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アスベスト中皮腫の患者さんの静かな旅立ち、そして8年間診させて頂いた肝臓がんの在宅患者さんとは転居の別れ
2009年12月28日(月)
年末になるとなんだか切なくなります。先週も沢山の出会いと別れがありました。特にアスベストによる悪性胸膜中皮腫の在宅患者さんが大勢の家族が見守る中、深夜、静かに旅立たれました。アスベストによる悪性胸膜中皮腫は胸膜が高度に肥厚して肺が押しつぶされます。同じ肺の病気でも、胸膜中皮腫の方の最期は肺がんの終末期と明らかに異なります。静かなのです。
アスベストは尼崎の第2の公害です。今後、20年間患者さんが増え続けることが明確に予想される病気です。現在も何人かの患者さんを診ています。まだ公害に認定されていない患者さんもおられます。尼崎の町医者として来年はもっとアスベスト病と闘わないといけません。尼崎市民が選んだ田中康夫衆議員議員もアスベスト問題に取り組んでこられました。
そして、8年間診てきた肝臓がんの在宅患者さんが遠方に転居のためお別れになりました。別れあれば出会いあり。新しくガン患者さんの在宅主治医にもなりました。1時間、話こみました。
しかし先週末には、これまでで初めて末期がんの在宅依頼を断りました。
疼痛コントロールが出来ていなくて、状態は悪いけど正月は家で過ごしたいから、遠いけど受けてもらえるかどうか今すぐ返事が欲しいと、大病院のMSWに言われましたが、あまりにも一方的なので反射的に断ってしまいました。
・外泊でいいんじゃないの?
・なぜもっと早く言わないの?
・12月30日に帰ってきて初めて診る在宅医の気持ちを考えたことあるの?
と心のなかで思いながら・・・・(気が弱いので、よう言いませんでしたが)
その病院からはおそらく初めての打診でした。なんだか年末になると、せつないですね。
病診連携なんて、まだまだこの程度です。来年も「病診連携をもっと頑張ろう」と思いました。
広島大学臨床腫瘍学の楢原啓之教授から2月6日の講演の演題を決めてくれと連絡がありました。
「最後は病院か在宅か、はたまたホスピスか??在宅医が望む病診連携―」にしました。
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この記事へのコメント
初めて投稿させて頂きます。
アスベストの記事でしたので、先生にお願いが有ります。
私は、先生をよく知る岐阜の研究者です。勿論先生も私のことをよく知るものだと思います。
アスベスト中皮腫は、とても身近のものですね。確かに先生の言われるとおり、これからもどんどん増えてくる病気です。
アスベストは、蛇紋石や角閃石から作られるものです。その代表的なものが石綿です。
石綿は、我々身近にあるものです。
小学生時代の頃も、理科の実験に使用されていました。建築物には、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁の高いものとして、いろいろな用途で使用し、平成元年まではよく使用されたものです。そして、日曜品である家電製品にも使用されていました。と過去形にしている人が多い中、未だに解決できていないものがあります。アスベストを使用した建築物が沢山ある事は当たり前のことですが、交通量の多い街には・・そして尼崎のような交通量が多いところは、他人事ではありません。
それは、自動車に使用されるブレーキパットです。アスベスト問題が浮上し、なかなか代替するものがなく、苦肉の策で出来上がったのがチタン酸カリウムウィスカです。現在でも使用され、性質も大きさも非常によく似ている素材です。勿論、発癌性が認められている素材です。アスベストから代替されただけで、何の解決もされていません。
交通量の多い交差点の付近に住んでいる人は、肺癌や中皮腫の患者になりやすいのは、理論的に言える訳です。
今後、古い工場や建築物の解体により飛散し、その処理方法も現状では安全だと言い切れません。この辺も何か打開策を設けなければならない点だと考えます。
これからの10年後、20年後がピーク時を迎えるにあたり、医師としてどのように考えて、対処するかは、先生に大きく関わっているように思います。
このような問題を先生や先生の取り巻きの方々に取り組んでもらいたいものです。
これは、人々の為、環境の為です。
本当の変革は、政権に有らず、政治家に有らず、知者がいてこそ成し得る事と思います。
その点、田中康夫氏はTVで見ると政治家というより知者に近い方ですね。今後の尼崎に大きく期待できるように思います。
先生にも頑張って頂き、より良い環境に、そして安心安全な街創りに貢献し、世の中の人々の救済に勤めて頂きたいと思います。
Posted by 翡翠 at 2010年01月01日 10:24 | 返信
翡翠さま。コメントありがとうございます。翡翠って日本でしか取れないのですね。糸魚川付近にいい翡翠があって、古代朝鮮や中国の人とは、シルクと交換されていたのですね。東アジアの中では翡翠=日本なのかなと正月のETV特集をみてて思いました。
さて、アスベスト問題について今年は頑張ろうと思います。幸い、アスベスト研究で有名な兵庫医大の中野教授にご教授頂きながらことを進めていきます。アスベスト問題の啓発、アスベスト公害患者さんの発見と公害認定、保障制度の周知、などを考えています。
アスベスト公害で苦しむ人が大勢いるのは事実です。企業にも言い分はあると思います。両者の間にたって話し合いで、また「和」の精神で力になりたいと思います。
Posted by 長尾 at 2010年01月04日 11:15 | 返信
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