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徹夜の手術で命を救って頂いた急性大腿動脈閉塞の在宅患者さん
2010年02月01日(月)
土曜日は大忙しでした。嵐のような外来に引き続き、末期がん患者さんの激しい疼痛や緊急往診を数件回り、医療訴訟の勉強会、そして産業保健界の第先生の祝賀会、そして地元の政治家さんたちと地域作りの打ち合わせ会・・・そんな夜、14年間脳卒中で在宅医療をしている要介護5、全介助患者さんのショートステイ先から電話が鳴りました。「急に右膝を異様に痛がっています」と。自宅に帰して頂き宴会を中座し緊急往診しました。すると右足全体が紫色になり冷たくなっていました。右の大腿動脈が触れません。こんな病気は診たことありません。かかりつけのA有名病院にはあいにく、末梢動脈専門医が不在でした。循環器で有名なB病院に電話すると、2つ返事でOKを頂き救急搬送しました。
「原因は全くわかりませんが、右の大腿動脈が完全に閉塞したとしか考えられません」と当直医に電話で話しましたが、果たして結果はそのとおりでした。心臓血管外科医を交えた検査とカテーテル手術が、深夜から始まり、朝4時に終わりました。翌朝10時から再度、閉塞部の開存処置を試みましたが、うまくいかず、生命を救うため右足の切断を考えている、と奥さんから電話で報告を受けました。まだ予断は許しませんが生命は大丈夫そうでホッとしました。
土日返上で手術に当たって頂いた循環器専門医と心臓血管外科専門医、麻酔医ならびにコメデイカルの皆様に感謝します。徹夜の手術と聞き、以前、大動脈解離で夜を徹して手術して頂いた患者さんを思い出しました。近所の病院を受診し「肩こり」と診断されるも納得されない奥さんから緊急往診を依頼されました。私は脈診で大動脈解離と診断し、少し離れたA病院に緊急搬送しました。この決断が危機一髪で、その患者さんの命を救いました。
在宅医療とは決して看取りだけではありません。イザという時は命を救います。もちろん夜を徹して手術をして頂く外科医あっての救命ですが、現場での判断が全てです。どちらのケースもわずか1分で決断して救急搬送しました。間違っていたら笑われて恥をかくかもしれません。
しかし、そのとっさの判断力こそが「在宅医の責務」だと思います。普段は看護師任せであってもイザという時の決断は在宅医にしかできません。そしてそんな在宅医の判断を尊重してくれた循環器スタッフを誇りに思います。これも病診連携の力です。
見事な真冬の満月を見ながら、まだ壊れていなかった救急医療に感謝しました。
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この記事へのコメント
長尾先生の仕事量や決断量の多さ・早さは、サイボーグ009でいうところの加速装置が搭載されているか、あるいはパラレルワールドの、あっちの世界の長尾2号・長尾3号・長尾4号ぐらいまでが、この次元で今、一堂に会しているのではないか?と思わせます。
その一方で、
仕事が降って湧いている時には、もっとじっくりと取材してしっかり構想を練って書きたい。そうすればもっといい小説が書けるのに、、、と思っていたが、実際に仕事の依頼が減って、あいた時間がいっぱいできてみると、あの修羅場つづきで、寝る時間どころか座る間も惜しんで立って書いていた時のほうが文章にキレと勢いがあった。 今、その当時の作品を読みかえすと「こんなすごいのを俺は書いていたのか?!」と驚く。
みたいなことを、元流行作家が書いていたのを思い出しました。
小説の質と人の命を左右する医師の仕事をいっしょにするのはなんですし、ましてや車にたとえるのは失礼千万ですが・・・(笑) やはり、一般道を制限速度以下で走っている車には出来ないことが、アウトバーンを駆け抜けている勢いのある車にだけ、成し得るのかもしれません。
あ!もちろん、ガス欠にはご注意ください。
Posted by カンタダ at 2010年02月02日 09:33 | 返信
カンタダさま
なんだか褒められているのかけなされているのかよくわかりませんが、そう言われれば、
自分でも暴走族のような気がします。自分では普通のつもりが、スピードが出ているようです。
そのうち、ガードレールにぶつかるかもしれません。その時は笑ってください。
今夜も、低血糖で往診してきました。幸い事なきを得ましたが、病院の糖尿病治療と在宅医療での糖尿病治療は全くちがうことを改めて感じました。また書きます。
Posted by 長尾和宏 at 2010年02月02日 11:45 | 返信
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