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C型肝炎治療サミット2010
2010年10月02日(土)
全国のC型肝炎治療者が、東京と大阪に集まり、同時中継で議論されました。
インターフェロン(IFN)治療も、さらに新しい時代を迎えようとしています。
医療費助成も進み、まさに国を挙げてのC型肝炎対策となりました。
この20年間、いくつかの学問的進歩がありました。
C型肝炎は、7割が治る時代です。
難治性群は、6割、
非難治性群は、9割がインターフェロンで治癒します。
20年前と、隔世の感があります。
当時は、治癒率がたった3%でしたから。
やはり、医学は進歩している。
当院でも、治癒した人が沢山います。
しかし、治癒(=ウイルス除去)できなかったり、
再発する人も多いのが現実です。
治療抵抗性因子の探索が進んでいます。
宿主側の因子として、IL28Bの発見。
ウイルス側の因子として、COREの変異がある。
19番染色体のIL28B遺伝子周辺に、インターフェロン治療の
有効性に関連する遺伝子多型(SNP)が世界同時に報告された。
その中で代表的なSNPである、rs809917(マイナーアレルG)を持つ
C型肝炎患者は、危険率約30倍の確率で、IFN治療に無効であることが判明した。
それを治療前に解析すれば、まさに「テーラーメイド治療」も可能な時代となった。
もう1点。
来年、新規の抗ウイルス薬であるTelaprevirを、現行のPEGインターフェロンと
リバビリン併用療法に併用する、3者療法には大きな期待が寄せられている。
もちろん、遺伝子多型分析も用いると、患者さんへの恩恵は数段大きくなる。
いずれにせよ、IFN治療の成否は、スタートダッシュで決まる。
治る人は、1~2回打っただけで、ウイルスが消える。
つまり、ウイルス量が
最初の4週間で、1log、
12週間の時点で、2log
下がることが、治癒(SVR)の条件となる。
言いかえれば、
12週目に、ウイルスが消失したもの(RVR)は、治り易く、
24週目に、ウイルスが消失したもの(LVR)は、治癒率が落ちる。
24週目で消えていないものは、望みが薄い。
最初の12週間(3ケ月)で、すべてが決まる。
不謹慎だが、分かり易く競馬に例えると、
第一コーナーを回るまでに、だいたいの勝負はついている。
ここから先は、まだ極秘情報らしいが、(先日、もう書いてしまったが・・・)
Telaprevirではなく、TMCというプロテアーゼ阻害剤は、
まさに驚異的な成績が出ている。
わずか、3ケ月で、治癒率93%!!!
さ来週から横浜で始まる、消化器病関連学会週間(DDW)で、
なんと、林紀夫先生自らが、ポスター発表されるらしい。
きっと、プレスリリースのみならず、メデイアで大きく報道されるでしょう。
あと2~3年すると、C型肝炎は、まさに克服される時代となる。
帰り道に、C型肝炎⇒肝臓がんとなった、在宅患者さんを訪問した。
薬の進歩に間に合わなかった患者さんたち。
なんとも言えない気持ちになった。
今日、集まった、1000人の専門家は、いわば、慢性肝炎の専門家。
もしくは、通院可能な肝硬変の専門家。
通院できなくなった患者さんは、主に我々が診ている。
IFN治療失敗や未治療の10年先にに何があるのか、
我々は毎日見ている。
そこには、理屈では済まない、泥臭い世界がある。
今日のエライ先生方は、上流の医療者。
我々は、上流と下流の両方をやる医者。
上流から流れてきた患者さんをしっかり受け止める役割も大切だ。
「予防から看取りまで」という、当院のキャッチフレーズの
意味を、あらためてかみしめた。
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この記事へのコメント
慢性肝炎から肝臓癌になりました。
肝臓癌というのは肝硬変から順番を追ってなるものと思い込んでいましたので、
最初信じられませんでした。
最初の治療は09年3月 2度目は10年4月 3度目は10年7月です。
今もAFPが37もあり肝癌が進行中と思います。
血小板は16万 ヒアルロン酸値は57でした。
再発する前の12月から翌年の3月までペグとリバビリン療法を受けましたが、
ウィルスは6.3が5.8に減った程度でした。しかし、肝癌が再発しあえなく中止です。
10年前から強ミノを打ち続けGOT&GPTは40以下で、安定していました。
従って、肝硬変の進行は抑えられていると勝手に判断していました。
最初の肝癌ができて生検をしたところF3でした。検査値は管理されていましたが、組織上進行していたということです。自分ながら情けないやら悔しいという気持ちです。
父も肝癌でした。肝癌の発生から死亡まで2年と半年でした。従って、私は12年3月には消えると思います。薬がここまで来ているのに自分には何の適用もないのか?
まさか57歳で発症するなんて思いもしませんでした。
プロブを読むと皆さんの数値は私より進んだ方が非常に多いと思います。
私は、40歳の時、インターフェロンに飛びつきましたがまったく効果はありませんでした。
従って、5年前、インターフェロンを勧められた時も仕事や副作用のことを考えて定年後まで
待とうとしたのがこの様です。
原因がウィルスであることが分かっているだけに何とかならないのかというのが毎日の私の気持です。次の検査は11月24日です。おそらく4度目の再発が待っています。
人生に何の希望も持てなくなった現在、身の回りのものをひとつづつ整理しています。
Posted by 次郎 at 2010年10月17日 11:34 | 返信
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