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相馬市での放射線説明会

2011年06月07日(火)

昨日、福島県相馬市で住民への放射線説明会が開催された。
東京大学の上昌広教授のグループが頑張って活動しておられる。
以下、上教室の坪倉医師と、薬剤師の尾形さんの文章を転載させて頂く。

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上研究室の坪倉です。

現在、我々のグループでは、相馬市、南相馬市で、市民の皆さんを対象にして、放射線についての説明会を行っています。

相馬市は市からの依頼を受けて行っており、南相馬では市立病院の及川先生のご尽力にて実現しています。

今日は相馬市の日立木地区。全体で6回目、250人程度の参加でした。

 

毎回、45分程度講演をして、その後質問を受けるのですが、
90分ぐらい質問が続きます。

アンケートをとり、1番不安なことなどを答えていただいているのですが、

基本的には2群に分かれる印象です。1つ目は食物の安全性(ご自身が農業を行っている方に特に多いです)、2つ目は家族(特に子供)への健康被害です。もちろん若い方や小さい子供、孫を持つ方に多いです。

意外なのは、あまり住居問題や金銭問題を大きく問題とする方が少ないことです。

 

基本的に20mSV以上は危ないか、危なくないかみたいな神学論争は誰も聞いていません。数字は求めていません。

具体的な生活のアドバイスを求める質問がほとんどです。

受け答えとしては、

 

「洗濯物は外に干していいの? 窓はあけていいの?」

「食べ物はどれが安全なの?」

「うちの野菜は安全?いつから農業初めてもいいの?」

「どぶさらいをした後の土はどこに捨てればいいの?」

「うちのクーラーはつけると外界のホコリがどれぐらい入るの?」

「子供に健診を受けさせたいが、どの時期から何をどれぐらいの期間?」

「この地域の細かい検査はいつしてくれるの?」

といった、具体的な生活の指標となる話を聞きたい人ばかりです。

今から避難するかどうかみたいな判断を求めて聞きにくる人はいなくなっています。

 

以上ご報告です。データの集積中ですので、溜まり次第報告致します。

 

坪倉 正治



放射線説明会の報告(坪倉正治先生による)
6月6日福島県相馬市日立木地区

 
福島県の尾形です。

 

 本日、相馬市立日立木小学校で開催された説明会に出席してきました。先ほど、講師を務められた坪倉先生からご報告がありましたが、聴講者として少し補足させてください。

 

 私は今回で坪倉先生講師の説明会6回のうち2回(毎回バージョンアップされていると感じます)、上先生1回の計3回説明会を受講しております。

 

 いつも感じるのは、ほとんどの住民が未だに福島第一原発から大気中に多くの放射性物質が放出され続けており、毎日各地で報告されている線量は、その放出され続けている量をカウントしていると思っているという事実です。おそらく、日本中の多くの国民が疑いもなくそう思っているのでしょう。実際は、3月にばらまかれた放射性物質が各地にホコリのように堆積し、そこから放出される放射線の線量をカウントしていると考えられるのに、多くの方々は、空気中に浮遊している放射性物質をカウントしていると思っているのです。ですから、窓を開けていいいのか、とか、エアコンを使っていいのか、とか、洗濯物を外に干していいのか、などの質問が必ず出るのです。

 

 ちなみに、エアコンについては各社の状況をホームページ等から調べました。その結果、空気清浄機能や換気機能がついている機種は家庭用では多くはありませんでした。別の言い方をすれば、価格の高い、多機能の機種にはその機能が付いており、安い(10万円以下程度)にはついていません。見分け方は、説明書に記載してありますがもっと簡単には、リモコンを見ると分かります。従って、今後は原発が新たに爆発しない限りは気にする必要はなく、風が強くてホコリが舞うようでしたらリモコンで換気をOFFにすれば良いと思います。

 

 次に住民が心配いているのは、子どもの健康です。日常被曝に安全ラインはあるのかということですが、これは先生方がおっしゃるとおり、「わからない」が正しいと思います。放射線への感受性の個体差や被曝量の差は、個人個人でかなり違うでしょうし、今後の生活域もみんな違うでしょう。過去のデータも少ないし、今回ののような低レベルで長期に渡る場合は更に見解が分かれる所でしょうが、すべては予測にすぎないのではないでしょうか。それよりも重要なのは、精神的なストレスや行動制限によるリスクをどう軽減していけるか、具体的対応策や正しい理解で少しでも安心を得ることができるのか、などです。

 

 相馬市では、あと7回各地区で開催が予定されております。(相馬市ホームページに日程掲載)先生の、本当に丁寧な質疑応答により、多くの市民の安心が増えていっていることはまぎれもない事実です。お忙しい中、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

 

 最後に、今日あった住民からの質問で、坪倉先生の専門外のものを紹介します。

 

 まず、農作物の残留放射性物質についてです。まだ、データが少ない中、先生が説明しておられましたが、関係の方々の研究結果の公表をできるだけ多く、詳細(成長の過程、時期や部位等)になされることを望みます。

 

 次に、農耕地や森林等の除染についてです。方法はあるのか、経年変化による減少はどの程度見込めるのか、などです。これも、はっきりしないところだとは思いますが、汚染地域に暮らす住民や農民とっては重要な問題です。

 

 最後に、プルトニウムの分布です。反応後燃料に含まれる分とモックス燃料に含まれる分について、微量といいながらその詳細はあまりはっきり公表されていないと思います。20km以内については、そのほかの核種についても情報が少なすぎます。避難している住民に対してももう少し詳細な情報が必要なのではないでしょうか。正確な情報が、ストレスの軽減と安心につながるのです。

 

尾形 眞一

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