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気仙沼市大島
2011年06月04日(土)
尼崎市からは、いまも気仙沼に職員を派遣している。
以下、今朝の産経新聞兵庫版から、転載させて頂く。
6月4日産経新聞朝刊より
孤軍奮闘の訪問看護師さん
ー気仙沼市大島での在宅医療ー 長尾和宏
気仙沼湾にポッカリ浮かぶ、大島という島があります。結構大きな島ですが、なんと津波が島の中央部を超えてしまったそうです。4月30日、前日広島から寄贈され再開したばかりというフェリーに乗り込み、医療チームに混じって大島に渡りました。東京の大学、神奈川の大学、東北の大学から派遣された医師、看護師、薬剤師、理学療法師らがチームで活動されていました。2日前まで、ポンポン船で往復し、島の避難所まで歩いて通ったそうです。島には診療所が1軒しかありません。たった一人のお医者さんが、所用で何年かぶりに島を離れるという丁度その時に診療所に立ち寄りました。チームリーダーが診察を変わりました。その後、数日間診療所に泊まり込んで島の医療を守りました。大学病院から来た医師は、島の唯一の開業医と強い信頼を得て彼の手足となり働いていました。一方、島の中心地、大島小学校の保健室は救護室になり同僚らが診療していました。風邪や怪我の患者さんに混じって普段より血圧が上昇した患者さんが多いのが印象的でした。
午後は、島にたった一人しかいない訪問看護師さんに同行。島のあちこちに点在する在宅患者さんを訪問診療しました。認知症や脳梗塞後遺症の在宅療養風景は、尼崎で見るものと全く一緒でした。介護ベッドも介護者の疲れ具合も自分の日常とそっくり。当たり前ですが、お薬もすべて普段と全く同じ。日本の医療システムは凄い!訪問看護師さんの悩みは、島に1人しかいないので島を離れられないこと、でした。
岩手県や宮城県では、津波に流された診療所は、内陸部に仮設診療所を構えていました。
仮設医療モールも出来ていました。患者も開業医もどこかホッとした感じ。しかし避難所からタクシーで通院している患者さんもいました。「地域や住居あってこその医療機関」だとあらためて感じました。現在、全国から派遣されていた医療チームは避難所等から徐々に引き上げ、地元の医療機関に引き継ぎを行っています。
今後、放射能で大変な福島県の医療が心配です。避難を拒否して町に残る住民や在宅患者さんはどうなるのでしょうか。この国にいる限り必要な医療が受けられる体制であって欲しい。今後、巡回診療車による診療や、訪問看護師やヘルパーによる在宅ケアの充実が望まれます。今回の被災地はもともと医療機関が少ない地域です。震災後、医療過疎に拍車がかかっています。北海道の診療所のように、関東や関西から飛行機で「通勤」する医師が増えるかもしれません。
東北の高齢化率は、阪神間の約2倍だそうです。被災地の医療・介護は、超高齢化社会・日本の近未来を象徴しています。新たな介護施設の建設ができない現在、在宅療養患者さんはさらに増加します。大島の孤軍奮闘する訪問看護師さんを思い出しながら、今日も大変恵まれた都会での在宅医療に携わっています。
今回の被災地での活動が記録映画になり、近日公開されます。「無常素描」大宮浩一監督作品。配給、東風。東京6月17日~、大阪7月2日~。大島の様子も出ると思います。
キーワード:気仙沼市大島
気仙沼湾の入口に位置し、「気仙沼の防波堤」とも呼ばれる東北地方最大の有人島。津波で孤立したため、アメリカ海軍航空隊と海兵隊による支援活動が行われた。
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この記事へのコメント
初めてメールします。
先日大島への医療救護の参加した際に先生にお会いし貴重なお話をうかがわせて頂いた聖マリアンナ医科大学病院の看護師の五十嵐 恵と申しますj。聖マリアンナ医科大学は5月をもち医療救護を終了しました。救護に参加したメンバー、病院で派遣を支えてくださった方々も今後の復興について沢山の思いを抱いている事と思います。自分自身沢山の思いの中ですごしています。今後先生は復興に対して医療者としてどのようなサポートを考えていらっしゃるかお考えを聞かせいただければ幸いです。突然のメール、乱文で失礼します。先生のご活躍を願っています。
Posted by 五十嵐 恵 at 2011年06月05日 11:51 | 返信
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