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やっと薬の"やめどき"が医療界に浸透してきた

2019年04月28日(日)

「薬のやめどき」、を言い出して、数年が経過した。
当初はいろんな医師から叩かれたし、今も多少ある。
しかし徐々に医療界に浸透してきたような気がする。


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慢性疾患の薬物治療、「やめどきアリ」は75%

医療には様々な疑問が山積している。医学的な判断はもちろん、より良い医療を提供するための制度・仕組み、医師本人のキャリアプランなど。しかしこうした疑問には正解がないのが普通だ。だからPros Cons。他の医師はどう考えているのか? 自分にない考え方を知り、新しい視点を持つことで、明日からの医療はもっと良くなるに違いない。

Pros Cons:pros(賛成)とcons(反対)で、併せて賛否両論の意。ディベート用語の1つで、「メリットとデメリット」「賛成意見と反対意見」など、賛否に分かれて議論することを指す。

 

日経メディカルOnline医師会員を対象に調査。設問文「慢性疾患の薬物治療、やめどきはあると思いますか?」。全回答者数は3420人。「やめどきはある」2224人、「(エビデンスが示されない限り)やめるべきではない」761人、「この質問には答えない」435人。調査期間は2019年2月4日~2月12日

 一度始めたら継続することが多い慢性疾患の薬物治療。「やめどきはある」とした医師は、「一旦やめてみて変化がなければ」「一定の年齢になったら」「寝たきりや介護を必要とする状態になったら」やめると回答している。

 一方、推奨治療がエビデンスに基づいて決められているのだから、やめるかどうかもエビデンスに基づいて決めるべき、というのが「やめるべきではない」と回答した医師の考えだ。「やめると再発しやすい」「良好な状態を維持すべき」「治療中止後の再燃により治療抵抗性になることも多い」と、再発・再燃への懸念を示す声も少なくなかった。

「やめどきはある」を選んだ理由(抜粋)

・ポリファーマシーの回避が必要。(40代、救急科)
・体質・環境・食事などの状況次第で治療の必要性は大きく変わる。(50代、一般内科)
・ある期間変化がない時。(50代、眼科)
・一旦やめて症状が出なかったらそのままやめていい。(40代、一般外科)
・漫然とした治療は害のほうが大きい。(60代、一般内科)
・高齢になって腎機能が悪くなった時。(50代、循環器内科)
・デメリットがメリットを上回ったとき。(40代、循環器内科)
・適宜やめることを試すべき。(30代、精神科)
・薬剤の経済的負担、身体的負担の方が大きくなってきたら。(50代、呼吸器外科)
・エビデンスがないことがやめない理由になる方がおかしい。(30代、血液内科)
・介護が必要になった時点でほとんどの慢性疾患の治療は不要。(40代、感染症科)
・慢性疾患で薬物を中止しても再燃しない症例を経験する。(50代、リウマチ科)
・年齢に応じて予防投薬の考え方は変えるべきだから。(50代、脳神経外科)
・新しい薬を導入したら一番いらなさそうな薬はやめる。(40歳代、小児科)
・くすりはりすく。(60代、一般内科)
・外来で服薬の自己管理ができるか否か。(40代)
・外来の診察のたびに変更すべき点がないか確認する。(30代、脳神経外科)
・85歳超えたら全ての病気は経過観察。(30代、精神科)
・大きな手術の前に「手術前後に副作用が出るかもしれないので一旦中止します」といってやめ、再開しない。(60代、眼科)
・本人が自己休薬した瞬間。(40代、一般内科)
・万人にあてはまる良い指針がないだけで、やめどきは間違いなくある。(40代、形成外科)
・米国で、多剤併用の高齢患者が、死期が近いと言われてホスピスを紹介され、薬を全部やめた途端に元気になって10年生きた、という話を聞くし、自分も経験した。(40代、一般外科)
・患者と設定する治療のゴールによる。(20代、総合診療科)

「(エビデンスが示されない限り)やめるべきではない」を選んだ理由(抜粋)

