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まだ、そこにある危機

2009年の新型インフルエンザ対応の総括と今後の課題

2010年06月19日(土)

今夜は東京で、東北大学の押谷仁教授による講演
「2009年新型インフルエンザ対応の総括と対応」を拝聴しました。
まだ、そこにある危機、を教えて頂きました。

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日本では、200余名の死亡者を出して一見終息した感がある新型インフルエンザ。
しかし、まだまだ、終わってい。油断禁物だそうです。
現在も全国で散発的な発生が見られています。

世界で6000万人が感染した。
日本で2000万人が感染した。
日本では成人の感染が少なかった。

1918年のスペインインフルエンザの致死率は2%
その他の新型インフルエンザの致死率は0.2%
季節性インフルエンザの致死率は0.02%

何故、世界的にみて、今回の日本人の致死率が低かったのか?
成人の感染が少なかったから?

日本の被害が少なかったのは、こまめに学級閉鎖したから?
アメリカでは学級閉鎖はしなかった。

国民皆保険制度で、抗ウイルス薬の早期投与が可能だったから?
小児医療の進歩で小児の死亡率が低かった。
重症化した子供でも入院すれは、ほとんど救命できた。

逆に成人の重症化例で救命できたかったことが

インフルエンザ対策の基本的な考え方とは、
ピークを抑えて、後にずらすこと。
そうするととでたとえ総患者数が同じでも医療機関機能の破たんが防げる。

ワクチンの問題が残っている。
多くの医療機関の冷蔵庫には、まだ未使用のワクチンが残っている。
1100億円以上かけた輸入ワクチンはすべて残っている。

成人の死亡例の剖検例を見せて頂いたが、
多くは、突然死のような形で亡くなっている。

重症例の30%には細菌性肺炎が見られた。
ワクチン未接種によると思われる死亡例もあった。

この秋に、もし再び大流行があれば、日本において
死亡者が出る可能性がある。
日本の対応が
2009年は、単なる結果オーライだった!

基礎疾患を持っているひとは、今、ワクチンを打っておくべきだ!と
提言された。
その場合、秋にもう1回打つとよい。

宮崎の口蹄疫の問題は10年前に起きている。
今回は、甘くみて初期対応を誤ったから、感染を拡大させた。
これと同じことが、今年の新型インフルエンザでも起こる可能性がある。

【長尾の疑問】
1 ワクチン接種の優先順位は、老人から打って小児は最後だった。
  しかしこの判断は完全な誤りだった。この誤りは誰が責任を取るのか?

2 さらに、1本も使われることのなかった輸入ワクチンの責任は一体誰が取るのか?
  1100億円の損失は大変大きいが、このままうやむやにしてもいいのか?
  事業仕分けを一生懸命にしている一方、この責任を追及しないことは腑に落ちない。

【長尾の提言】
1 行政がすべてを決定するのではなく、地域医師会や現場の医師の意見も聞くべき。

2 専門家と現場と行政が、もっと一体になって対応すべき。

何度もMRIC等で提言したとうり。






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この記事へのコメント

院長先生、お疲れ様です。
私は詳しい医療の事はわかりませんが、
院長先生の周りの場所だけでなく、どうか
もっと県を越えて良い医療になってもらえる
といいなと思っております。

Posted by st**yminmin at 2010年06月20日 12:59 | 返信

長尾先生の提言を拝見してびっくりしました。税金を払っている立場としては、これらのことは、優秀な官僚の施策決定段階で当然実行されていると考えていたからです。

もし官僚ではなく、民間がこの新型インフル対策プロジェクトを請け負っていたとしたら、当然実行されていたのではないでしょうか。

昨日,イギリスでの1985年狂牛病発生のいきさつについて、聴いたばかりでした。
風評としては医師会は結構PUSH出来るようですが、医療政策に直接かかわることのできない私達一般人に出来ることは、立候補者を選択することだけなのでしょうか?

Posted by 梨木 at 2010年06月20日 05:32 | 返信

当然、ワクチンの接種を奨めた医療関係者全てでしょう。この講演者も当然、責任の一端を有しているものと思います。   先生はどうお考えですか?

買占めの姿勢があったのであれば、モラル上恥ずべきことです。


<1100億円の損失は大変大きいが、このままうやむやにしてもいいのか?
適正な価格で適正な量であることを国民として望みます。

Posted by 1本も使われることのなかった輸入ワクチンの責任は一体誰が取るのか? at 2010年06月21日 01:33 | 返信

梨木さま、みなさま、長尾です。
今回のワクチンの有効期限がまだあるため。「無駄になった」と断言するのは
まだ早急であることを最初に断っておきます。
今回のワクチン接種には問題があることを提言してきました。
しかし、新型ワクチン接種は、国と医療機関の直接契約で行われました。
我々、末端の医療機関は、国の言いなりに行うことしか、できません。
命令を破った医師(自分の孫に打った)は、処分されました。
従って、「ワクチン接種戦略」の権限も責任もすべて、国にあると考えます。
それ以上のことは分かりません。
今回、なんとなく結果オーライだった感がありますが、再度、
こんなこと(優先順位のおしつけ)がおこるのなら、ぞっとします。
詳しくは、この「ブログ内検索」に、「インフルエンザ」と入力して、
昨年の投稿記事等をご照覧ください。現在も同じように考えています。
危機管理の検証は、まだ行われていないと思います。
買い占めの件ですが、一部の医療機関で買い占めがあったととの噂は
聞きましたが、事実かどうかは、私のレベルでは分かりません。
今回の講演で確認できたことは、輸入ワクチンは、まだ使われていないことと、
それに伴う大きな損失が発生しそうである(予想)、ということです。
医療機関の管理者として、また一国民として、今回の対応には
いくつかの重大な問題があったと思います。

Posted by 長尾 at 2010年06月21日 02:42 | 返信

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