神様のいたずら。そうとしか思えません。自分の年の半分くらいの若いがん患者さんの最期にはおもわず涙がでました。末期状態とは言え、２日前まで車椅子で バーベキューや映画へ外出していました。丁度、日食の時間に突然意識が無くなりました。脳内出血を起こしたようです。そのまま即死かと思いましたが、虫の 息はありました。上を向かせるとすぐに窒息するので、肩枕で横を向かせた状態で１２時間、彼女は生きました。その１２時間にいろいろなことがありました。 家族や友人たちが続続と訪れました。みんなとお別れをいうために神様がくれた１２時間でした。

　 深夜についに亡くなりましたが、美しいままです。まるで白雪姫のよう。爪にはきれいな模様が描かれ、透きとおるような綺麗な肌です。通常はすぐに葬儀屋さ んを呼びますが、変なおじさんには触れさせたくない。家族以外に触れてほしくない。死後の処置は朝まで待つことにしました。触れるなら担当の看護師にした かった。こんな想いは自分でもはじめてでした。在宅期間はちょうど１ヶ月でした。

　おばあちゃんが呟きました。「変われるものなら変わってあげたい」と。僕も同じ気持でした。そのおばあちゃんの夫（おじいちゃん）も４年前、同じ場所で僕が看取りました。まさか祖父と孫を看取るなんて・・・