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藤田まことさんの胸部大動脈瘤の影響

2010年03月04日(木)

芸能人の病気の影響は大です。必ず死因となった病気が心配になり来院される患者さんが増えます。俳優の「藤田まことさん」の胸部大動脈瘤の影響も大きいです。本来、健康保険では無症状の人に検査はできませんが、胸や背部に痛みがあれば検査を行うことができます。そして本当に瘤が見つかることも少なくありません。

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高血圧、糖尿病、そして喫煙のある方は、たしかに大動脈瘤に注意です。瘤は、胸に出来る胸部大動脈瘤と腹に出来る腹部大動脈瘤に分かれます。動脈硬化が強く、両方お持ちの方もいます。問題は、これらが判明した場合の説明の仕方です。案外難しいのです。

実際はサイズにより処置を要するものと経過観察するものに分かれます。しかし小さくても「動脈瘤」があると告げただけで、多くの方はその夜からパニックになり眠れなくなります。翌日には家族同伴で再度説明を求めて来られます。結局は、本来その必要がない小さな瘤でも、専門医にご紹介申し上げることになります。超多忙な勤務医に不要な手を煩わしてしまい、申し訳ないのですが、そうしないと納得して頂けないケースが現実には結構あります。

以前は大手術を要した腹部大動脈瘤ですが、最近では「大動脈ステンテング」という新技術でお腹を開けなくてもカテーテルで治療できる時代になりました。幸運なことに近くにある県立尼崎病院には、当麻先生というスペシャリストが京都大学から赴任され、すでに何人かの患者さんの治療を全て成功させて頂きました。ありがたいことです。

しかし決して「瘤」だけの問題ではないことを患者さんに理解してもらうことは、案外難しいことです。「動脈硬化」をいくら説明しても、いまひとつ実感が無いようです。「瘤」にはパニックになっても、原因となる高血圧、糖尿病には驚くほど無頓着です。難手術が成功しても、タバコを止めない患者さんもいます。「次はもう神様は味方してくれないよ」と言いながら、「ニコチンの呪い」を呪う毎日です。

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