・続けるべきだと思う。再燃の可能性があるため。(50代、一般外科)
・やめて患者の不利益になれば困る。(50代、一般外科)
・薬物療法中止に関するエビデンスに基づくべきだから。(50代、血液内科)
・患者が継続を希望するから。(60代、一般内科)
・終末期以外はやめる必要性を感じない。(50代、消化器外科)
・訴訟のリスクがあるから。(30代、放射線科)
・安定剤的な役割も期待する。(60代、一般内科)
・受診してもらうことで他疾患も見つけられる。(60代、一般内科)
・慢性疾患が慢性疾患たるゆえんと思われるが。(40代、腎臓内科)
・個人の経験などはあてにならない。やはりエビデンスが必要。(50代、小児科)
・寛解に持ち込むまでの労力を考えると、ポリファーマシーで困らない限りは継続すべき。(20代、救急科)
・骨粗鬆症、薬中止で骨折を3例経験した。(50代、一般内科)
・それが医療であるから。(50代、一般内科)
・やめて悪化することは避けたい。(50代、一般内科)
・良好な状態は維持すべきである。(60代、循環器内科)
・当然。治療を中止したら悪化する可能性がある。(40代、皮膚科)
・適当にやめるのが一番いけない。喘息ではあまりに適当に診察されすぎている。(60代、呼吸器内科)
・悪化の引き金にならないとも言えないから。(50代、一般内科)
・根気よく続けないと悪化する。(60代、腎臓内科)
・やめた人、来院しなくなった方の訃報を聞くことが少なくない。(60代、循環器内科)
・治療中止後の再燃が、治療抵抗性になることがまれではないから。(40代、リウマチ科)
・ベストを尽くすと教えられた。(60代、精神科)
・薬の力で良くなっているので。(40代、整形外科)
・血圧・尿酸・脂質異常はやめたら必ず悪化する。(50代、代謝・内分泌内科)
・CMLのTKIなどのように中止に関する臨床試験を行って評価すべき。(30代、血液内科)

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患者には医療を受けない権利がある 名郷直樹氏(武蔵国分寺公園クリニック[東京都国分寺市]院長)に聞く

医療には様々な疑問が山積している。医学的な判断はもちろん、より良い医療を提供するための制度・仕組み、医師本人のキャリアプランなど。しかしこうした疑問には正解がないのが普通だ。だからPros Cons。他の医師はどう考えているのか? 自分にない考え方を知り、新しい視点を持つことで、明日からの医療はもっと良くなるに違いない。

Pros Cons:pros(賛成)とcons(反対)で、併せて賛否両論の意。ディベート用語の1つで、「メリットとデメリット」「賛成意見と反対意見」など、賛否に分かれて議論することを指す。

 「慢性疾患の薬物治療、やめどきはあると思いますか?」。この問いに「やめどきはある」と回答した医師は2224人、「(エビデンスが示されない限り)やめるべきではない」と回答した医師は761人だった(関連記事:慢性疾患の薬物治療、やめどきありは75%)。この質問を、古くからエビデンスに基づく医療を実践し、EBMに関する教育にも力を入れている名郷直樹氏に聞いた。




慢性疾患の薬物治療のやめどきは、「患者がその治療をやめたくなったとき」だろう。患者には医療を受けない権利があるのだから。


 どんなにエビデンスがあろうが、どんなに合併症予防効果があろうが、患者は薬を飲まない権利がある。どのような状況であれ、患者から「飲むのをやめたい」と言われれば、それを選択肢の1つに加えることになる。

 例えば、高血圧の治療においては、患者に脳卒中が予防できると説明する。しかし、「予防できる」というのは嘘ではないが、全く正しいわけではない。多くの人は治療を受けなくても脳卒中にはならないからだ。一人ひとりの患者で考えると、降圧治療によって脳卒中や心不全を予防しても、それより前に癌で亡くなってしまう可能性だってある。この患者にとって、降圧治療が有用なのかどうか。そう考えると降圧治療が役に立つのは、あくまで神のみぞ知ることかもしれないが、脳卒中を発症してしまう患者だけだ。

 しかも脳卒中を発症する患者は、降圧治療を受けていても、脳卒中を発症する可能性が高い。服薬していても脳卒中がゼロになるわけではない。これまでのエビデンスは、血圧を10mmHg下げるとおよそ1年ぐらい脳卒中の発症を先送りできる、と捉えるべきだ。だから本来は「一所懸命服薬していただいて血圧を下げると5年後の脳卒中が6年後に先送りできますよ」という説明になるはずで、それを聞いて、服薬をやめようと思う患者も多いだろう。

