このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
DPC病院入院中患者さんへの投薬を巡る無用なバトル
2010年02月17日(水)
ある有名なDPC(包括払い)病院に膝の手術で入院中の患者さんのご家族が、午前中の最後に糖尿病の薬を取りにきました。DPC病院に入院中の患者には診療所からの投薬は禁止されています。もし投薬すればあとで必ず問題にされペナルテイを科せられます。しかし、ご家族は納得されません。私が意地悪をしていると思っているようです。その病院の看護師が取りに行くよう指示したそうです。さっそく病院の医事課に電話しました。事務担当者さえもそのルールを知らないようです。情けない話です。バトルになりました。
病院担当者「もうすぐ退院するのだから投薬してあげればいいじゃないですか?」
私「それは法律で禁じられています。そんな基本的なことを、看護師さんもお宅も知らないのですか?」
病院担当者「知りません。そんなことは聞いたこともありません。先生が初めてです。」
私「とにかく入院中はダメなのです。今から、保険者か近畿厚生局に電話をしてどちらが正しいか調べてください。院長先生も知らないようですので言ってあげてください」
2時間後、私の携帯電話に院長先生からかかってきました。
院長「調べてみたら長尾先生の言うとおりでした。こちらが間違っていました。すみません」
私「他意はありませんから、気を悪くしないでください。どうか職員みんなに教えてあげてください」
院長「しかし、なんであかんのやろ?」
私「知りません・・・」
このようなバトルは時々しますが、今日のように院長まで巻き込んで徹底的にしたのは初めてです。その病院のために私が悪者になってやろうと思いました。
DPCの病院は投薬すれば持ち出し(=損になる)になりますから、出来るだけ投薬したくありません。気持ちは分かります。しかしこちらもお上からみすみす処分を受けるような行為をするわけにもいけません。入院中か否かは処方箋の日付けから足がつきます。
しかし、そもそも、包括性の医療機関と出来高の医療機関が連携すれば、必ずこのような押し付け合いが起こります。予想された自然の摂理です。病院が悪いのではなく、実は規則がおかしいのです。地域医療連携を進めるにはこのような根本的な部分の整合性を確保する必要があります。いまの医療政策にはここらが全く抜け落ちています。
実現可能な提案として病院から依頼のFAX1枚があれば、かかりつけ診療所から一定範囲内の投薬可能となるよう規則を変えればいいだけなのです。厚労省はそんな知恵すらないのでしょうか?それとも現場を全く知らないのでしょうか?すべては患者さんに利便が図れる制度にちょっと変えればいいだけなのに、誰もそれができない。不思議です。
DPC時代、投薬を巡る無用なバトルはなんとかして欲しいものです。時間の無駄です。なにより患者さんとご家族に迷惑をかけます。
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
長尾先生がご指摘の問題、実は、病院の規模に関わらず、医療者(ときに事務担当者までも)は知らない人がほとんどなんです!! 投薬にとどまらず、入院中患者の他医療機関への外来受診や検査受診など、地域連携室には、この問題を指摘する声が複数の地域の医療機関からあがっています。
地域連携を阻むひとつの壁になっていることは間違いないので、まずは院内の医療者に警笛を鳴らそうと思っていたところでした。その上で、どうあるべきか考えたいです。
Posted by 内藤純子 at 2010年02月19日 01:06 | 返信
内藤純子先生
長尾です。コメントありがとうございます。ご指摘のように
DPC(包括)と出来高の診療所が連携するための条件は十分に検証されていません。
大きな病院の院長も勤務医も看護師も事務長も事務も地域連携室の誰もが知らないぐらい
無茶苦茶なことを国は強要しています。患者さんが理解できるはずはありません。
こういう目の前に横たわる矛盾に目を向けることが大切です。
僕は無力なのでブログでしか発信できません。大学病院におられる内藤先生にも力添えをいただき沢山ある矛盾を解決して行こうじゃ、あーりませんか。
Posted by 長尾和宏 at 2010年02月20日 12:15 | 返信
内藤先生
長尾です。いつもお世話になります。
そうですよね。こんな大事な問題が病院長ですら知らないという現実を
どうして誰も指摘しないのでしょうか?
不思議です。
そこで、一文を書いてMRICに投稿して、世間の皆さまのご批判を浴びることに
決めました。
Posted by 和 at 2010年02月21日 11:17 | 返信
宮崎市内で開業しております。先生のご意見は、当然至極のお怒りだと思います。
義理の母が入院中、そこでは一切薬を出してもらえず近くの義兄(整形)が出していました。自費にせざるを得なかったのです。
家族はそれでも他に行く場所がないからと否応無しに入院させました。’薬位出して欲しい’と義兄が言うと’じゃ他所へ行ってくれ’とそこの院長にはねられたのです。
この制度は根本的に見直さないと患者の家族からも不満が出るのは必死です。
Posted by 田中宏幸 at 2010年05月19日 08:28 | 返信
田中宏幸先生、長尾です。
コメントありがとうございます。
是非、現場が声を出していきましょう。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
Posted by 長尾 at 2010年05月20日 02:51 | 返信
DPCこの制度は、最悪です。
左足と、左胸が激痛とまらず
泌尿器科に、入院、左脇は結石で、治療
痛みもとれましたので、足の治療検査を依頼したところ
みれません、退院してから、外来患者で再度きてもらい
そこで、改めて外科医が検査後判断します。!!
みたいな,簡単に言うと泌尿器科で入院した人は、その他
の、内科、外科、整形、眼科、歯科、などなど、折角入院して
いるのに、見てもらえないと言う、バカな制度です
なんて、面倒くさい制度なんだ!
総合病院の意味ないです。
こんな、病院にどときません。
ただ、働いている人達は、やさしく
丁寧、一生懸命、働いています。
なんとも、矛盾だらけのDPC!!!,
Posted by 太田 at 2017年08月15日 10:39 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: