- << 町で医者を育てる
- HOME
- 骨折患者さんの夜間往診 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
COPDは、全身疾患である
2010年12月17日(金)
メイン講演は、呼吸器の権威、、京都大学の三嶋理晃教授の講演だった。
「COPDは、全身疾患である」というメッセージを頂いた。
大人にはハイチェッカーを。
子供にはスモーカライザーを。
COPDとは、慢性閉塞性肺疾患のこと。
昔の肺気腫を含む概念だ。
500万人もの患者がいる割には、認知度が極めて低い。
COPDの95%は、たばこが原因。
「禁煙」が、治療の柱だ。
「スピリーバ+アドエア」が、お薬の標準。
以下、講演要旨。
【COPD第3版ガイドライン(2009年)】
タバコの煙を主因とする・・・と、
「タバコ」が原因であることが、明言された。
COPDの原因の95%が、タバコである。
COPDの定義は、
1)1秒率が70%以下であること。
2)他の疾患(喘息、肺がん等)を除外すること。
第3版では、亜型分類の変更があり、
気腫型と非気腫型に分けられた。
【LAM(リンパ脈管筋腫症)】
若い女性に多い。全国に500人の難病。
予後不良。肺線維症。
肺気腫との鑑別が重要。
リンパ管の平滑筋の異常細胞が増殖する。
昨年10月より治療対象疾患に指定
肺移植の対象となる
CT画像のフラクタル解析が診断に有用
肺気腫=融合する
RAM=融合しない、で鑑別できる。
【COPDの管理】
1秒量と自覚症状は、必ずしも比例しない。
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの
有用性は証明されている。
長時間作用型抗コリン剤と、吸入ステロイドの
併用が重要。吸入ステロイドの副作用は無い。
【喘息を合併したCOPD】
両者が明確に分けられないこともある。
喘息患者がタバコを吸うと、COPDになり易い。
【在宅酸素療法(HOT)】
1985年から保険適応。
現在、15万4千人がHOTを受けている。
HOTを受けている患者さんのうち、
COPDは、48%から45%に減っている。
=COPD治療成績が向上している成果か?
他は、結核後遺症、間質性肺炎。
準呼吸不全に対するHOTの意義。
導入時には、必ず動脈血ガスを調べる。(CO2をチェック)
飛行機内の酸素は、8割になるので、
呼吸不全の方が乗ると危険。
HOTの患者さんがタバコを吸うと大火事になる。
【COPDは全身疾患である】
1 認知症
2 嚥下障害、GERD
3 睡眠障害
4 骨粗しょう症
などと深く関連
【COPDとGERD】
「GERD症状が、COPD増悪に関与している」可能性がある。
GERDの問診票(FSSG)は酸関連スコアと運動不全スコアがある。
運動不全スコアの高い人には、PPIにガスモチンを併用した方がいい。
COPD患者さんは、死亡率が高い。
血中の接着分子やTNFなどの増悪因子が高くなる。
COPDは喫煙と独立してIMTを増悪させる。
β刺激薬を使っても、重篤な心血管障害には至らない。
【COPDと骨粗しょう症】
COPDの7割が、骨粗しょう症である。
COPDがあると、骨粗のオッズ比は1.9倍になる。
もちろんGERDも増える。
胸のCTで、肺と同時に胸椎の骨密度を測定できる。
【COPDと栄養】
肺気腫の進行と、BMIは反比例する。
神経性食思不振症に肺気腫病変が多い
第二次世界大戦のゲットーで亡くなった人の剖検から
370人中50例13.5%に肺気腫が見られた。
肺気腫50例のうち、34例が40歳未満だった。
結局は、栄養とリハビリが重要。
【トピックス】
iPSによる再生研究が始まっている。
iPS細胞を肺に注入する先進研究。
開業医は、COPDの20%しか診断されていないという指摘
診断率は、欧米の10%以下という事実に、開業医は驚くべき。
呼吸困難はゆっくり来るので、分かりにくい。
しかし治療すると楽になる病気である。
マクロライドは、免疫調節し、ウイルスの接着を抑制する
限局性の肺気腫は「肺容量減少術」や「肺移植」の適応。
日本は、COPDへの肺移植が国際的に少ない
栄養改善のため
食欲増進剤であるグレリンの投与試験が治験中
PS) COPDに、スタチンが有効って、知らなかった。
- << 町で医者を育てる
- HOME
- 骨折患者さんの夜間往診 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
肺気腫早く直る病気になって欲しいです。
JT がもっとバックアップしたらいいのに…
いままでの納税者に国だって煙草税でバックアップするべきだよ
Posted by 匿名 at 2012年07月09日 08:10 | 返信
COPDに使われる薬は、抗コリン作用強いものが多いです。抗コリン作用のある薬を服用しているCOPD患者さんは、認知症になる確率が高いのでは?と推測します。
Posted by y16103 at 2016年08月23日 06:13 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: