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岩手県田老町の大堤防

2011年04月17日(日)

難波紘二氏の日記から、転載させていただく。
岩手県田老町の大堤防。
自慢の堤防は、どれだけの命を救ったのか。
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 貞観地震(869)以来、三陸沖では何度も地震・津波が発生している。

 津波災害を防ぐにはラフカディオ・ハーン原作「稲むらの火」が示すように、高台に避難すること、高台に住むことが一番だ。

 明治三陸地震津波(1896)の後、岩手県田老町では人々は高台に集落を再建した。

 だが、寺田寅彦が「地震と人間」に書いたように、津波の記憶が薄れると共に、便利の良い海岸の平地に移住をはじめた。そして39年後に「昭和三陸地震津波」(1933)が発生した。

 またも甚大な被害が生じた。

 戦後、田老町には高さ10メートル、長さ1.5キロの巨大防波堤が築かれた。この防波堤は町のシンボルであり、自慢のタネだったことは以下のブログでわかる

 

 
岩手県田老町の大堤防

http://blog.goo.ne.jp/hi-sann_001/e/60251e79a15dc60b0358a136bd1a9bf1

 

 が、志賀重昂が「日本風景論」で指摘したように、「太平洋側の海岸は絶えず隆起する」。

2002年に現地を訪れた伊藤和明「地震と噴火の日本史」(岩波新書)によると、すでに堤防の外に家が建っていたという。

 今回の地震で田老町を襲った津波の高さは30メートルに達したの、でやすやすと堤防を乗り越えた。引く時の波はエネルギーを失っているので低くなる。その結果、何が起こったかというと、堤防の内側の家はがれきになったが、行き場がなくそこに残った。堤防の外側にあった家は、きれいさっぱりと洗い流された。

 今は宮古市に合併して田老地区になっているそうで、この地区の人的被害の詳細はわからないが、堤防の外側に住んでいた人で助かった人はまずあるまい。

 3/11以前の田老町と3/24の田老町をグーグルアースで比較すると、堤防を境に違いが歴然としている。

 

 東日本復興計画にとって、

1)オランダ方式=巨費を投じて田老地区の防波堤をより高く、より長くするのか、

2)高台移住方式=山を削り、高台団地を創出するのか、

 田老町は、何よりも良いモデルとなると思う。「復興企画会議」はぜひとも良い案を出してもらいたい。

 

 忘れてはいけないのは、どんな災禍でも一世代で忘れられる、体験は言葉でも映像でも、次世代に伝えられない、ということだ。これは人間の本性だから仕方がない。そうでなければ、戦争でも核兵器でもとっくに無くなっている。

 

 山田風太郎は「戦中派不戦日記」に死者10万人を出した昭和20310日の東京大空襲の午後、水道橋駅付近の路傍に、二人の中年の女が路傍に座っていたが、その一人がふと青空を仰いで、

「ねぇまた、きっといいこともあるよ。」と呟いたのを書き留めている。

 その気持ちがなければ復興はできない。けれどもそれは忘却作用の始まりでもある。 田老町3-11以前.jpg 田老町11-3-24.jpg

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

岩手出身東京在住の清水と申します。田老町は明治の大津波で約1千900名が死亡し壊滅的な被害を被った。その後人々は高台に移住したが、痛みを忘れ、また平地に移住をし始めた。それから37年後の昭和8年の大津波で又約900名の尊い命を失った。これを教訓に田老町に日本屈指の10M防潮提を作り万全の備えという過信から又又平地に住み始めた。
今回3.11の大津波での死亡者は少なかったことで、防潮堤の意義はあったと思う。しかし結局又平地に住んで、悉く家屋が流され、破壊されている。
今度こそ、3.11の教訓を生かし、巨費を防潮堤につぎ込むよりも,高台の山を削り、安全な場所に住民を住まわせる復興計画を推し進めてもらいたいものです。

Posted by 清水 準一 at 2011年09月13日 10:14 | 返信

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