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認知症ケアの未来
長谷川式テストの長谷川先生
2011年09月11日(日)
長谷川式テストで有名な長谷川和夫先生の講義を拝聴した。
長谷川先生は、認知症ケアの要点をレビューされた。
市民のほうが、医師よりも認知症ケアを知っていることを指摘された。
「認知症フォーラム」が東京で開催された。
前半のテーマは【認知症治療の新たな選択肢】
愛媛大学の谷向知先生が講演され、
うえきメンタル・認知症クリニックの植木昭紀先生と
国立広島西医療センター 片山禎夫先生の2人が症例提示された。
アセチルコリンは、コリンエステラーゼによって分解されるが
リバスチグミンは、2つのコリンエステラーゼ
・アセチルコリンエステラーゼと
・ブチリルコリンエステラーゼをの
両方を強力に阻害する薬である。
リハスチグミンという貼り薬の効果が明らかになってきた。
リバスチグミンは、1997年にスイスにおいて販売承認された。
軽度および中等度のアルツハイマー型認知症の中核症状の進行を抑制する。
ADL、QOLの維持が望める薬。
貼り薬なので、吐き気などの消化器症状の副作用が少ない。
4.5 、 9 、13.5、 18mgの4製剤があるが、
低容量でも効く症例があることが示された。
リバスチグミンは
・貼り薬であること
・ADL低下を抑制する、薬だ。
【これからの認知症診療への期待】
聖マリアンナ医大の長谷川和夫先生のご講演を拝聴した。
言わずと知れた「長谷川式テスト」の発案者だ。
長谷川先生のお話をうかがうのは、5回目くらいだろうか。
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今から100年前から、アルツハイマー病の物語が始まった。
βアミロイド、タウたんぱくが原因物質であることが判明。
コリンエステラーゼ阻害薬は、アミロイドカスケードの下流の薬。
上流をターゲットにしたAβワクチン開発は、目処がたっていない。
新薬が出たからといっても過剰な期待はできない。
アルツハイマー病とは
・ADLの病気
・いつのまにか発症して、緩徐に進行する(進行が最大特徴!)
全経過は10~15年。
⇒進行抑制だけでも大きな仕事
しかし、薬が効いているか不安なこともある。
かかりつけ医と専門医の連携が重要だ。
かかりつけ医は、入口と出口(看取り)を担う。
認知症診療におけるかかりつけ医の役割はますます大きくなる。
【長谷川式テスト】
30点満点。
20点以下だと、認知症を疑う。
追加質問として、
最近のニュースの質問を加えることも大切。
構成障害が全面に出て、記憶障害が最初は保たれる
症例もあるので注意を要する。
家族も当事者である。
家族をあてにした介護は間違い。
家族は、記憶障害(中核症状)よりも
行動障害(周辺症状)の方が介護者は辛い。
【軽度認知症(MCI)】
現段階ではまだ病気ではない。
日常生活にも影響が無い。
MCIの告知には生活権にも関係する。
MCIの取り扱いには慎重にする。
【DSM-Ⅴ】では、認知症の概念を変えようとしている。
(現在進行形の話)
De-mentia、すなわち
Neurocognitive Disorder
神経認知障害という言葉に置き換える方向になる。
・大認知症障害=認知症
・小神経認知症=MCI
記憶がないということは、明日に自信が無い。
ちょっとしたことで不安になる。(認知症患者の言葉)
・その人の視点にたったケア
・その人らしさを大切にするケア
を目指すべき。
そのためには
・ゆっくりとした時の流れ
・なじみの環境
・安心できる絆
・聴くことを第一に(傾聴が優先、こちらが話してはダメ)
・目を見て話す(
・フィーリング、気分を大切にして話す
⇒何を話すかではなく、
いかに話すかが重要である!
ここまで聞いて、「つどい場さくらちゃん」を思い出した。
そのまんまだなー・・・
左脳=認知機能
右脳=感情を司る。
⇒認知症になると左脳が落ちるので
相対的に右脳の機能が高まる。
認知症は、ずれ(ギャップ)があることを周囲も認識する。
そのひとを受け入れることが大切
患者は物語をもって来院したのに
診断名だけをもらって帰る(河合はや雄)
東京医大の飯森教授(精神神経雑誌 2011)
精神療法を深めるもの
1 適切なタイミング
2 柔軟性をもつこと
3 語り方、「良い耳」、とともに「良い声」
言葉は、Vebal ではなく、Vocalなもの。
ムンテラとは、語ることだけではない。
聴くことだ。
医療とケアのサービスは
人のライフを対象とする。
生命:生物学的な「いのち」
生活:個別的な「くらし」
人生:ユニークな自分史
認知症を知り地域をつくる10ケ年キャンペーンがある。
サポーターを養成しているが、これからだ。
人生、90歳の時代が来る。
認知症の有病率は、60%になるだろう。
家族がいない独居の認知症患者が増える。
市民が助け合うシステムを今から作っておくことが重要だ。
薬の管理、冷蔵庫の管理は大丈夫か、衛生状態、睡眠状態
の管理は地域でやるしかない。
地域包括のコーデイネーターが主役になる時代だ。
市民のほうが、医療者より先に行っているところが沢山ある。
さすが長谷川先生は、現状を知っておられた。
感激した私は、お元気な長谷川先生と記念撮影して頂いた。
ケアの話になったら、席を立つ医師が何人かいた。
いちばん大切な話を聴いていないのが、辛かった。
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この記事へのコメント
認知症のお年寄りが介護保険の新規申請にこられました。
自分で認知症専門医の診断を受け
介護保険を申請に来ました。
娘さんに迷惑かけたくないと来られました・・・。
「自分は部屋の中で徘徊するのだ」と話すその方に
複雑な心境になりました。
今日ブログで書いてみようと思います。
Posted by きみきみ at 2011年09月12日 10:29 | 返信
なにか、胸いっぱいですね。
本当に不安な中で精いっぱい生活をしたいる人の姿を感じました。
大変なお仕事でしょうが、頑張ってください。
そして、自分をリフレッシュすることも大事に下くださいませ
Posted by 匿名 at 2011年09月20日 08:22 | 返信
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