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「あなたさえいなければ大丈夫、家で看取れます」

―独居の看取りは簡単、入院とは牢屋に入れること―

2010年03月06日(土)

後半の講演は、岐阜の小笠原文雄先生による「地域で支える在宅ホスピスケア―独居でも大丈夫―」でした。多くの聴衆には衝撃的だったようです。先週の在宅医学会のランチョンセミナーでも立ち見が出た先生です。いまや医学会もマスコミも大注目の小笠原先生の講演は、尼崎でも大入り満員でした。彼は言いました。独居の看取りは邪魔する人がいないから簡単です。もし奥さんが反対する場合は「あなたさえいなければ大丈夫、家で看取れます」まで言うそうです。そして「入院とは牢屋に入れること」。
普段心の中で思っていることを、彼が全部言ってくれました。

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彼は20年前、しかたなく開業してイヤイヤ在宅医療を始めました。しかし400人を看取るうちに在宅医療の面白さに目覚め独居の末期がん患者さんを看取るノウハウを完成させました。そのノウハウを後進に伝えるべく、成果を精力的に論文にまとめておられます。

彼の診療所にはTHP(トータルヘルスプランナー)がいて、医師や看護師やケアマネを統括して指示を出します。このTHPを導入してから看取り率が大幅にアップしたそうです。確かに医師がトップよりTHPがコーディネートした方がチームは上手く機能すると思います。国は小笠原先生のやり方をモデルケースにしたいようです。

小笠原先生は7割の患者さんに麻薬や鎮静剤の持続皮下注を使っているそうです。しかし私はそのような必要性を感じたことが一度もありません。同じような仕事をしていてもこれくらい方法が違うのは何故でしょうか?麻酔科や循環器科出身の医師はポンプを付けた点滴が好きなようです。私も昔は麻酔をかけたり、インテンシヴケアの現場にもいましたが、在宅現場でポンプ点滴をしようとは思いません。むしろできるだけ管から解放してあげたいと思う方です。

人はポンプなどつけなくても太古の昔から普通に死んできました。何故、持続皮下注をしないと死ねないのか、不思議に思いました。生きることも大変ですが、死ぬことも大変な時代になってきたと感じます。大変なのは最後の2~5日間だけです。ここは、座薬や貼り薬や液体の麻薬、口腔内溶解性の睡眠薬などで充分対応できると私は300例以上の経験から考えています。

緩和医療学会に入っていますが、緩和テクニックにどこまでマニアックであるべきか懐疑的です。そもそも痛みは100%抑えなくてはならないのでしょうか?多少我慢することは罪悪なのでしょうか?多少痛くたって短時間なら我慢すればいい、という医者は失格でしょうか?まあ生きていれば多少は痛いこともある、と言いたくもなります。「痛みを取れば笑える」とは矛盾するかもしれませんが、100点でなくてもいいかと思っています。

痛みを取る薬を使う技術を競うことは学問としてたしかに大切です。しかしどんなに難しいことをしても生きている限り、すべての痛み(肉体的、精神的、社会的、霊的)から解放されると考えるのは机上の空論だと思います。そんなことより、世界最高の特別室である自宅で家族と過ごすこと自体が、最高のモルヒネであると思います。

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