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金の切れ目がインスリンの切れ目

2010年02月10日(水)

「お金が無いからインスリン治療をやめる!」という患者さんがあとをたちません。今日も飲み薬だけではHbA1cが9.7%とコントロール不良だったのが、持効型インスリンを併用し出してから半年、HbA1cが折角、6.8%まで改善した患者さんが紙袋にインスリン道具一式を詰めて、「もう金がないから全部返す」と言ってきました。確かにインスリン指導料は高いのです。しかしせっかく良くなっても、背に腹は代えられない、と固い決意でインスリンとの決別に望む患者さんが増えています。

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不景気がスゴイ!当院は商店街にあるせいか、来られる患者さん来られる患者さんが、思いっきり商売の不景気を嘆いて帰ります。経済的事情で血圧やコレステロールの薬を止めざるを得ない患者さんも激増しています。2週間投薬が1ケ月投薬へ、1ケ月投薬が2ケ月、3ケ月投薬という長期投薬になります。間引いて飲む患者さんも沢山います。投与日数を巡って、全国の診察室で医者と患者の静かな攻防戦が日々繰り広げられます。医者から見ると3ケ月投薬は危険です。3ケ月先は分かりませんからね。その間にもし何かあれば医者が訴えられます。しかし勤務医はめんどくさい外来などしたくないので、喜んで3ケ月分投薬をします。患者さんは「病院では出してくれたのに開業医では何故出さない」と騒ぎます。

血液検査も多くの皆さんが拒否します。「特定健診を受けるからしない」という患者さんも多くいます。難儀です。かくしてHbA1cも見ないままインスリンや血糖降下剤という劇薬を出さなくてはなりません。そして何かおこれば「検査もしないで間違った治療をした、トンデモ医者」と糾弾されます。

3割負担になった時点で間違いです。保険というからには2割を上限とすべきでした。3割負担になると多くの患者さん(約4割)が受診控えを起こします。

国民皆保険制度なんて、すでにもう一部崩壊しています。
 

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この記事へのコメント

インスリン治療、本当にお金が掛かります。娘がⅠ型糖尿病なので、インスリンがなければ死につながります、主人が元気で働いてきてくれるので、月に15000円の医療費を払う事ができますが、何かあったらと、時々不安になります。もう少し安くなってくれると、安心していられるのですが。

Posted by はち at 2010年02月11日 07:32 | 返信

ハチさん
長尾です。インスリン指導料が高いのです。医師の技術料ですが、以前、糖尿病の勉強会で指導料を下げては?と提案しました。当然、袋叩きにあいました。また、急がば回れで、インスリンにしたほうが総医療費が安くつくという試算もあります。いずれにせよ、早急な政治課題です。一型糖尿病なんて何も不摂生していないのに一生、インスリンを打ち続ける病気ですよね。なんだか釈然としません。これこそインターフェロンみたいに国費で救済すべきです。診療所も高い、薬局も高い。ホント申し訳ないです。

Posted by 長尾和宏 at 2010年02月11日 11:41 | 返信

長尾先生こんにちは。
ご近所さんとわたしの井戸端話を聞いてください。
一型の糖尿や、生まれながらの腎不全はもっと手厚くてもいいけど、医師から
「あなたは血糖が高い、境界型です」と言われたその日から、インスリンの注射になったり透析になったりする人なんていないのだから、二型の糖尿や生活改善できない人に猛省求めたい!今、子供(ご近所さんの)に26000円が支給されても将来いろいろなツケが今の子供たちの負担になるなら、「今なんとか
して~」と話しています。ご近所さんは看護師をしていました。


知り合いで高血圧、糖尿の人が、わたしの前で「断り」もなく喫煙し始めました。病気を心配して注意したら、「タバコやめたらストレス溜まって悪化する」と言いました。このような人がまん延して医療費が膨れ上がっていくのかと思うと悲しくなりました。

Posted by yun at 2010年02月12日 02:35 | 返信

yunさん
長尾です。ご指摘の通りです。
>二型の糖尿や生活改善できない人に猛省求めたい!
小学校の授業に「健康」という科目を設けて、「糖尿病とは」とか「糖尿病にならないなためには
どうするか」などを教えるべきです。26000円の半分でもこちらに投資ししたほうが、子供の
人生にもお国にも役にたつでしょう。
もちろん、糖尿病の原因であるタバコについても正しい教育をするべきと考えます。
大人になってから「タバコは嗜好品か毒物か」なんて意味のない議論をしてもしょうがないと思います。
皆が健康になってさらに長生きしたらもっと困るじゃないか、という意見もありますが、
少なくともそんなことを言う医者は医者を辞めるべきだと私は思います。
なぜそう思うか。数年前、スエーデンを旅したときに、スエーデンの社会保障ではなく、街を行きかう人々の爽快な笑顔に「やっぱり地球上に本当に健康な国ってあるんだ!」と単純に感動したからです。
日本は歪んでいます。都会の話ですが。
いくらタバコを制限したからといって、生病老死が無くなるわけではありません。
しかし生きているうちに見られる笑顔にその国の健康度が表れるように感じました。

Posted by 長尾和宏 at 2010年02月14日 05:21 | 返信

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