医療には様々な疑問が山積している。医学的な判断はもちろん、より良い医療を提供するための制度・仕組み、医師本人のキャリアプランなど。しかしこうした疑問には正解がないのが普通だ。だからPros Cons。他の医師はどう考えているのか? 自分にない考え方を知り、新しい視点を持つことで、明日からの医療はもっと良くなるに違いない。
Pros Cons:pros(賛成)とcons(反対)で、併せて賛否両論の意。ディベート用語の1つで、「メリットとデメリット」「賛成意見と反対意見」など、賛否に分かれて議論することを指す。
一度始めたら継続することが多い慢性疾患の薬物治療。「やめどきはある」とした医師は、「一旦やめてみて変化がなければ」「一定の年齢になったら」「寝たきりや介護を必要とする状態になったら」やめると回答している。
一方、推奨治療がエビデンスに基づいて決められているのだから、やめるかどうかもエビデンスに基づいて決めるべき、というのが「やめるべきではない」と回答した医師の考えだ。「やめると再発しやすい」「良好な状態を維持すべき」「治療中止後の再燃により治療抵抗性になることも多い」と、再発・再燃への懸念を示す声も少なくなかった。
「やめどきはある」を選んだ理由(抜粋)
・ポリファーマシーの回避が必要。(40代、救急科)
・体質・環境・食事などの状況次第で治療の必要性は大きく変わる。(50代、一般内科)
・ある期間変化がない時。(50代、眼科)
・一旦やめて症状が出なかったらそのままやめていい。(40代、一般外科)
・漫然とした治療は害のほうが大きい。(60代、一般内科)
・高齢になって腎機能が悪くなった時。(50代、循環器内科)
・デメリットがメリットを上回ったとき。(40代、循環器内科)
・適宜やめることを試すべき。(30代、精神科)
・薬剤の経済的負担、身体的負担の方が大きくなってきたら。(50代、呼吸器外科)
・エビデンスがないことがやめない理由になる方がおかしい。(30代、血液内科)
・介護が必要になった時点でほとんどの慢性疾患の治療は不要。(40代、感染症科)
・慢性疾患で薬物を中止しても再燃しない症例を経験する。(50代、リウマチ科)
・年齢に応じて予防投薬の考え方は変えるべきだから。(50代、脳神経外科)
・新しい薬を導入したら一番いらなさそうな薬はやめる。(40歳代、小児科)
・くすりはりすく。(60代、一般内科)
・外来で服薬の自己管理ができるか否か。(40代)
・外来の診察のたびに変更すべき点がないか確認する。(30代、脳神経外科)
・85歳超えたら全ての病気は経過観察。(30代、精神科)
・大きな手術の前に「手術前後に副作用が出るかもしれないので一旦中止します」といってやめ、再開しない。(60代、眼科)
・本人が自己休薬した瞬間。(40代、一般内科)
・万人にあてはまる良い指針がないだけで、やめどきは間違いなくある。(40代、形成外科)
・米国で、多剤併用の高齢患者が、死期が近いと言われてホスピスを紹介され、薬を全部やめた途端に元気になって10年生きた、という話を聞くし、自分も経験した。(40代、一般外科)
・患者と設定する治療のゴールによる。(20代、総合診療科)
「(エビデンスが示されない限り)やめるべきではない」を選んだ理由(抜粋)
・続けるべきだと思う。再燃の可能性があるため。(50代、一般外科)
・やめて患者の不利益になれば困る。(50代、一般外科)
・薬物療法中止に関するエビデンスに基づくべきだから。(50代、血液内科)
・患者が継続を希望するから。(60代、一般内科)
・終末期以外はやめる必要性を感じない。(50代、消化器外科)
・訴訟のリスクがあるから。(30代、放射線科)
・安定剤的な役割も期待する。(60代、一般内科)
・受診してもらうことで他疾患も見つけられる。(60代、一般内科)
・慢性疾患が慢性疾患たるゆえんと思われるが。(40代、腎臓内科)
・個人の経験などはあてにならない。やはりエビデンスが必要。(50代、小児科)
・寛解に持ち込むまでの労力を考えると、ポリファーマシーで困らない限りは継続すべき。(20代、救急科)
・骨粗鬆症、薬中止で骨折を3例経験した。(50代、一般内科)
・それが医療であるから。(50代、一般内科)
・やめて悪化することは避けたい。(50代、一般内科)
・良好な状態は維持すべきである。(60代、循環器内科)
・当然。治療を中止したら悪化する可能性がある。(40代、皮膚科)
・適当にやめるのが一番いけない。喘息ではあまりに適当に診察されすぎている。(60代、呼吸器内科)
・悪化の引き金にならないとも言えないから。(50代、一般内科)
・根気よく続けないと悪化する。(60代、腎臓内科)
・やめた人、来院しなくなった方の訃報を聞くことが少なくない。(60代、循環器内科)
・治療中止後の再燃が、治療抵抗性になることがまれではないから。(40代、リウマチ科)
・ベストを尽くすと教えられた。(60代、精神科)
・薬の力で良くなっているので。(40代、整形外科)
・血圧・尿酸・脂質異常はやめたら必ず悪化する。(50代、代謝・内分泌内科)
・CMLのTKIなどのように中止に関する臨床試験を行って評価すべき。(30代、血液内科)
この記事へのコメント
2017年Feb.2.3の週刊ポストでは薬の止め時(降圧剤)では
●75歳以上で血圧が120未満
●時々上の血圧が100を下回る
●食後、排尿後に低血圧でふらついて転んだ
●むくみや徐脈などの副作用が目立つ
と書いてあります。
私は、時々しか図っていないのですけど
右BP185/98 puls63 左Bp186/102 puls66
右BP182/102puls65 左Bp172/98 puls67
70歳なんで、当分Ca拮抗剤とファンケルの降圧剤は飲まざるを得ないです。頭痛は無いのですが、何となく疲れ気味で、歳のせいかなと思っていました。
Posted by にゃんにゃん at 2019年04月28日 09:59 | 返信
Ca拮抗剤、ファンケルの高血圧のサプリメント、防已黄耆湯(利尿剤)を飲んで、池田の友達に鍼灸治療をしてもらって、コープの血圧計で計ると140/80に下がっていました。
これからは、お酒は控えようと思いました。
フラミンゴ.ジ.アルージャのトムコリンズ美味しかったけど。
Posted by にゃんにゃん at 2019年05月01日 02:00 | 返信
真実を語る医療従事者の方々を尊敬致します。
薬のやめどきを発信されていることに敬意を表しさせて戴きます。
真実を話される方に出会えて嬉しいです。
これからも、本当の事を教えて戴きたいと存じます。感謝
Posted by sachinotomo at 2021年08月28日 04:29 | 返信
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