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感染症法2類を5類に落とすべき
2020年06月04日(木)
公論6月号 感染症法2類を5類に落とすべき
新型コロナは高齢者施設の問題だ
コロナよりも風評が怖い
2月中旬、ダイアモンドプリンセス号での集団感染で「新型コロナウイルス(コロナ)のPCR陽性者の8割は無症状ないし軽症」と発表された。コロナ対策においてこの事実は極めて大きい。これを聞いた瞬間、「ああ、私は死なないな」と思った。毎冬かかるインフルのようにたくさんの人が感染するが、暫くすると抗体ができて同じシーズンには二度と感染しない。同様にコロナも非高齢者を中心に日本人の7割が抗体を獲得する集団免疫で収束するのだろう。それまでは高齢者をコロナ感染で死なせない戦略が必要だと直感した。
ちなみに私はインフルのワクチン接種を一度も受けたことがない。もちろん職員たちには全員受けさせるが自分一人だけ打っていない。既に強い免疫を獲得している、と勝手に思っている。25年間も町医者をやっていると累計、何千人からのインフルウイルスに接している。1日に何人ものインフル患者さんの咳や痰を浴びる。それでかかりそうになっても獲得免疫が阻止しているのだろう。ベテランスタッフ達もかからない。毎年、インフルにかかるのは新入社員だけである。常にウイルスを浴びることを生業にしているため、ワクチンよりも自然な獲得免疫の方がずっと効果があると勝手に思っている。そういえばベテラン開業医がインフルにかかったという話を聞かない。
そうした経緯があるのでコロナも怖くない。私が怖いのは自分が感染していることに気が付かず知らぬ間に患者さんやスタッフにバラまいてしまうことだ。そうなるとクラスター発生や集団感染というレッテルを貼られて新聞やテレビで事件のように報じられる。保健所が飛んできて2~4週間は外来も在宅も診療停止になり、濃厚接触者の足取りが調べられる。つまりもし私が感染すれば何千人、いや何万人に多大な迷惑をかけてしまう。気が付けば風評でクリニックが潰れるかもしれない。実は開業医や介護施設関係者はそれを一番恐れているのだ。
札幌「アカシアハイツ」の検証を
札幌市の社会福祉法人が運営する老人健康施設(老健)アカシアハイツにおける集団発生をご存じだろうか。入所者と職員の合計87名が施設内感染し、15名が亡くなられた。感染者を受け入れる病床がひっ迫していたため保健所長が「施設で看取って」という趣旨の指示をした、という。つまり感染が判明しても医療を受けられず家族に会えないまま亡くなった。スタッフはほとんど辞め残ったスタッフは自家用車に寝泊まりしながら頑張っているという。1日2食しか提供できず、まさに野戦病院の様相だ。ようやく国や北海道が支援に入ったが施設のHPを見ると夜勤の看護師を「一晩85000円で急募」と書かれている。
私はほぼリアルタイムで起きているアカシアハイツの惨状を知った時、これはどこでも起きる可能性がある事例だと思った。我が国におけるコロナによる死亡者は900名弱であるが、9割以上が60歳以上の人で、40歳未満の死亡者は3人しかいない。つまり「死」という視点からはコロナは高齢者の問題である。若い人の致死率はインフルより低い。高齢者といっても元気な人から寝たきりの人まで様々だが、元気な高齢者は入院加療でいいだろう。しかし認知症の人はそもそも隔離病棟に入院できない人もいる。あるいは寝たきり・胃ろう栄養の要介護5の超高齢者を強制入院させる意義とは一体何だろう。
第一波が一旦落ち着けば、高齢者施設や在宅療養中のコロナ感染をどう扱うかを早急に議論すべきだ。PCR検査を拒否する人や入院などの強制隔離を拒否する人にどう対応すべきか、倫理的な配慮を含めて実践的なマニュアルを作るべきだ
2類外しでステーホーム症候群を解消
「ステイホーム」が効きすぎて、自粛が解除されても2ケ月以上、自宅に引きこもっている人が沢山いる。テレビのワイドショーが有名人のコロナ死を煽りすぎたため、恐怖が引きおこすストレス病の方がコロナよりも圧倒的に多い。彼らは恐怖から医療機関に行くことができない。現在、オンライン診療で対応している方は全員が微熱相談である。2ケ月間自宅に閉じこもることはすさまじいストレスである。その結果、副腎からアドレナリンをはじめとするストレスホルモンが出る。交感神経緊張状態が続くと微熱、うつ、倦怠感、免疫能の低下(帯状疱疹など)、身体機能や認知機能の低下などが起きる。まさに「ステイホーム症候群」である。
私はそれを見越して「歩くだけでウイルス感染に勝てる」という本を出した。こんな時こそ自宅に籠らず前後5mの距離をとりマスクを着用して、屋外を紫外線を浴びながらこまめに歩くべきなのだ。だから「ステイホームタウン!」と言い直すべきだ。高齢者施設ならば車椅子でせめて中庭に出して日光浴をすべきなのだが6月になっても面会禁止どころか中庭にも出してもらえない。高齢者施設で一人でも感染者が出ると、現在の法律とメデイアでは、「一発アウト!」なのである。
コロナは2月1日に感染症法2類に指定された。2類とは他にSARSやMERSや結核がある。感染が確認されると保健所の指示で強制的に病院等に隔離される。しかし市中感染となった現段階では2類指定が高齢者施設での検査や処置など現場の医師の柔軟な対応を阻止し、介護施設での監禁が続き二次被害を増幅している。ようやく5月28日の参議院の厚生労働員会で「2類外し」が議論された。私は一日も早くインフルと同じ5類に落とすことを強く望む。
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先日、参議院厚生労働委員会で
梅村聡議員が、これを質問した。
その結果、誰ひとり反対していない、そうだ。
また厚労省幹部も反対している人はいないと。
じゃあ、なんで、まだ2類なの???
