彼らは、何もかも失って、尼崎に来られた。
流された家の跡が今どうなっているのか全く知らない。
同じく流された隣人たちのその後の消息も知らないという。

隣人の電話番号にかけても、誰とも通じない。
チリチリﾊﾞﾗﾊﾞﾗになって、お互い連絡がつかない。
そろそろ、流された家が気になってしょうがない。

「瓦礫を５月末まで処分せよ」、との通達が行政から来たそうだ。
他人には瓦礫でも、当人にとっては宝の山。
人生がいっぱい詰まっている。

主人を見失った瓦礫たちは、今どこに保存されているのか。
誰が管理しているのか。
写真などの想い出の品が残るか否かで、今後の人生が左右される。

何一つ残らないなら、今後の人生に虚無感がつきまとう。
うつ病やアル中になるかもしれない。
一つでも思い出の写真が出てきたら、少しは元気が出るだろう。

家が無いので、帰る場所が無い。
帰っても何をしたらいいのか分からない。
仕事が無ければ、生きて行けない。

原発は、遠く離れている人ほど、恐怖感が強い。
政府発表が信じられないので一時帰宅も躊躇してしまう。
いつまでこの状態が続くのか想像もつかない。

いわき市は、とてつもなく広いそうだ。
また福島県は浜通り、中通り、会津で全く気候・風土が違うらしい。
浜通りが津波に飲まれたことに、関心が薄い県民もいるという。

メデイアでは岩手県、宮城県が注目されている。
福島県の津波被害は、メデイアがあまりとり上げない。
そういえば私もいわき市の市長さんは見たことがない。

昨夜、福島県知事は、「原発が終息しないと復興は考えられない」と言った。
以前、被災地の方に怒られたがこのブログで書いたことと同じことを言った。
福島県は、「現在進行形」なのだ。


だから、帰りたくても帰れない。

でも帰らなければ、何も進まない。
もちろん義援金も１円も届いていない。
行政から避難民に義援金に関する連絡も無い。

被災地に戻った子孫たちの仕事も無い。
様々な風評被害がボデイブローのように効いてくる。
誰を頼ればいいのか、誰を信じればいいのか・・・

故郷に帰りたいけど、帰るところが無い。

仕方がないので、「ＧＷにタクシーで帰ろうか」と話し合っていた。

だから、「新幹線無料パス」なのだ！

なんでこれが分かる政治家が、もっといないのかな？
明日にでも実現できて、被災者に少しでも喜んでもらえるのに・・・
医者と同じで、感性の問題なのか？それとも資質の問題なのか？

何のための政治家？
何のための国会？
一つくらい被災者に喜んでもらえることを、実行したらいいのに。