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家で点滴ができるなんて知らなかった

―訪問看護なんてまだ誰も知らない。一部のケアマネも―

2010年02月12日(金)

要介護5の認知症患者さんの主治医になり、3ケ月間かかってお願いしたことがあります。
「月に1回でいいから訪問看護を入れてください」と。やっと契約が済み、1度訪問したところで、早朝電話が鳴りました。嘔吐しており感染性胃腸炎のようです。さっそく訪問看護師に頼み点滴をしてもらいました。1日で回復しましたが、その後介護者から届いた御礼メールは「家で点滴ができるなんて知らなかった」という新鮮な感動でした。そうです。まだ訪問看護なんて誰も知らないのです。それどころか訪問看護に係るケアプランがケアマネ業務であることすら知らないケアマネさんもまだ多くいます。まだ道遠しです。

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在宅医療の主役は訪問看護師さんです。日本中の在宅医全員が一致した見解です。しかし訪問看護ステーションは増えるどころか逆に減っています。仕事がきついからです。では市民はどうでしょう。誰も訪問看護師なんて知りません。癌センターのトップの先生でも「ケアマネとヘルパーの違い」が分からない位ですから仕方がないことです。

最近、講演をしたあとによく言われることがあります。「お前の話は難しすぎる」と。自分ではこれ以上噛み砕けない位、平易に話しているつもりでもそう言われます。ある病院の偉い医師にも言われました。「君は在宅医療は云々・・・」と言うけど、「そもそも在宅医療って何やねん?そこからちゃんと話ししてくれや。イメージわかんわ」と。ウーン。

まだそれくらいの段階なのです。「クエ」を食べたことがある人が少ないのと同じくらい在宅医療は珍しいのです。だからまず「クエとはどんな魚か」から説明しなくてはなりません。

国が推進する在宅医療政策ですが国民常識と大きな乖離があります。それを埋めるため、頻繁に市民フォーラムをしています。わずかな補助金を頂いたりすることもありますが、大半は自腹です。行政からは「市民フォーラム開催に補助金3万円をあげるから応募してね」という誘いが来ますが、「前年もらった人はダメ」とか注文がつきます。お役所仕事です。

私はおそらく全国で唯一人、3年前から「訪問看護を医療保険で!」と本を書いたり講演したりあちこちで叫びまくっています。しかしよく考えれば、「訪問看護って何?」から話さないと市民にもケアマネさんにも話が通じないですね。実際、「訪問看護は医療保険の話で、介護保険とは関係ないよ」と真顔で話すケアマネさんがまだ沢山います。(末期がんやパーキンソン病での訪問看護の話ではありません)それは尼崎だけです、ともよく言われますが・・・

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この記事へのコメント

面白いような本当の話しですね。
現実は変化を嫌がる人々で変化がなかなか見えません。
現実を長尾先生が市民に広報されておられる効果はもう直ぐに出てまいりますね。
出た来なくてはなりません。

Posted by 狭間 紀代 at 2010年02月13日 12:41 | 返信

長尾先生、クリニックの皆様。いつもありがとうございます。
「このままではみすみす親を見殺しにしてしまう!」と以前はあせる思いでした。寝たきりの親に適切な医療を提供したくて頭をひねり、ネット情報で長尾クリニックを探し当て、実家からこんなに近くに世界中でたったひとつであろう病院にご縁のできた私の親は本当に幸運な人間だと思っています。
父などは「長尾の請求は高い。」とボケた事をいいますが、そのたんびにこう説明します。「お父さん、当たり前や。ホスピスに入院してるのと同じケアを家でうけてるんや。今のお母さんの状態は素人の家族でケアできる守備範囲は超えてる。本来は入院させるしかない状況やと思う。
けど入院させたら部屋代、食事代に加えて医療費を支払うんよ。それと比べたらどれほど安く済んでることか!おまけに安心できる自宅で好きなものも食べれるし、自由でストレスもない。近所の人もいつでも顔を見に来てくれるし。それというのも、寝たきりのお母さんの体調管理を看護士さんだけやなくてケアマネさん通じてヘルパーさんにまでお願いして毎日実行してくれてるからよ。こんなありがたい病院世界中探しても無いよ。」・・・と。
父は毎回言いますから私も毎回説明しています。最近やっと理解してくれつつあります。
老老認認介護のわが実家。私は週二回しか行ってやれてないのに奇跡のようにまわってる。それは私も知らないところで長尾クリニックのスタッフと介護のケアマネさまとの意思疎通も頻繁にされているからです。
朝から晩までひっきりなしにヘルパーさん、看護士さん、理学療養士さん、院長先生の出入り自由なわが実家は毎日自転車操業のあわただしさです。
実際私は行ってない日のほうが多いのですが、親の介護に行けない日でも何人もの皆さんが支えて下さっているであろう現実をただただ感謝しております。
片時も忘れておりません。ほんとうに有難う御座います!
また、先日は介護者の私が情けない事にフラフラになっているのまで母の往診時に「特別診察」ならびに携帯で即病院に連絡を取ってくださり、30分後に私はは先生の処方の漢方薬を受取り電車に乗って帰路についているという神技のような事もやって頂きました。カミショウヨウサンは私にはドンピシャリのようです。3日飲んだらめまいも耳鳴りも無くなってゆきました。たった3分の問診で先生凄いです!(地元の内科では薬も何も出ませんでした!)
患者本人ではない私まで思いがけずお世話になりました。長尾クリニックの診察券を頂いた時はなんか理屈ぬきに嬉しかったです。
親にはこのようなありがたい神様の懐にだかれているような環境にいるのだから1分でも1秒でも余分に生きや!と励ましています。
また、そういう言葉を親に堂々と言える環境を提供頂いております事を片時も忘れずせめて感謝の念を送らせて頂きたいといつも思っております。
カルカッタのマザーテレサ、アマガサキのドクターカズと並べて書きたくなりますね!今後とも末永くどうぞうちの年寄りに光をお届けください。

Posted by チズ at 2010年02月14日 12:45 | 返信

狭間紀代さま
長尾です。
>現実を長尾先生が市民に広報されておられる効果はもう直ぐに出てまいりますね。
まさに牛歩の歩みですが、ゆっくりと前進できればうれしいです。
狭間さんと力を合わせて勉強していきましょう。

Posted by 長尾和宏 at 2010年02月14日 05:24 | 返信

チズさま
長尾です。
お誉めにあずかり、恐縮です。
漢方薬がジャストフィットして良かったです。プライマリー漢方研究会という勉強会も
やっていました。独学でずっと勉強しています。毎年、週刊朝日にも名前が載っています。
漢方薬には西洋薬にはない魅力が満載です。
先日の仕分けに「漢方薬」が入っていましたが、とんでもない話です。
漢方薬は医療経済的にもとても役にたちます。
ご両親の介護と自分自身の生活の両立は大変ですが、力を合わせて頑張りましょうね。

Posted by 和 at 2010年02月21日 11:07 | 返信

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