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72歳の別れ
2009年10月25日(日)
1年半に渡って在宅医療をしてきた72歳の大腸癌の患者さんを夜、訪問しました。有名大学の理工系出身のこの患者さんは、実に理屈っぽい人ですが、私も理詰めは嫌いではなく、その結果、沢山のことを教えて頂きました。最初は病院との併診でした。大腸がんの化学療法、FOLFOX,FOLFIRIについて、特にオキサリプラチンの副作用による末梢神経障害については、特によく勉強させてもらいました。手足が痛くて眠れない日々が続きましたが、この症状には、麻薬が全く効かず、温めることとキシロカイン(メキシチール)が良く効きました。患者さんとの壮大な実験を重ねた1年半でもありました。
通常の末期がんの在宅期間は平均1ヶ月半です。早い人で数時間、長い人で数か月に及びますが、この患者さんのように1年を超えることは極めて異例です。この夏から腹部全体が肝臓へのがんの転移巣に占拠された状態となりました。それでも娘さんが車に乗せて当院横のマイルド温熱療法施設「ソルトスタジオ」に通い、この臨床治験にも参加して頂きました。その後、ペインクリニックでも加療しました。
2ヶ月前からいよいよ寝たきりになり痩せこけてきました。本人は「最期まで家にいたい。ここで死にたい。看取ってください」と希望されましたが、介護者の娘さんが足を怪我して世話が出来なくなり、家族会議の結果、本人が半ばシブシブ入院を承諾しました。
帰り際、「先生とはもう会えませんね」とさすがに悲しそうに言われました。「また帰ってくるかもね」と明るく答えましたが、確かにもうこの場所には来ないのかもしれないと思うと、思わず寂しくなり感慨にふけりました。72歳の別れです。
今日の日曜午前の外来には130名以上来ました。新型インフルの影響です、このところ外来患者数は連日300名をゆうに超えており、スタッフの疲労はピークに達していま
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