これを、近々、大物議員が本会議で質問すると。
それで、ここに書いたようになるといい。
インフルと同じでいい。
詳しいことは、まだまだ続く(?)コロナチャンネルで。
ところで・・・
ちょっと蒸し暑いね。
診察室も、暑いです。
1~5月の在宅看取りが55人、だった。
まさに「平穏死」と並行しての発熱対応。
先日、こんな手紙が、届いた。
コロナ禍の中の平穏死の一人。
町医者にとって、こんな手紙こそが宝物であるの。
しかし、町医者が若い患者さんを穏やかに看取ることは、
鎮静が得意なホスピスのお医者さんから怒られるのだが。
不都合な真実を発信してはや10年が経過したが、
いつ殺されても仕方がない存在だと自覚している。
今日も、微熱でパニックになった人から(初診)
コロナ携帯にいきなり電話がかかってきた。
2類扱いが差別、パニック、そして経済不況を加速している。
国会議員さんも厚労省幹部も「2類のやめどき」を
考えたこともない、というから驚き桃の木、である。
このブログとコロナチャンネルを見てくれたらいいな。
今の時点で、戦略を変えないと、日本は沈んでしまうよ。
きっと国会で、コロナチャンネルと同じ議論がなされる。(はず)
この10年間、ここで発信したとおりになってきた。
だから、今回もそうなる、と思う。
PS)
コロナチャンネル#46
どうすりゃいいのさ、東京アラート、大阪アラート
https://youtu.be/BGHstiVH7cg
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この記事へのコメント
長尾先生、読者の皆さん、違う分野の識者からも声があがっています!
「感染症法2類を5類に落とすべき」を訴える記事がありました。日本総合研究所の調査部長・チーフエコノミスト、枩村 秀樹(まつむら ひでき)さんという方が昨日アップされた、東洋経済オンラインの記事です。
第2波への対策の一つとして、「指定解除」を提言しています。
これまで長尾ブログ以外ではほとんど聞かれず不思議で残念に思っていましたが、やっと!という思いです。
日本ではコロナよりも恐慌を招くほうが怖い 2020年6月4日 枩村 秀樹
https://toyokeizai.net/articles/-/354197
第2:指定感染症の解除
第2は、指定感染症の解除である。
政府は1月28日、新型コロナウイルスを感染症法で定める「指定感染症」に指定した。これにより、新型コロナの感染者を強制的に入院させたり、就業を制限したりできるようになった。当時は中国武漢での死亡者急増が報道され、世界的な感染拡大が懸念された時期であり、指定感染症の指定は当然の対応であった。
しかし、当時から状況は大きく変わった。まず、米欧と違って日本人の死亡率は非常に低く、新型コロナの危険性が季節性インフルエンザと大差ない可能性が高まった。新型コロナに感染して「入院治療等を要する者」も累計1484人にすぎない。
少なくとも、感染症法第6条の「当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」には該当しないという印象である。さらに、感染しても症状が出ない不顕性感染が多いことも分かった。そのため、元気な感染者まですべて入院・隔離させてしまうと、かえって院内感染を拡大させる可能性を高め、医療崩壊を招きかねない。
指定感染症に指定すると、流行抑制に力を発揮する反面、医療現場の負荷も高める。これまでに判明した新型コロナの危険性を考えると、指定感染症を解除して、通常の感染症対応に戻しても大丈夫ではないだろうか。重症化リスクが低い若年層は、インフルエンザと同様に自宅待機でも深刻な問題になりにくい。そして、高齢者や基礎疾患を持っているハイリスク者に対して医療資源を集中させたほうが、第2波での対応力を高めることができると考えられる。
Hideki Matsumura
Posted by みるく at 2020年06月04日 10:53 | 返信
いつも本当にありがとうございます。
御手紙を拝読し、胸に込み上げてくる何かを感じております。
私も、心から御冥福を御祈り申し上げます。
ところで、先ほど「2021年前半開始」国民全員に接種 新型コロナワクチン巡る厚労省プラン・・との情報を目にし、言いようのない違和感を覚えております。