 また、60代、70代の収縮期血圧170mmHgの患者を150mmHgにすると、5年間で脳卒中発症率が10%から6%まで下がるが、でもこれも90%以上の人は服薬してもしなくても脳卒中を発症しないということ。だから、服薬の意義を説明する際に「服薬してもしなくても、脳卒中とは関係ない生活が5年間待っているだけかもしれません」という説明も同時にすべきなのだと思う。

 しかし現実にはそういう説明はなされていない。「予防できるから飲みましょう」と説明するから、いくら「患者には薬物治療をやめる権利がある」といったところで、患者には服薬を続けるという選択しかできないのではないだろうか。

 患者の中には「脳卒中が心配です」と言う方もいるだろう。そういう患者は服薬を続ければいい。薬には確かに効果があるわけだから。服薬をやめた患者が、後でやっぱり心配になることもある。その時は「じゃあ再開しましょうか」といってもう一度処方箋を書けばいい。

 大事なのは、「患者が日々、ご機嫌に暮らせるかどうか」だ。そのことがあまりにもないがしろにされていないだろうか。患者が脳卒中になったら訴えられるかもしれないといって服薬させる。その結果、患者が、脳卒中にならない時間をとても憂鬱に過ごすのだとしたらナンセンスだ。しかも脳卒中になるリスクはゼロになっているわけでもないのに。

 確かに、5年後に脳卒中になっていないことは大事だ。それを否定するつもりはない。しかし、5年後に脳卒中になっていないことが大事だと言うあまりに、そこまでの時間があまりにも不愉快な時間になってしまっているのが問題だ。私は薬物治療を否定しているわけではない。「飲むのが嫌だ」という患者に向き合うべきだと言いたい。

 患者の気持ちや考えは常に移ろいゆくものだ。わずかな診察時間で「あなたの希望は?」などと聞いたって、応えられるわけがない、医師が患者の考えを固定化しようとしているだけだ。それではいけない。だからこそ相談なのだ。「やめたいのであれば相談に乗りますよ」「不安だったら薬を飲みますか」。ことあるごとにそう問い掛けてやればいい。

 慢性疾患に対する薬物治療について、やめどきを示したエビデンスはないと言うが、エビデンスがなくても「患者には服薬をやめるという選択肢はある」と言いたい。ただし、前医の処方が間違っていると言ってはいけない。あくまで「あなたがやめたいならばやめましょう」と説明すべきだ。余計な不幸を生むべきではない。

 医療経営の観点で見ると、こうした診療は間違いだろう。事業が成り立たなくなるかもしれない。しかし経営のために診療をしてはないけない。経営は経営で考えるべきだ。今は在宅医療をすれば、外来が赤字でも十分経営が成り立つのだから。


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この記事へのコメント

2017年Feb.2.3の週刊ポストでは薬の止め時(降圧剤)では
 ●75歳以上で血圧が120未満
 ●時々上の血圧が100を下回る
 ●食後、排尿後に低血圧でふらついて転んだ
 ●むくみや徐脈などの副作用が目立つ
と書いてあります。
私は、時々しか図っていないのですけど
右BP185/98 puls63   左Bp186/102 puls66
右BP182/102puls65   左Bp172/98 puls67
70歳なんで、当分Ca拮抗剤とファンケルの降圧剤は飲まざるを得ないです。頭痛は無いのですが、何となく疲れ気味で、歳のせいかなと思っていました。

Posted by にゃんにゃん at 2019年04月28日 09:59 | 返信

Ca拮抗剤、ファンケルの高血圧のサプリメント、防已黄耆湯(利尿剤)を飲んで、池田の友達に鍼灸治療をしてもらって、コープの血圧計で計ると140/80に下がっていました。
これからは、お酒は控えようと思いました。
フラミンゴ.ジ.アルージャのトムコリンズ美味しかったけど。

Posted by にゃんにゃん at 2019年05月01日 02:00 | 返信

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