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沖縄発、栄養療法の講座
注入剤の半固形化
2010年03月05日(金)
沖縄の北中城若松病院の吉田貞夫先生による講演「PEGのトラブル対策と半固形化」をクリニックの在宅スタッフ達数人で聞きました。PEGとは胃ろうの方です、最近、激増しています。胃に入れた液体の栄養剤が逆流して誤嚥性肺炎を起こすことが問題になっています。静脈経腸栄養学会理事でもある吉田先生にその対策を教えて頂きました。
答えは栄養剤を半固形化することです。半固形化により逆流性食道炎が減り、誤嚥性肺炎も減ります。従来の液体栄養剤に寒天を用いて半固形化するか、増粘剤を用いてするかですが、最初から半固形化した栄養剤も市売されています。便利な時代になりました。
胃ろうの入れ過ぎだという批判があります。確かに不必要な胃ろうが散見されます。家に帰れば全く胃ろうが要らなくなる患者さんも何人かいました。また、施設では胃ろうの注入を誰がするか、という深刻な命題もあります。家族がするのはOKですが、ヘルパーがするのは原則禁止ないしグレーゾーンです。
私は2点、質問しました。
1)病院では食品(=自費)の栄養剤を使うが、家に帰ったとたんに薬剤としての栄養剤(=健康保険がきくもの)に変えることが多いが、これについてどう思うか。
2) 病院では口腔ケアチームとのNST(栄養サポートチーム)はどう連携しているか。
私見を書きます。
前者について。病院はDPC(=包括医療、マルメ)ですから、薬として出すと病院の持ち出しになり病院は損をするので絶対に薬剤としては出しません。しかし家に帰ると薬剤費は出来高ですから、経済的に困窮していれば薬剤として保健適応される液体栄養剤に変更を余儀なくされます。
つまり金持ちには食品を、そうでない人には薬品となっています。在宅現場にいる我々は、常にこのジレンマに対峙しています。これも私が何度も主張する「地域医療連携の視点を欠く医療政策」の1例だと思います。もっと整合性を持たせるべきです。
尼崎医師会副会長の橋本創先生と私が中心になって、この夏に「尼崎在宅NST研究会」を立ち上げます。人に長尾は立ち上げすぎだと笑われます。しかし多職種連携にはいろんな視点での勉強会が要ります。まあこれぐらいにしときますが。
胃ろうを入れないと訴えられる日本、そして入れると訴えられる欧米・・・。
日本人の死生観を問うには、胃ろう問題が絶好の教材だと思っています。
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