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原発に頼らない社会
2011年06月01日(水)
「原発に頼らない社会」は、もはや揺るがない世界的潮流だろう。
着実に方向転換するしかないし、国政的議論も大切だ。
尊敬する色平哲郎医師の文章を転載させて頂く。
「原発に頼らない社会」をどう構築するか
日経メディカル 2011年5月31日 色平哲郎
現在、被災地では、もともと手薄だった医療の綱渡りの状況が続いている。
発災直後の急性期対応から、亜急性期、慢性期へと医療ニーズが変化するにつれ、
ますます「人の手」が求められるようになるのだが、なかなか調整がつかない。
とにかく医療、介護・福祉機関が連携を密にして、患者さんの孤立を防ぐしかない。
日本の医療界全体で被災地を支え、現状を少しでもよくしていければと
願うばかりだ。
それにしても、医療制度は「平時」を前提に編まれたものだとつくづく感じる。
大災害や戦争で平穏な状態が崩れれば、そのしわ寄せは弱いところに押し付けられる。
いかに平時を保っていくか。
原子力という制御不能なテクノロジーへの電力依存は、もはや限界だろう。
「脱原発」の議論が各所で高まっているが、未来バンク事業組合理事長の
田中優氏の言説は、ストレートにわれわれ素人にも届いてくる。
田中氏は、環境・経済・平和など、多彩なNGO活動で知られている。
彼の近著『原発に頼らない社会へ』には、これまであまり知られてこなかった
情報が満載されている。
例えば、電力会社の「儲け」があらかじめ保証されている「総括原価方式」という
仕組みをご存じだろうか。電力会社の最大のコストは発電所ではなく、
送電設備だという。送電ロスを防ぐために、電気を高圧で送電する。
この高圧線のコストがべらぼうに高い。
1キロメートル当たり「10億円」ともいわれる。東京電力は東北電力と共同で
青森県の下北半島に「東通原発」を造って、東京まで送電している。
その距離550キロメートル。
青森県の地方紙「東奥日報」によれば「1970年当時、
100万ボルトの送電線だけで2兆円かかる」とされていたそうだ。
田中氏は、次のように記している。
この莫大なコストは、「必要になったコスト」となり、「適正な報酬」を
掛けた額を加えて、電気料金収入総額になる。これが総括原価方式の仕組みだ。
必要になったコストに掛けた率が「報酬」になるのだから、その報酬額を
増やしたければ「必要になったコスト」を増やせばいいということになる。
たとえば約3兆円もかけた青森六ヶ所村の再処理工場、1兆円以上かけた
高速増殖炉もんじゅなど、コストが膨らんだ分だけ報酬額は増加するのだ。
(中略)
普通なら倒産するところだが、電力会社の場合は逆に利益になるのだ。
こうした焼け太りする構造が、日本の電力料金を高くしている。
アメリカの約3倍程度も高い(『原発に頼らない社会へ』P95)
あぜんとするほかない。事故を起こすほど焼け太るだなんて……。
こんな仕組みは変えなくてはいけない。今回の原発事故で
発生した賠償金は、政府がだいぶ肩代わりすることになろう。
しかし、その後が問題だ。そこで田中氏は、
コスト高の送電線網を「公共財」にしようと提案する。
まずは政府が補償する。
その賠償額は、はるかに東京電力の資産額を超えてしまう。
それならば、日本政府が賠償を肩代わりする担保として、電力会社から
送電線網を取り上げるのがいいと思うのだ。(中略)
その送電線を“自由化”することが重要なのだ。
ヨーロッパで行われているような電力の自由化は、3つに分けた事業の中の、
本来公共財となるインフラ部分を公共の所有としている。
その上で発電したい事業者は発電して送電線につなぎ、
配電事業者は送電線からの電気を販売すればいい。
(『原発に頼らない社会へ』 P28ー29)
菅直人首相がいささか唐突にぶちあげた「発送電の分離」とは、
このことを指している。電力は、医療機関にとっても命綱だ。
電力を安定して供給する体制をどうつくっていけばよいのか。
今後は素人、つまり特段の利害を持たない、一般の電力利用者を
含めた議論が必要になるのではなかろうか。
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この記事へのコメント
いつも
官僚と政治家さんがタヌキとキツネのばかしあい。
打算や
計算はおいといて
ちゃんと国の行く末を見据える人が話をしてほしい。
原子力について間違っていたと宣言した武田先生は潔いし応援したいと思う。
そんな国をつかさどる人間はいないのだろうか?!
Posted by きみきみ at 2011年06月01日 09:31 | 返信
エネルギー問題という国にとって最重要課題が原発事故によってクローズアップされるなんて
かなり次元の低い国になってしまいましたね日本の国は。
大学進学率がかなり高い、教育熱心な国なのだから教育基本方針を根底から作りなおし
何を勉強したいか、農業なのか、科学なのか、科学の中の原発なのか、
但し、その課題を勉強するからには水やエネルギーや天気やそれに付随する語学や
グローバルなお勉強の仕方を構築して、日本人として国を支える人を作る教育が今必要ですね。
Posted by ゆめゆめ at 2011年06月03日 04:42 | 返信
努力は貴重ですが、
情勢は遥かに前へ進んでいる:
宮城県沖~房総半島沖大地震と
東南・東南海・南海・日向灘連動の西日本大地震が差迫った
http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/85.html
Posted by たつまき at 2011年08月02日 11:36 | 返信
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