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WHOの疼痛ラダーは変えるべき、と確信しました
2010年03月06日(土)
小笠原先生と話していて気がついたことがありました。WHOの疼痛ラダーは変えるべきです。現在、NSAID(非ステロイド系鎮痛剤)をベース薬にして、オピオイド(麻薬)を上乗せすることになっています。たしかに患者さんが元気なうちはそれでいいかと思います。しかし「ある程度弱ってきたらNSAIDは抜くべきだ」、という彼の意見に私は大賛成です。これまで何度も緩和医療の専門家に質問してきましたが、満足する答えは返って来ませんでした。私はこのラダーは嘘だと思って、密かにNSAIDを切ってきました。しかし初めて私と同じ考えの医師に出会えて素直に喜びました。
だんだん食べられなくなっているのに、ロキソニンやボルタレンといったNSAIDを飲ませることに大きな抵抗があります。内視鏡医であれば、元気な人でもNSAID潰瘍がどれだけ多いか身にしみて知っています。まして弱って寝ている人にNSAIDを飲ませるなんて犯罪だと思ってきました。食道や胃に引っかかって恐らく大きな潰瘍をつくり、無用な出血をさせていることでしょう。
さらに、NSAIDは体を冷やす薬です。冷やすと体力も免疫も弱ります。反対に温めると元気になります。インフルエンザにNSAID(アセトアミノフェン以外)が使用禁止であることは常識になりました。正解です。しかし末期がんにはNSAIDをベース薬として使えとWHOの疼痛ラダーは示しています。こんな理屈が通らないことが、まだ生きています。間違っています。死にかけの人に鞭打つのは罪だと感じます。
ある程度弱ればそっとNSAIDを抜いて、貼るタイプの麻薬を含めてオピオイド一本でいくか、メキシチールやガバペンなどの鎮痛補助薬を併用すべきです。間違ってもNSAIDを漫然と使ってはいけません。NSAIDとはあくまで緊急用の頓服薬として位置づけるべきだと思います。
これまでこの素朴な疑問を偉い先生方に聞いてきました。しかし聞いた私が間違いでした。彼らは現場経験が少ないので分からないのです。お役人のような答えしかもらえす納得できませんでした。しかし小笠原先生の考えをお聞きして、私の感覚が間違いではない、と勇気づけられました。
「日本版疼痛ラダー」を早急に検討すべきだと、確信しました。
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