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優先順位は要らない。地域医師会に丸投げで良い。
2010年02月21日(日)
以下、MRICへの投稿原稿です。
クリニックの冷蔵庫には余った返品不能の新型ワクチンが並んでいます。あとは棄てるだけです。今回の新型ワクチン接種を末端開業医の視点で振りかえってみます。
【今、何が起こっているのか。日医はなぜ声を上げないのか】
今、ワクチン行政に何が起こっているのか、日本医師会がなぜ声を上げないのか不思議です。「新型ワクチン予防接種を法定接種化しないにも関わらず、優先接種順位を尊守すべきことを法律本体に書き込む作業が進められている」と報じられています。昨年の厚労省の失敗を、法改正により「正当化」しようとしているように見えます。昨年、孫に勝手に優先接種した開業医が大きく非難報道されましたが、この規制を強化する方向に行政は動いています。このままいけば、ワクチン接種に関して医師の行政処分が激増する可能性があります。なにより国民にとって不幸な方向だと危惧します。
【優先順位を法律で遵守させることは無理】
優先順位は必要ありませんでした。しかし現実には子供から打つべきところを老人から打てとの指令がお上から出ました。しかし現実に起きたのは逆のことでした。子供から打つべきでした。末端開業医でもおかしいと感じました。任意接種ですから打ちたい人から打てばいいのです。もし打ちたいひとが沢山いるなら朝から並んで打ってもらえばいいのです。もし接種医が足りないなら学校や保健所での集団接種を行えばいいのです。無理やり解釈に苦しむ優先順位を決めて法律で遵守・強制させることは無理だと思います。
【優先順位は地域医師会に任せるなど、地域の裁量にまかせるべき】
今回のワクチン接種は国と各医療機関の直接契約で行われています。官が民を完全管理する政策です。卸業者も官の管理下です。しかし、優先順位を含めて基本的に地域医師会に任せるなど、地域の実情に応じた供給体制にすべきではないでしょうか。接種戦略は地域医師会に丸投げすればよかったのです。地域医師会はそれだけの知恵と行動力、そして公益性を有しています。地域医師会を信じてその裁量にまかせるべきでした。ついでにいうなら非医師会員にも医師会が心を開いて共労を呼びかけ、これを契機に入会して頂いたら医師会のためにもなります。
2月18日配信のMRICvol 55、和田眞紀夫氏が指摘した「厚生労働省の怠慢と暴走、誰が止められるのか?」のとうりであると思います。
また2009年9月3日配信のMRIC臨時 vol 224 「インフル対応で試される感染症行政の地方分権と医師会の公益性」http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-224.htmlでも私は同様の指摘をしました。
どうかもう少し時間をかけて現場の意見を充分に聞いて立法して欲しいと切に願います。
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