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昼と夜が逆転してすでに１０年が経過したそうです。「還暦を過ぎての逆転生活は辛いでしょう？」と聞いても、涼しい顔をしています。薬を飲んで血圧は１５０位と少し高めです。「下がるとフラフラして仕事ができない」、と言われます。

商売の街、尼崎には昼夜逆転の人が多くいます。私もそれに近いかもしれません。コンビニや吉野家など深夜の食事場はいくらでもあります。しかし、こんな患者さん達に、お薬を「朝、昼、晩」と書いて渡したところで、彼らにとって何の意味があるのでしょうか。一体どれが朝なのでしょうか？インスリンの患者さんには特に生活状況を詳しく聞きながらオーダーメイドの指示を出します。医師なら当たり前です。

しかし、役所や薬局さんからは、「この薬は毎食前に１日３回飲む薬ですよ」と言われることがあります。「１日３回飲んで初めて効果が出る薬なので、１回では効果が無いので認めません」という理屈です。

患者さんに寄り添えば、変な処方になってしまうことがあります。どこかで笑われることでしょう。しかし世の中は広い。ちゃんとした「昼夜逆転」のひともあれば、ちゃんとした「１日１食」のひとも、確かにおられます。