https://mainichi.jp/articles/20200602/k00/00m/040/219000c
そして、冒頭に戻りますが、このような真の宝物とも云うべき御手紙を送られる長尾先生。
その長尾先生と出合えた(私が見つけた)事、それは私にとっての宝です。
長尾先生のような方が自由に認められ、評価され、皆が元気に有意義な毎日を幸せに送る事の出来る社会を目にする日を・・楽しみにしております。
Posted by かえる at 2020年06月04日 01:12 | 返信
感染症学会とか、専門家会議が断固反対するでしょう。
2類が外されれば、今まで日陰の存在であった彼らの晴れ舞台のステージ、仕事はなくなるので。
PCR検査が中途半端で、感染報告者数が一定数存在してなくならない状態が延々と継続するのがおそらく理想なのでしょう。せっかく来た仕事?をそう易々と彼らが手放すとは思えない。
感染報告が続くことで、マスコミ報道が続き、専門家がご意見番として呼ばれ続ける。
マスコミにとっても専門家にとっても今の状況がずっと続くことが望ましい。
その一方で一般市民は神経をすり減らして、メンタルがやられていく、経済と社会はどんどん沈んでいく
これでいいのか?
Posted by マッドネス at 2020年06月04日 06:36 | 返信
アカシアハイツのスタッフはほとんど辞め・・・アカシアハイツでは介護崩壊がすでに起きていたのですね。
今回の介護崩壊は、高齢のコロナ患者を受け入れられない「医療崩壊」が原因ですが、「施設で看取って」という趣旨の指示をした保健所長が悪いとも思いません。保健所長はギリギリの状況に追い込まれ、判断を強いられた犠牲者ではないでしょうか。
結局、新型コロナの2類を5類に落とすしかないのでしょう。
Posted by 丘の上の変人 at 2020年06月04日 07:36 | 返信
長尾先生、おっしゃる通りだと思います。
症状別の危険性の把握とそれに合わせた対策が重要と思いますがいかがでしょうか?
なぜかと言いますと、無症状感染者からの感染も重症状感染者からの感染も同じだと思われていることも風評被害や差別などの原因の一つだと考えられるからです。新型コロナウイルス感染症では無症状感染者が有症状感染者の数倍(10倍以上?)いると言われています。このように多くの無症状感染者がいる場合、無症状感染者のほとんどは無症状感染者からの感染と考えられます。つまり、無症状感染者からの感染は発症率が低いことになります。例えば、有症状感染者の10倍いるとし、感染経路不明者(有症状感染者の約半数)が全て無症状感染者からの感染だとしても、発症率は5%程度ということになるからです。
無症状感染者からの感染でそれぞれ無症状、軽症状、重症状になる割合、同様に各症状からの感染での症状の割合を明確にして、危険性に応じた対応をすべきだと思いますがいかがでしょうか?
全部まとめて一律の対策は最も効率が悪い対策です。ポイントを絞って効率的な対策を行う必要があると思います。
Posted by 石川 at 2020年06月05日 12:27 | 返信
先生への心からの感謝のお手紙、心に沁みました。誰もが生きたいように生きて死んでいけたらと願っているはずです。しかし、なかなか難しい状況にもなってしまいがち。そんな時、病気ではなくその人を診て、支えてくれる医師がいたらどんなに心強いことでしょう。これからの若い医師は、長尾先生を見本にして育っていってほしいと心から思います。各医学部に長尾先生の講座がほしいけれど、それは現実的には難しいと思いますので、コロナチャンネルみたいに、医学部学生向けに配信講座をやる、というのはどうでしょうか。とてもいいアイディアでしょ、長尾先生、お考えいただければと思います。コロナチャンネル継続の願いも叶ってるので、願いはきっと・・・。長尾先生の話しを聞いていると元気になるので、元気さの乏しい最近の若者には、きっとうけるはずです。未来のために、ご検討いただけたら嬉しいです。
Posted by 遠い声 at 2020年06月06日 06:36 | 返信
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