃないですから・・・」
「医師のプライドがありますから・・・」
最後の台詞にカチンときたので私は言った。
「医師のプライドと私らの穏やかな生活環境、どちらを守るんですか?!」
その看護師は絶句した。
最近、実感すること・・・
施設介護の質は、施設嘱託医の質で決まる!
Posted by YOSHIKI at 2018年12月12日 08:46 | 返信
日本老年精神医学雑誌11月号で「フランスで抗認知症薬保険償還が終了」という巻頭言が出され学会ウェブページで公開されています。
<以下、ウェブページより引用>
2018年8月,有用性の乏しさを理由に抗認知症薬がフランスの公的医療保険の対象から外された.元来同国の抗認知症薬保険償還率は15%にすぎず保険外しによる財政効果は小さいので2),経済的理由の保険外しではない.日本の当局は抗認知症薬の薬効を認知症の進行を見かけ上約半年遅らせる程度と見積もっているが3),2011年に承認された3剤については国内治験で有効性の証明に失敗したのに「海外で標準治療薬だから」という非科学的理由で承認された特殊な経緯がある5).ゆえに2018年8月以降,抗認知症薬の国内承認理由の一角は崩れているといえる.
抗認知症薬の有効性は臨床試験に関する論文で繰り返し報告されているが,一部論文は薬の有効性を強調しすぎる傾向があるので要注意である.日本のアルツハイマー型認知症患者へのリバスチグミンの有効性を検証したプラセボ対照試験の論文は主要評価項目のCIBIC plus-J(全般臨床症状の評価尺度)で9 mg/日群,18 mg/日群ともプラセボ群との間に有意差がなく有効性の証明に失敗しているのに,抄録でリバスチグミンはアルツハイマー型認知症において好ましい有効性と忍容性を有していると結論づけられているので,粉飾が認められると指摘されている6). 海外のレビー小体型認知症患者を対象にリバスチグミンの有効性を検討したプラセボ対照試験の論文では主要評価項目はNeuropsychiatric Inventory(NPI-4:精神症状・行動障害の評価指標)とスピード・スコア(コンピュータ化認知機能評価システムに対する反応時間)で,投与20週時点での治療企図解析によるとNPI-4点数は投与開始前と比べるとリバスチグミン群が2.5点の改善に対してプラセボ群が0.8点の改善で群間差は1.7点(95%信頼区間:-1.1~4.6)にとどまり統計的有意差が認められなかったのに,論文抄録においては「レビー小体型認知症に対しリバスチグミンは統計的かつ臨床的に有意な行動効果を生み出す」と結論づけられている4).コンピュータ化認知機能評価システムやその他の神経心理検査でリバスチグミン群はプラセボ群に比べて好ましい成績を示したと抄録に記載されているが,その割にMini-Mental State Examination(MMSE)で統計的有意差が認められなかった事実は記載されていない.統計的有意差が得られなかったNPI-4やMMSEの結果にふれずに「統計的かつ臨床的に有意な行動効果を生み出す」と抄録で結論づける科学的根拠はないであろう. 臨床試験論文を読む際は抄録だけで判断せず本文を確認する,試験の審査報告書等の論文以外の複数の情報源を収集するなどの姿勢が望ましい.幸い抗認知症薬の国内治験の審査報告書は医薬品医療機器総合機構のウェブページにおいて日本語で公開されており入手は容易である.専門医が試験結果を正しく読み解くことにより抗認知症薬を適切に取り扱うことができると思われる.
ドネペジル特定使用成績調査を報告した論文において,ドネペジルを投与された患者のうち4.6%にドネペジル以外のコリンエステラーゼ阻害薬が併用されていたと報告されている1).コリンエステラーゼ阻害薬は添付文書上併用が禁止されているので,ドネペジル投与例の4.6%に添付文書違反の不適切な薬物療法がされていることになる.抗認知症薬の情報が普及していないことが懸念される.適切な薬物療法実施のためのさらなる情報発信を,専門医側から一般臨床医や薬剤師に対してすべきであろう.それには各種公開講座や研修会の機会を利用することが望ましい.専門医が抗認知症薬の不適切処方を看過していると,フランスのように当局の掣肘によって抗認知症薬が保険対象外とさせられてしまうことにもなりかねない.
[文 献]
1)本間 昭,山川昇也,大嶽 恵,石井美佳ほか:アルツハイマー型認知症に対するドネペジル塩酸塩によるADAS-J cogを用いた調査;アリセプトR特定使用成績調査最終報告とADAS-J cog合計得点推移モデルの構築.老年精神医学雑誌,29 (4):413-426(2018).
2)五十嵐中:認知症治療薬「保険外し」で決着したフランス.医薬経済,1756:20-21(2018).
3)医薬品医療機器審査センター:審査報告書.平成11年7月29日.Available at : http://www.pmda.go.jp/drugs/1999/g991001/55repo01.pdf
4)McKeith I, Del Ser T, Spano P, Emre M, et al.: Efficacy of rivastigmine in dementia with Lewy bodies ; A randomised, double-blind, placebo-controlled international study. Lancet, 356(9247): 2031-2036(2000).
5)小田陽彦:抗認知症薬の意義.精神科,23(2):234-238 (2013).
6)奥村泰之:粉飾された臨床試験の判別法;臨床試験のすべての関係者へ.臨床評価(Clin Eval), 45(1):25-34(2017).
Posted by ヤブ医者 at 2018年12月29日 10:48 | 返信
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