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認知症時代の外来窓口

2010年03月13日(土)

認知症時代の外来窓口は混乱しています。昨日も保険証を持たずに「点滴をしてくれ」という初診患者さんが飛び込んでこられました。認知症患者さんは検査予約などいくら説明しても理解できません。家族のことを聞くと怒り出します。明細書を見ても怒ります。病院や診療所の窓口はただでさえ「待ち時間が長い」とか「医療費が高い」と文句を言われます。ストレスの多い大変な仕事です。診療規則を少しでも簡素化して窓口業務が短時間で済むように、そして診療報酬には医療事務員さんの苦労も考慮してもらいたいものです。

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認知症患者さんの家にも、診療報酬報告書みたいな葉書が何カ月かすると送られます。不正請求や架空請求を見つけるためです。認知症患者さんは、自分が受診したことを忘れているので「身に覚えのない不正請求」だと怒る人もいます。

過去に、その「妄想」に取りつかれた認知症患者さんから、毎日、朝から晩まで電話がかかってきたり、窓口に説明を求めて来られた患者さんがいました。1日中、仕事になりません。連日、電話は1時間以上に及びました。診療どころではありません。

困り果てて役所に相談に行きました。「ご家族に電話して診察に来た日にカレンダーに丸をつけさすように指導してください」と言われました。先輩医師からは「そのような患者さんはどこか他の診療所に行くよう、追い払うしかない。何でもかんでも診ていたら、長尾君とんでもないことになるよ」と忠告されました。

まさにそのとうり、大変なことになりました。その患者さんは、どうやら毎日、役所や厚生労働省にまで電話するようにエスカレートしていきました。その結果、行政からもあらぬ疑いを持たれました。疑いは晴れましたが、その後もその患者さんは連日、「妄想」を問いただしに当院に来られ続けました。私はたった1回しか診ていないのですが、何度も診ている他の医師がついに診療を拒否すると激しく怒りだしました。他の医療機関に紹介してもすぐに戻ってきました。本当に大変な日々でした。

このように1人で来院される独居の認知症の患者さんには、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。現在、町医者が一番困っているところです。詳細な明細書発行は、独居の認知症患者さんは避けてもいいようにして欲しいものです。
 

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