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4月9日の南相馬ー急がれる強力な経済支援ー

2011年04月10日(日)

4月9日の尾形さんの日記を転載させていただく。
何よりも、強力な経済支援が必要だ。急がれる義援金の分配。
明日で1ケ月。被災地を安心させる国のメッセージを聞きたい。
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4月9日(土)本日の相馬市・南相馬市(医療機関を中心に)

 

 私事ですが今週末は、南相馬市に住む私の実母が2泊3日で相馬の私の家に来ており、介護の週末となっております。母は、5年ほど前に未破裂脳動脈瘤の手術をきっかけに、視床下部の脳梗塞を起こし4ヶ月の昏睡後奇跡的に意識が戻ったのですが、片方の視力と言語、運動機能の8割を失って要介護の生活となっていました。実の妹が平日は在宅で面倒を見てくれているのですが、週末は妹と私が交代で介護を続けておりました。ですから、南相馬市の動向は、私が関わる地域の問題であると同時に、私の母をはじめ多くの親戚や私の友人達の問題でもあるのです。母が週末を相馬で過ごすのは、私が忙しくて震災後は初めてとなります。


 さて本日の、相馬市や南相馬市の様子ですが、まず、昨夜放送されたフジテレビのニュースジャパンの福島県飯舘村について少し触れたいとおもいます。今週初めに、ディレクターの岩澤氏がこの地に来てくれました。実は前の週も来ており、2週続けてです。飯舘村の観測放射線量が他の地域に比較して多いのはなぜか、問題はないのかを確認することが目的でした。私も早起きして、村内の複数の場所の状況を確認するお手伝いをしました。GPSを使って方角を確認しながら様々な場所の様子を確認したことは、前に報告したとおりです。本日は、農水産大臣が飯舘村を訪問しているようです。相双地域に閣僚が入るのは、原発水素爆発後、初めてではないでしょうか。


 昼過ぎには、東京医大教授の増山茂氏と千葉県いすみ市議会議員の田井秀明氏が相馬市においでになりました。公立相馬総合病院副院長の金田氏と会談し、相馬市長と面会した後、ノンフィクション作家の山根一眞氏と合流し、私の車で相馬市の被災地を案内しました。最後に、南相馬市の渡辺病院理事長と会談し、震災の様子とその後の原発事故の影響がこの地に何をもたらしたか、詳細に説明をしていただきました。みなさん線量計を身につけて訪問してきているのですが、その数値と我々の説明に、東京でのこの地の報道と実際の現状の乖離にひどく驚かれ、このままでは政府は大きく舵取りを誤ってしまう危機感を強く感じ取ってくれたように思われました。

 私はたびたび報告していましたが、原発事故の現状の科学的分析の必要性と危険性を防護する方法の選択を誤ると、地域の再生を不可能にしてしまったり、多くの命を避難という行為によって危機にさらす結果になると言うことがその目で確認できたのだと思われました。

 この地に必要なのは、医師でも医薬品でも食料でもガソリンでも、もうないのです。人々は戻ってきているのです。正常な経済活動を行うためのインフラの整備が急務なのです。35万円義援金では、何もできません。継続的な経済活動がなければ、1~2か月で多くの企業や個人は破綻します。医療機関を例にすればすぐに分かります。診療行為が制限される、入院患者はおいてはいけない、など、屋内待避(自主避難の推奨)地域では、正常な医療活動はできません。スタッフへの給与の支払いも収入がなければ無理です。

 しかも南相馬市では今年度、小中高等学校は再開されないことが決定しております。子を持つ家庭は、どこへ行けばよいのでしょうか。そして親たちは、どこで収入を得ればよいのでしょうか。自主避難は自前の金で、どこかで生活しろ!という命令です。いつまでですか。避難指示になれば、更に状況は悪化します。避難指示地域内のすべての経済活動は破綻します。病院は解散します。会社は倒産します。住民はどこか体育館の片隅での物乞い生活がはじまるのです。

 年齢もバラバラの住民が職につける可能性がどれだけあるのでしょうか。自治体も崩壊します。現に、大熊町はそうなっているようです。NHKでは会津若松市に役場を移し、町長は約3割の住民の移動がう まくいったようにインタビューに答えていました。しかし現実は、会津若松市から喜多方市、北塩原村までの距離にして60km×40km程度の地域に、60カ所に分散し避難生活を始めたといものです。会津若松市内は雪も消え、医療機関もありよいでしょう。

 北塩原村は、まだ2m近い積雪があり、医療機関もなく、買い物できるスーパーもほとんどない、あっても何キロメートルも離れているというのが現実なのです。地域のコミュニケーションはどうなるのでしょうか。他の町村も同様だと聞いております。こうした避難者が今までと同様の経済活動、つまり生活を復活させることが本当にできるのでしょうか。もし、20~30km圏内を避難指示とした場合、双葉郡8町村とほぼ同じ人口の7万人が、現生活を完全に捨てる、いや捨てさせられることになるのです。


 たしかに、注意を要する地域が存在することは、測定結果からありそうです。しかし、その対処方法について、念のためではなく、最低限これだけはやっておいた方がよい、そうすればこんなリスクはこれくらい軽減されるというような具体的で誰もが納得できる説明が住民には必要なのです。南相馬市の累積は昨日までで1mシーベルト弱です。この数値のもつリスクを明確に説明できる方はいないのでしょうか。

 失う物と得る安全?リスクの詳細な分析の基に、方針を明らかにする責任が政府にあると考えます。5段階程度のリスク予想であってよいのではないかと考えます。放射線量測定値を地域ごとにプロットし、そのリスクをわかりやすく説明し、地域の住民が正しく理解して生活をすればよいのではないですか。今までのような説明では、だれも納得しないし、従わないと確信します。


 明日は、ハーバード大学の日本人医療チームが相馬市に入る予定です。また、報告いたします。

 

尾形眞一

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