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肺MAC症とどう向き合うか

2019年03月20日(水)

きらめきプラス4月号は「肺MAC症とどう向き合うか」で書いた。→こちら
肺MAC症は結構多い病気の割には、市民にあまり知られていない。
別に専門医ではないが、自分自身の肺MAC症診療の日常を書いた。

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きらめきプラス4月号
 
Q)

今回は新潟市内にお住まいの女性(58歳 独身)からのご相談です。
よろしくお願いいたします。
・・・・・・・・・・・・・・
去年父が癌で亡くなったため、81歳になる母と暮らしています。
今まで病気一つしなかった母が2カ月前に高熱を出してから苦しい、咳をするようになったので病院に連れて行ったところ原因が分からないといわれ、
専門病院を紹介していただきそこで肺非結核性抗酸菌症と診断されました。入院当初は特に問題もなく普通に食事をとっていた母でしたが、
徐々に食が細くなり、入院して3週間が経った今では好きな果物やゼリーもとても苦くてまずく感じるといって食べなくなってしました。
大好きだった甘いものも口にしません。味がないから大丈夫といって白飯だけを食べています。会話もほとんどなくなりました。
病院からは薬のせいだろうと言われました。また、とても難しい病気なので、薬は一生続けなければならないとも言われました。
以前長尾先生が非結核性抗酸菌症について書かれていたことを思い出し、読み返し、できれば私も家で母の面倒をみたいと考え病院に相談したのですが、
病院からは在宅介護は無理ですと言われてしまいました。元気がなくなっていく母を見るたびにこれからのことが不安でたまりません。
何かご意見をいただければありがたいのですが。よろしくお願いいたします。
 

A)

肺の非結核性抗酸菌症(MAC症)はありふれた病気です。結核は届け出伝染病ですが、非結核性抗酸菌症は人から人に感染することはなく、保健所への届け出も必要ありません。町医者でも普通に遭遇する病気です。胸部レントゲン検査で肺炎様陰影を認めたら精査のため痰を調べます。すると翌日、「抗酸菌陽性」と返ってくることがあります。そこで遺伝子検査をすればそれが結核菌かMAC症なのか2日程度で判明します。私の診療所では後者のほうがずっと多いです。MAC症をおこす菌は何種類かあり、病原性が多少異なるのですがこここではMAC菌と総称しましょう。MAC菌は土の中などどこでもいる細菌です。なんらかの原因で、おそらく免疫能が低下した時などに肺に入りそこに留まるという病気です。長引く咳や痰、時々出る血痰などの自覚症状がある人が多いですが、全く無症状の人もいます。そんな人は検診などでひっかかってきます。 
MAC症といってもいろんな程度があります。一側の肺の狭い範囲だけに留まっている場合や両側の肺全体に広がっている場合など実に様々な病態があります。狭い範囲に留まっているのに血痰がやたら出る人は良性疾患ですが完治を目指して肺を外科切除する場合もあります。当院ではそんな人が一人いました。多くの場合は薬物療法が検討されます。
 
医学書にはMAC症の薬物治療とは結核に準じた薬を使うと書いてあります。結核の場合は、3~4種類の抗結核薬を半年単位で使うことが多いのですが、MAC症も同様なことをすると書かれています。ただ、結核の場合は、結核菌を完全に封じ込めて肺炎の進展を抑え他人にもうつさないためにお薬を使います。しかしMAC症はお薬を使ってもMAC菌は完全に死滅はしません。「抑える」という表現がピッタリだと思います。そもそもゆっくり進行する両性の病気ですから、抑える必要があるのかという意見もあるでしょう。血痰が嫌だから薬を飲ませる、という場合もあります。時には肺全体に激しく広がり呼吸困難をきたしたり稀に命に関わる可能性があれば薬を使います。MAC症は結核のように「治す」病気ではなく、「上手く付き合う」というべき病気だと思います。
 
それぞれの抗結核薬には副作用が知られています。末梢神経障害、視神経障害、肝障害、腎障害などが有名ですが、複数の抗菌剤を長期間服用するといろんな副作用が出ることが予想されます。おそらくお母さまもそうなのでしょう。もし副作用が強ければ、薬を減量ないし中止します。病院の呼吸器内科専門医からガッツリ薬を処方されて紹介されても、副作用があれば減量ないし中止する人もいます。
 
個人的には肺MAC症の方に強い治療はしません。去痰剤や免疫能を上げる補中益気湯だけで様子を見ている人が大半です。というのもMAC症の大半は高齢者で薬の副作用が出やすかったり、他の薬との相互作用という問題が懸念されるからです。特に要介護の高齢者なら使いません。ただ「時々血痰が出て困る」という人には炎症を少し抑える目的でマクロライド系の抗生物質を1週間だけ使うことはあります。また血痰が出た時のために1週間分だけを手持ちにしている人が多いです。時々、1週間だけマクロライド系抗生剤を飲むのです。
 
いずれにせよMAC症があるために在宅療養が無理、というケースは一度も経験したことがありません。正直、無理な理由が分かりません。私は今も何人かのMAC症の人を在宅で診ています。最期まで診る人もいます。ですから、専門医やかかりつけ医とよく話しあうことが大切でしょう。MAC症の経験がまったく無いという医師もいるのでできれば理解のある医師を探してください。また違った展開になるのではないでしょうか。諦めないでください。上手く付き合ってください。

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この記事へのコメント

物凄くよく勉強なさっている女性ですね。
MAC肺非結核性抗酸菌症と言う言葉も知りませんでした。
「以前、長尾先生が、非結核性抗酸菌症について書かれていたことを思い出し..。」と書かれていたので、検索したら、確かにありました。
私の父も肺炎に罹って、入院後MRSA耐性ブドウ球菌に掛かって抗生物質が効かず、苦しみながら死んだのに、MACについては全く気にも留めていませんでした。
米山鍼灸院でも、咳と痰の止まらない女性(50歳代)が、いました。長い間通っていらっしゃいましたので、何だろうと、思っていました。
マイコ○○と言えば、クーラーの掃除をしていないので、クーラーの誇りのカビで罹る風邪があると「今日の健康」に書いてありました。これも抗酸菌症の一種なのでしょうか?

Posted by にゃんにゃん at 2019年03月20日 10:00 | 返信

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