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小平市で木内みどりさんを偲びながら独演会

2019年11月22日(金)

昨日は東京都からの依頼で小平市で講演。
600人もの人に3時間半、お話をした。
13時から開始して、終われば薄暗かった。
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東京都の国民保健連合会から平穏死の講演依頼があった。
行政から頼まれた大仕事なので、喜んでお引き受けした。
 
偉い人の挨拶もない。
まったくの独演会だ。
 
「今日は長尾先生のワンマンステージですから自由にやってください」
と言われたので20分の休憩をはさみ200分の独演会をさせて頂いた。
 
それでも言い足りない。
まあ、半分くらいかな。
 
当然、歌など歌っている暇はない。
そう思って終わると会場からある質問が。
 
「11月11日の文京区では歌ったのに
 今日は歌ってくれないのですか?」

 
涙が出るくらい嬉しい質問だ。

待ってました、とは言わないが、
さっそく一曲、歌わせて頂いた。
 
もちろん「やらせ」ではない。
文京区も「やらせ」ではない。
 
立派な会場なので、本当は歌いたかった。
狙っていた。
 
でも東京都さんに遠慮していたのだ。
そう、こう見えても結構小心者です。
 
午前中は、雑誌の取材。
歩く本のムック本がまた出るらしい。
 
歩くことならいいだろう。
誰にも怒られない。大歓迎だ。
 
新宿から小平まで30分だ。
小平は本当にいいところだった。
 
11月11日の文京講演と違ったのは、一昨日、木内みどりさんが
急逝されたので、急遽彼女が出ていた映画「大病人」の話もした。
 
夜は白金台の東大医科研の講堂で有識者に講演した。
たった1時間だったので、どれだけ伝わったか心配だ。
 
終了後は、医歯薬連合学会の会議へ。
来年5月23、24日の打ち合わせだ。
 

以下、今夜の有料メルマガ →こちら
から一部転載する。


 
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 
まさかこの人の訃報を聞くとは思わな
かった。女優の木内みどりさんの死に、驚い
ている。まだ69歳だ。心臓突然死との発表。
木内さんとは、少なからざるご縁があった。
 
木内さんが尼崎に来てくださり、一緒に講演
会をしたのは、今から5年前の2014年の
ことである。
「巻子の言霊」という作品をご存知だろうか。
柳原三佳さんの渾身のノンフィクション作品。
 
この作品のことを、図らずも「いい夫婦」の
日に紹介することになったことも、もしかし
たら、木内さんの演出かもしれないが…。
「巻子の言霊」は、富山で暮らす松尾幸郎さ
んと妻・巻子さんのご夫婦の物語。
 
幸郎さんに長年連れ添ってきた妻、巻子さん
はある日突然、若者の居眠り運転による交通
事故に遭い、命はとりとめたものの、全身麻
痺となってしまう。2週間ほど意識不明だっ
た巻子さんは、目を覚ました。動かせるのは、
目とまぶただけ。
食事ができないので、胃ろうとなった。
呼吸ができないので、気管挿管され、ペース
メーカーが埋め込まれた。
昔で言う、いわゆる植物状態(今はこの言葉
は禁句だが)となってしまう。
 
しかし、夫の松尾さんは、あきらめなかった。
何を? 妻とのコミュニケーションの手段を
である。
「まぶた」で会話をすることを試みる。
 
巻子さんの脳は、損傷を受けていなかった。
やがて、巻子さんは、「はい」なら、まばた
きをパチパチと2回。「いいえ」なら、目を
閉じるようになった。
会話、ができたのだ。さらに松尾さんは、
「レッツ・チャット」という、意思伝達装置
を導入することを試みる。
巻子さんのまばたきを見ながら、一文字一文
字、松尾さんはひらがな文字を追っていく。
会話ができた!
 
