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ある大企業の特定保健指導の結果に驚いた午後
2010年02月18日(木)
今日の午後は、ある企業の産業保健関係者のスタッフミーテイングで缶詰めになっていました。この企業における特定保健指導の最新結果が報告され、結果をみて大変驚きました。保健指導をしたがほとんど大した効果がみられていなかったのです。特定検診・特定保健指導政策は尼崎発の国家事業です。尼崎市国保からは特定保健指導による素晴らしい成績が報告されていますが、残念ながら今日のこの企業での6ケ月間の保健指導ではほとんど効果がみられませんでした。まだ50例足らずのデータで、有意差検定は行っていないとのことですが、間違いなさそうです。
特定検診・特定保健指導には世間は大ブーイングです。メタボ概念が自分の出身医局である大阪大学第二内科で誕生して、開業している尼崎で保健指導が始まった御縁もあり、私も当初は応援していました。しかし昨年からこの国家政策はおかしいと思うに至りました。
企業には事業主に義務づけられている定期健康診断があります。このデータの一部が保険者に送られてメタボ予備軍とメタボ群と認定された方に特定保健指導が行われます。ところが産業医には誰がメタボと認定されて保健指導が行われたか、全く知らされていません。
考えてみれば滑稽です。すでに治療している患者さんにわざわざ検診して治療に重ねて保険指導をしています。企業内でも同じことが行われています。企業が契約した業者が保健指導し、私のような産業医も保健指導します。これも二重なのです。しかし効果があればいいのですが、今日の結果では無いようですので、壮大な無駄と判明したわけです。
この企業の生データにはバイアスがかかっていませんので信頼性が高いです。会議に参加された皆さんは気がついていないようでしたが、私は「スゴイデータを見つけた。退屈な会議に缶詰めにされたけど収穫があった」と思いました。メタボや内臓脂肪の話は本当です。科学としては正しいのです。しかし科学と政策は無関係です。人間の欲望はそんな簡単に抑えることが出来ないのです。だからいくらやっても対費用効果が出ないテーマなのです。
こんな無駄な政策は早急に是正して、浮いた財源を勤務医、特に産科・小児科の待遇改善に回すべきです。民主党政権には頑張って欲しいものです。
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