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この世に居場所がない患者さん

認知症の夫が、妻の胃ろうに注入する

2010年08月23日(月)

姥捨て山という言葉があります。
一方、何でも在宅で診れるわけではありません。
町にはどこにも行く先がない患者さんが、「流れて」きます。

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特養に入所していたが、肺炎を起こし入院。
入院先で、胃ろうを入れられた。
胃ろうが入った患者さんは、元の特養ではお断り。

しかたなく、県外から自宅に帰ってきた。
しかし、認知症の夫が胃ろう注入を行うので、
入れたか入れていないのか、いつも分からなくなる。

ヘルパーは、法律で胃ろうの注入をしてくれない。
看護師が入るには単位が足りない。
入院するにも受け入れ先は見つからない。

もちろん、施設も駄目。
しかたなく、在宅を続けている。
夫は、「早く死んでもらいたい」と漏らす。

早朝深夜に、夫からパニック電話がかかってくる。
休日返上で看護師も対応しているが、追いつかない。
そもそも、在宅医療の適応外。

当院には、どこからも見放された患者さんが流れてくる。
病院、施設、在宅、どれも無理。
悲しい事件が起こるまでに答えをみつけなければいけない。

他の家族も介護放棄。
八方塞がりだ。
走りながら考えよう。

この世に欲しいもの。

それは、
「何でも引き受けてくれる、病院・施設」


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この記事へのコメント

ご無沙汰しております。

当方でも同様のケースが後をたちません。
ウチではもう、こういった場合は医療依存度から考えて療養型病院へ転院していただくことにしています。
もちろん、都会にはそういう病院は少ないか入院待ち期間が非常に長いので、やむなく郊外の遠方の病院へいってただきます。
それが倫理的に正しいかどうかは分かりませんが、もはやこの国ではそれしか方法がありません。
送り手の病院も、受け入れ側の医療機関(在宅医含む)も、もはやギリギリの戦いだと思います。

ということで、気分転換(?)に今から往診に出かけてきます…(笑

Posted by みどり病院 清水 at 2010年08月24日 02:05 | 返信

うちの実家もドンドンこの記事の状況に突入中ですね。
昨日、長尾先生来た?の質問に父は「来た。」と、母は「こんかったよ。」と。母が正解。
今日は母の差し歯が取れて、足の爪がはがれかけてましたが、父に言うと「あっそう?」とポカンとしてます。猫はどう?ときくと「もう治ったよ。」と。今生きているのが奇跡と毎回獣医さんに言われてるのに。けれど私が行くとご機嫌でいつもニコニコしている父。
それなのに不思議なのは私が実家に着くのが遅れると必ず心配して携帯に電話してくるんですよ。
「ゴメンゴメン、今梅田やしもうすぐ着くよ。」というと安心してくれます。
こんなこと言うと不謹慎ですが、悲劇ではなくて喜劇ですんでいるこの現状は現代の奇跡なんでしょうね。
それというのもたくさんの善意の皆さまが関わって下さっているからです。親がすることを笑い飛ばせるのはサポートして下さっている皆々様のお陰様です。

Posted by チズ at 2010年08月24日 11:32 | 返信

清水先生、長尾です。
やっと、清水先生がおしゃっている意味が少しだけ分かってきました。
「尼崎のみどり病院はどこかいな?」と、探してみます。

Posted by 長尾 at 2010年08月26日 03:54 | 返信

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