しかし、巻子さんが伝えたかった言葉に、
松尾さんは文字を追いながら呆然となる。
「ま・き・こ・を・こ・ろ・し・て・く・だ
・さ・い」だったのだ…。
 
この「巻子の言霊」は2012年にNHKで
ドラマ化され、幸郎役を故・夏八木勲さん、
そして巻子役を、木内みどりさんが務められ
た。
私は、この本の出版当時よりずっと松尾さん
の活動を応援し、たくさんのことを学ばせて
頂いたため、この物語がドラマ化になった時
は本当に嬉しかったのだ。
 
木内みどりさんも、巻子さんを演じることに
よって、その死生観が大きく変わっていく。
延命治療とは何か? 人の死とは?
意気投合し、2014年の尼崎市民フォーラ
ムにお越しくださり、この「巻子の言霊」の
語り講演をしてくださったのだ。

女優さんの朗読とは、こんなにスゴイものな
のかと、目が離せなかった。

淡々と語りながらも、その一言一言に、巻子
さんの悲しみが、そして巻子さんと同化した
木内さんの怒りが伝わってきて、会場がしん
となったのを覚えている。
 
どうか、そのときの動画をお時間あるときに
見てほしい。うちの国見カメラマンの記録だ。
木内みどりさん、渾身の「語り」
『巻子の言霊』
http://urx3.nu/08Lm
 
その夜、木内さんと食事をした。
尊厳死に大いに賛同してくださり、話がはず
んだ。そして話題は、伊丹十三監督の映画、
『大病人』へ。1993年のこの作品に、
木内みどりさんは、怖い看護婦長役で出られ
ている。津川雅彦さん(この方も亡くなって
しまった…)演じる、超延命主義の大病院の
ドクターを叱り飛ばす役である。
 
私は、何度も何度もこの映画を観ていて、特
に木内さんと津川さんがやり合うシーンが大
好きだと告げたのだ。
「そうそう、あのときの撮影はね本当に津川
さんと取っ組み合いをしたのよ!」
と笑っておられた。
この『大病人』という作品が、台湾がリビン
グウイルを法的担保にするときの原動力にな
ったのですよ、とお伝えしたら、
「知らなかったわ! 台湾でリビングウイルが
法的担保されたことさえ知らなかった。

なんで日本の映画が台湾で原動力になっているの
に、日本ではならないのですか。長尾先生、
もっとしっかりしてくださいよ」
とハッパをかけられた。
 
……木内さん、あなたのご尽力のおかげで、
日本のリビングウイルも今年、一つ前進しま
したよ、今度会ったら、そうお伝えしなくて
はと思っていたのに、それを伝えられぬまま、
突然あの世に旅立ってしまった。

竹を割ったような性格というか、女優らしい
甘さはなく、何かにつけて「潔い」人だった。
 
だけど、死に方までがここまで、潔いなんて。
 
今頃、天国で巻子さんと会っているかもしれ
ない。日本はどんどんダメになっていく…と
怒っておられるかもしれない。

木内みどりさん、たくさんの気づきをありが
とう。心からのご冥福をお祈りします。

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この記事へのコメント

もう五年前なんですね。
やはりブログで、木内さん渾身の語り『巻子の言霊』に聞き入って、
木内さんの語りに引き込まれ、書き込みした記憶があります。
再度、聞いてみました。やはり感動しました。松尾さんが書かれたメッセージも
素晴らしいです。五年の年月とは思えない程、現代に通用すると思います。
交通戦争:軽率が招く悲惨な自動車事故 が増える一方の現代ですから。
sosial painと spiritual pain を深く考える、実感するメッセージです。
木内みどりさん を思い浮かべれば、その声が浮かびます。さっぱりとした人柄と笑顔が
イメージできます。まさに潔い人生ですね。
ニュースで報じられていた写真、SNSにアップされた、真っ直ぐに両手を上に伸ばした姿。
笑顔で、メッセージ欄には『またね』...とありました。
...ご冥福をお祈り申し上げます。...

Posted by もも at 2019年11月23日 11:38 | 返信

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