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二重ローン問題と生活・事業支援
産経新聞5月21日掲載、震災シリーズ第4話
2011年05月29日(日)
一番言いたいことを書かせて頂きました。
生活基盤あっても、医療・介護です。
このような意見を掲載してくれる産経新聞に感謝です。
二重ローン問題と生活・事業支援
生活基盤あってこその医療・介護
震災から2ケ月以上が経過。復興の足音が聞こえるものの、まだ手つかずに近い状態の場所もあります。政府による具体的な支援も不明な点が多い。家族を亡くし、家も流され、職場も仕事も無くなった方が沢山おられます。ローンだけが残った、という人も。
ある港で聞いた話です。津波が来ると聞いて、船で沖に向かった漁師さんもいたらしい。どうせ船が流されるなら、と津波を乗り越えようと試みた。船が流されると6000万円の借金だけが残ってしまい、生きて行けない。ならば、波を乗り越えようとチャレンジしたそうです。船は垂直になり、波に呑まれた・・・。小さな船でも、何千万円もします。家と同じで、借金をして買います。ローンの請求書は、今も届きます。「もし船さえあれば今すぐにでも乗りたい」という70歳代の漁師さんに出会いました。壊れた船を恨めしそうに眺めていました。もし船をプレゼントできればどんなに素敵だったしょう。悲嘆の中でも、漁への意欲は驚くほど強かった。
阪神大震災の時、酷い目にあった人は、国が少しは助けてくれるものだと思っていました。しかし届いたのは僅かな義援金だけ。「自助努力で立ち直りなさい」、との指示でした。結局、国は道路や鉄道を再建してくれましたが、個人の生活基盤の面倒は見てくれませんでした。今回、あの漁師さんは恐らく、もう漁に出られないでしょう。船が無くなっても借金だけは残る。いわゆる二重ローン。自分で立ち直れないなら、生活保護があるじゃないか。そういう専門家が多いことでしょう。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。生活保護受給者が全国で200万人まで急増しています。被災地でも、保護の申請が増えているそうです。借金返済に困ったら生活保護しかないのが現実です。「災害救助法」という法律は、応急処置の範囲しかカバーしていません。
今回、残ったローンに悩んでいる人が沢山おられます。決して表には出ません。そんな中、福島県相馬市ではいち早く「弁護士による無料相談室」が設置されました。その報酬も、国が面倒を見るべきでしょう。阪神大震災は、国と個人の関係が問われた機会でもありました。しかし、「国は個人支援には関知しない」を、今回、東北の地に適応すれば大変なことになりそうです。「マイナスの極み」からの再出発。しかし、再出発すらできない人の孤独死、自殺が予想されます。医療や介護以前に、まず「生活基盤の支援」です。個人をスタートラインに戻すにはどうすればいいのか。実は、我が国には、まだそのような仕組みがありません。一人一人、生活困窮度はみな異なります。個別の対応が必要です。阪神大震災の苦い教訓を、今こそ活かさねばなりません。被災者には、「助けてくれー」と是非とも声を上げて頂きたい。阪神大震災の被災者は、東北の被災者の声を応援しましょう。最も痛みが分かるはず。政治には、被災者を救済する法律なり仕組みを作ってもらいましょう。新しいルールを作り、次の自然災害に備えたいもの。私はそのような地道な活動をされている弁護士さんらを支援していきます。
先週、相馬市の孤児救済の支援金の振込先を間違いました。末尾の9が抜けていました。正しくは1033249。「振り込めないよ!」というお叱りの電話やFAXを沢山頂戴しました。しかし裏を返せば間違ったお陰で、いかに多くの人が孤児救済基金に振り込もうとして頂いたのか、実感できました。この場をお借りしてお詫びとお礼を申し上げます。
キーワード:災害救助法
第二次大戦後の第1回国会で「災害救助法案」が制定。元来、総合的災害救助法であったが、現在は厚労省所管となり一時的応急処置法に変質。そのため阪神大震災後に生活再建支援法運動が起きた。
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