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空腹時血糖100で、HbA1cが4.8%の方が相談に来られました
2010年03月05日(金)
特定検診を受けて、空腹時血糖100で、HbA1cが4.8%で、異常と判定された方が来院されました。空腹時血糖が正常でも、食後血糖が200以上に上がる方は糖尿病ないし立派な予備軍です。軽症糖尿病であっても合併症が進行している場合が多いことが知られています。しかし精密検査である糖負荷試験を実際にするかどうかは悩むところです。
もし30歳ならするかもしれませんし、70歳ならしないでしょう。特定検診は40歳以上が対象ですから実際は30歳はありませんが。糖負荷試験とは砂糖水を飲んで頂き、1時間、2時間後に採血するちょっと面倒くさい検査です。インスリン濃度も測りますから、少しお金もかかります。
空腹時血糖が100を超えたら糖尿病である確率は確か、30~50%くらいで、110を超えたら80%位と習いました。確かにそうでしょう。食後高血糖を呈する早期糖尿病を早期発見して、特定保健指導下での食事療法と運動療法で糖尿病を未然に食い止めようというのが「特定検診制度」の本来の意義です。
この方は、すでに食事に気をつけて毎日1時間歩いておられます。かなりの優等生です。少なくとも自分よりずっと上です。こんな人にわざわざ糖負荷試験を言い出すのには、正直、抵抗があります。少しくらいいいじゃないか、なにも100点取らなくても80点で充分じゃないか、という思いが頭をよぎります。
さらに、大地震で全てを失ったハイチやチリの人々の困った顔が浮かんできます。かたや、極めて軽症例にも厳密な介入を要求している我が国の国家財政は一体いつまで存続できるのでしょうか。
そんな複雑な思いに迷いながら、特定検診制度を、最近は極めて懐疑的に眺めています。
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この記事へのコメント
長尾先生、最近の長尾先生は凄すぎます!本当に同感です。
日本の医療の根幹を是非えぐってくださいね。
今のような画一的でなく柔軟に!って、ことは困難なのでしょうか?
ぜひ一歩でも進めていきたいものです。
Posted by 狭間 紀代 at 2010年03月06日 02:39 | 返信
狭間さま
コメントありがとうございます。長尾です。
たしかに医療の幹を変えないと衰退します。
さりとて統合医療や総合診療などといっても医療者は誰も相手にしません。
在宅医療=悪行である、と明言される医師もいます。
国民の意識が変わらないと無理ですね。
明日は、市民代表の大物4人が市民運動について新大阪で講演します。
司会は私。詳しくはHPをご覧になってください。
今日の夕方も超売れっ子、岐阜の小笠原先生を尼崎に招いて、これも私が司会をしています。
Posted by 和 at 2010年03月06日 01:18 | 返信
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