このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
開業医と勤務医の分断作戦に見事に落ちている日本医師会
2010年01月13日(水)
毎年この季節になれば「開業医の年収は勤務医より遥かに多い」という報道がなされます。
今年も開業医の収入が1.7倍多いと書かれました。全くの嘘です。デマです。こんな報道を堂々しているマスコミは所詮その程度であると見切るべきです。しかし読者は「開業医はけしからん」と怒り、患者さんからは「先生、儲けすぎやで」とからかわれます。笑って誤魔化していますが、実態はそうではありません。私自身も一生かかって返せるかどうか分からないほどの借金を背負い押しつぶされそうになりながら日々の診療にあたっています。真面目に考えたら胃が痛くなるので考えないようにしていますが(笑)。もちろん自己責任のベンチャーワークですから自業自得なのですが。多くの開業医の心象風景はこんな感じではないでしょうか。
マンションをローンで購入します。借金を返しながら住んでいます。この部屋は自分のものであるような、無いような。開業医もそんな感じです。目の前をお金が通り過ぎて行くだけです。従業員の給与のために自分の給与が人並みに取れない開業医も多くいます。
今、日本医師会と中医協が外来管理加算を巡って大きく対立しています。外来管理加算とは、再診料に上乗せされる約400円の加算ですが、政府はこれを廃止する考えを提示しています。これを聞いた日本医師会はハチの巣をつついたような大騒ぎになっています。この400円が開業医の生命線であると主張しています。確かにデータで見るとそのとうりです。
私は、民主党はそんな暴挙はしないと楽観しています。政府は言ってみただけではないでしょうか。しかしこんな一言でも医療者の心中は容易く180度変わります。民主党に裏切られたと嘆く医師会の先生方が増えてきました。たしかに与党としては賢明な戦略ではありません。せめて一刻も早くJALを清算して浮いたお金を医療に回すと、言えばみんなが納得するのに、何故言わないのでしょうか?下手だと思います。
私の主張は以前から変わりません。開業医=据え置き、勤務医=1.5倍と言い続けてきました。しかしたとえ1.5倍の診療報酬にしても勤務医の給与にはその1割しか反映されないでしょう。開業医がいくら大変だって言っても、所詮勤務医よりましです。水が低いところに流れるように、勤務医から開業医への流れが止まらない事実が何よりも証拠です。勤務医の手当ての方が優先するのは当たり前です。その認識の上で開業については実質据え置きにすべきでしょう。据え置きとは、今の時代、実質プラスです。こんな甘い考えですが、もし否定されても仕方がないと諦めています、
勤務医あっての開業医です。勤務医がこけたら開業医もこけます。だから勤務医を守るのは開業医の責務である、と拙書「パンドラの箱を開けよう」でも書きました。開業医と勤務医は大同団結すべきです。しかし現実には両者の溝は深まる一方です。このままではトコトン落ちそうです。開業医と勤務医の分断作戦に見事に落ちている日本医師会、と感じます。
現状は官僚の思うつぼです。財務省の方が1枚も2枚も上です。
日本医師会よ。もっと広い視野で冷静に正論を主張して欲しい、と願います。
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: