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東北と世界と平和
2011年06月19日(日)
しかし、世界が東北を見つめている。その視線は、平和に向かうべきだろう。
先の先にあることを書いてみた。昨日の産経新聞から転載させて頂く。
第8回(6月18日) 東北と世界と平和 (震災シリーズ最終回) 長尾和宏
平和こそ最大の鎮魂
今日から東京を皮切りに記録映画「無常素描」が公開されます。8日間被災地を巡った私を追ったカメラが捉えた単なる映像です。ナレーションも字幕も音楽も何もない無機質な画像は、むしろ海外の方に観て頂いた方が良いのかもしれません。同時に、本日午後「阪神から東北を想う会」をアクタ西宮で開催します。私から活動報告をさせて頂き、阪神からできる支援を考えます。
7月9日には、阪神大震災の時、阪急西宮北口駅前の八百屋さんの立ち退き問題に関わられた弁護士さんによる「被災者の生活支援」のお話も加わり、尼崎の労働福祉会館でも開催します。
さて、東北は世界に大きな影響を与えました。世界は、東北人の我慢強さ、崇高さに驚きました。私自身も被災地を巡って感動しました。酷い目にあっているのにパニックにならず穏やかなのです。女川町には、中国人研修生を助けながら自分は犠牲になられた水産加工会社の佐藤充さんという方がおられました。助けられた研修生たちが、中国に帰り佐藤さんの行為に感謝しました。それがネット上で広がり、多くの中国人が佐藤さんに感謝し特に若者の間で日本の評価が変わりつつあるそうです。佐藤さんのお陰で、5月、中国と韓国と日本の首脳が一堂に笑顔で会しました。東アジアの関係が、少し変わったように感じました。お隣、台湾からは、実に多額の義援金を頂きました。その他、アジアの国々の裏通りでも、募金活動が行われました。タイの象さんまで募金活動に一役かってくれました。アメリカ軍にも助けて頂きました。「トモダチ作戦」。いろんなご意見があるのでしょうが感謝しています。ヨーロッパでは、知人が街角で福島県相馬市の震災孤児のために募金をしてくれました。NYでは、なんと被災地の学生が渡米し募金活動をしている。今も、世界中が、東北を、熱い心で支援し続けてくれています。
神戸大学のロニー・アレキサンダー教授は、被災地を訪れて、子供達にクレヨンで絵を書いてもらっています。同時に、海外でも同じことをしています。絵を通して、子供たちの心の交流、グリーフケアを行っているのです。ここにも、阪神の教訓が活きています。16年前の阪神を経験した子供たちは、今、世の中で活躍しています。辛い経験をした子供達は、人の痛みが分かる大人に成長しました。私が知っている狭い世界だけでも、震災を通じてこれだけの繋がりがあります。まさに、「絆」。きっと、無数の絆があって、やがて大きな束になることを願っています。
文明学者の梅棹忠夫先生は、「文明は破滅に向かうしかない」と絶望しました。しかし、ひとすじの「光明」がある、とも言い残されました。その「光明」とは、東北人の忍耐強さだったのでしょうか。また、東北に想いを寄せた「世界の善意」だったのでしょうか。権力者も名も無き人々も気持がひとつになった瞬間が確かにあった、ように感じます。大きな地球が少し共鳴した。自然の前で、世界中が少しだけ謙虚になりました。
東北は間違いなく、世界に繋がっています。世界は平和に向かって、少し方向転換したように思いますし、そうあって欲しい。多くの犠牲者の魂、今も苦しんでおられる特に原発周囲の人々の御苦労をプラスに転化しなくては。震災と平和。おかしいでしょうか。私は、両者は確実に繋がっていると思います。
キーワード:ロニー・アレキサンダー教授(神戸大学)
国際関係論・平和研究者。核問題、ジェンダーと平和、平和学,平和教育者の専門。ポーポキ・ピース・プロジェクトを中心に「ポーポキ, 平和ってなに色?』(エピック)などの著書がある。
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