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距離が気になる施設緩和ケアと在宅緩和ケア
2019年08月09日(金)
こんなことを書くと、同業者から袋叩きにあうかもしれない。
しかし医療タイムス医療タイムス8月号に、つい本音を書いた。
施設緩和ケアと在宅緩和ケアのキ間にあまりにもこが課題だ。
しかし医療タイムス医療タイムス8月号に、つい本音を書いた。
施設緩和ケアと在宅緩和ケアのキ間にあまりにもこが課題だ。
医療タイムス8月号 距離が気になる施設緩和ケアと在宅緩和ケア 長尾和宏
日本緩和医療学会の会員として毎年、学会に参加している。そこでいろんな知り合いに会う。在宅医療に従事している医師からは「この学会は病院のもので在宅とは関係ない話ばかり」という声を異口同音に聞く。実際、役員から在宅医は年々外れている。
年間37万人ががんで亡くなっているという。病院や施設が多いだろうが、在宅でのがん死の数も確実に年々増えている。ちなみに当院では年間140人の在宅看取りがあるが半数ががんである。看取り率という指標で表現するならがんの看取り率は9割を超えている。もちろん全員、十分な緩和ケアを提供したから自宅でお看取りができる。がん患者さんにとって「在宅」という療養の場はますます重要になる。
10年位前から専門医でないと処方できない薬ができた。メサドンがその代表であった。寝たきりになった本人に代わって2週間毎に家族がそれを手にいれるためだけにメサドン受診を強要されていた。その後、要件が緩和されたが、次にも専門医しか処方できない緩和ケア薬が登場し、病院と在宅では「言語」が全く違うと感じる。最近もあるホスピスの医師と話していると、そこではフェンタニールパッチ製剤はあまり使わずほとんどがPCAポンプだという。在宅ホスピスではエースであるパッチ製剤が施設ホスピスではベンチの奥の控え選手だというのだ。このように同じがん患者に対して、療養の場によってまったく違う「道具」で対応している。
終末期の深い持続的鎮静については大きな謎がある。在宅での鎮静率が0~5%である一方、病院では50~70%のところもあると聞く。では10倍以上もの差がある鎮静率をどう解釈すればいいのか。ある研究会で緩和の専門医は「在宅医は高齢のがん患者しか診ていない。私たちは若いがん患者も多く主に難治例を診ているので鎮静率に差があるのは当然」と語った。しかしそれは間違いである、と断言できる。私はがん患者さんを断らない。そして10代、20代、30代、40代、50代の若いがん患者さんも最期までケアして看取っている。時にPCAポンプも使い工夫しながら緩和ケアを提供しているので決して易しい症例だけを選ぶなどあり得ないからだ。私はある病院では最期まで500~1000ml以上の点滴をして患者を「溺れさす」から鎮静需要が高まるのではないかと推測している。それは30年前、私自身がそれをしていたからそう思う。詳細は「犯人は私だった」(日本医事新法報社)に書いた。いずれにせよ、たとえば鎮静率の差をオープンに議論する場が緩和医療学会であって欲しい。しかしある医師から「それはタブーだよ」と耳打ちされた。「鎮静して看取るのが緩和の専門医のアイデンテイテイなのに、お前のようなただの町医者が自宅で簡単に平穏死されると知られたら邪魔なんだよ」と。石飛幸三先生は老衰の平穏死を述べておられるが、私はがんの平穏死も述べてきた。なぜ小林麻央さんが最期まで食べて「愛してる」と言って旅立てたのかを全国各地で説いてきた。一言で言えば自然な経過に任せて、「枯れる」を良しとすればそうなると。しかし鎮静を要さない「平穏死」は緩和の専門医には不都合なんだよ、と忠告された。それが緩和医療学会で在宅医を見かけなくなった理由なのだろうか。
緩和ケアは国民のものである。医学会や研究会や、ましてや専門医のためにあるわけではない。もはやがんも非がんも問わないすべての医療の土台にならなければいけない。地域包括ケア時代においては「地域緩和ケア」という概念で再構築するべきだ。しかしそれに逆行するかのように施設緩和ケアと在宅緩和ケアの距離は年々離れる一方である。一方、両者の距離を埋められるのは医師しかないと思う。
PS)
このテーマについて、8月31日(土)に徹底討論します。
興味のある人は来てください。
定員100名になり次第、締め切ります。
★8/31(土) 新宿、大阪でも大好評の「オトナのための死の授業」を神戸で行います。
http://www.drnagao.com/lecture/lec_0831.html
ドクター長尾のオトナのための死の授業6in神戸
「尊厳死と安楽死のあいだ」
~三人の医者が本音で語る!終末期の深い持続的鎮静は医療?犯罪?~
日時:8月31日(土) 16:00~(15:30開場)
会場:神戸三宮シアター・エート(三宮から徒歩3分)
参加費:2,000円(税込)
事前予約制、お支払は当日会場にて。途中入場可。
プログラム:
16:00~ 謎のシンガー デニー長尾ライブ
17:30~ 激論「痛くない最期は、自宅がいいか?ホスピスがいいか?」
在宅医とホスピス医が、激論トーク
登壇:松田良信医師(市立芦屋病院 緩和ケア内科)
桜井 隆医師(さくらいクリニック院長)
予約・お問合せ:
メール komiya@bookman.co.jp
FAX 03-5226-9599(ブックマン社 長尾和宏係)
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