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関節リウマチとは最も身近な難病である
―生物学的製剤の評価―
2010年02月20日(土)
夜は阪神リウマチ研究会でした。我が国のリウマチ研究の第一人者、東京女子医大の山中寿教授の講演を拝聴しました。演題は「関節リウマチ治療 Care to Cure」。在宅現場にもいる私は、思わず「Cure to Careの間違いじゃないか」と懇親会で質問しました。しかしこれでいいそうです。氏は「関節リウマチとは最も身近な難病であるが、治る時代になってきた」と述べました。当院でも100人位のリウマチ患者さんを診ています。生物学的製剤も使用しています。リウマチはcommon disease(ありふれた病気)で、本当に治る病気になってきました。
前半は大阪医大リハビリ科の佐浦隆一教授による「関節リウマチのリハビリ」のお話でした。多少関節が痛くても頑張って週2、3回、中等度以上の負荷をかけた運動リハビリをすれば確実に効果はあるそうです。一方、作業療法のエビデンスはまだ不十分とのこと。
最近はなんでもリハビリです。昔はリハビリと言えば脳卒中だけでした。最近は、脳卒中でも早期にリハビリが開始されますし、心筋梗塞後のリハビリ、慢性心不全のリハビリと、とにかく積極的です。「心臓病は安静にしておけ」なんてもはや時代遅れなのです。何でもどんどん使わなければ退化します。
後半の山中教授の講演サマリーです。(医療者向け)
【慢性関節リウマチから関節リウマチへ】
2002年、名前が関節リウマチに変わった。その理由は2つ。ひとつは急性に発症するリウマチもあるから。もうひとつは、決して慢性に治らない病気でなくなり、患者さんに希望を持ってもらうため。
【リウマチ治療の実情】
リウマチ患者は50万人いる。うち50%の患者さんにステロイドが平均4mg投与されていた。
【Care to Cureの意味】
Care=NSAIDやステロイド
Cure=MTXや生物学的製剤、という意味で。
難病から治る病気の時代になったという意味だそうな。
しかし多くはpartial responderであるなどUnmet needs(充足されないニーズ)もある。
【3つの指標で診る病気】
関節破壊=炎症の緩和=XP所見
現在の状態=DAS28やCRP、DAS2.6以下を寛解と定義する
QOL=関節破壊+現在の状態
【MTXの用法】
6mgから開始して8mgまでは増量する。MTXを飲む日は禁酒を指示。MTXの臨床効果は生物学的製剤とほぼ同等。4月からは16mgまでは保険審査でOKとなる予定。
【4つの生物学的製剤】
現在4つの生物学的製剤があるが臨床的効果は全て同等。どれも年間140万円の医療費がかかる。TNFが標的(レミケード、エンブレム、ヒュミラ)か、IL6が標的(アクテムラ)かの違いは効果にはあまり関係しない。副作用が25~30%(重篤なものが5%)と高率である。=リスクのある治療法。生物学的製剤は近い将来、8製剤まで増える。
特に感染には注意。感染があっても熱やCRPが上がりにくいので、咳やWBCを見逃さないこと。癌の術後は少なくとも5年間は使わない。
【レミケードの使いかた】
3mg/kgを0、2、6週後は8週毎投与だったのが、効果不十分例やレミ切れ症例には10mg/kgまでの増量と4週間毎の間隔短縮が可能となった。実際には10週目でみきわめて増量する。レミ増量時には副作用軽減のためにもMTXも増量しながら用いる。
【ステロイド投与を巡る論争の結論】
5mgは疑問だが、2mgまでは問題ないと言える。
【私から山中教授への質問】
・在宅となったRA患者を診ていると、Cure to Careではないかと思う
・高齢発症RAの原因と治療法
・高齢者への生物学的製剤投与の適応基準
これらはいずれも今後の課題です。
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