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完全に「想定内」だった水素爆発

「多様性」を考慮しなかった非常用電源の設置場所

2011年09月11日(日)

米国の科学者は、福島第一原発爆発を見事にシミュレーションしていた。
その予想どうりに、福島の事故は起こった。
マーク1の水素爆発は、明らかに「想定内」だったのだ!では、犯人は誰?

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今夜の、ETV特集、「アメリカから見た福島原発事故」より。

今回の失敗から、我々は何を学ぶか?

1980年代、アメリカ国内では、マーク1(アメリカGE社製)
を廃止すべきか、すでに検討されていた。

実は、1989年、NRCは、マーク1の爆発を想定できていた!

廃止すべきだという議論もあった。
しかし、当時のアメリカでそれを公言することはできなかった。
またその情報は日本に十分に伝わらなかった。

そこで、「ベント」という放射性物質の放出装置が検討された。
しかしそもそも、「格納容器」と「ベント」は、自己矛盾する概念。
だからフィルターの設置は、「自己判断」とされた。

もしフィルターを付けていたら、放射能の排出は
少し軽減されただろう。
また、ベントのバックアップ機能も不十分だった。

アメリカのマーク1は、アメリカの東側(地震が少ない地域)に多い。
だからアメリカでの議論は深まらなかった。
日本の原発には、マーク1は10基ある。(54基中)

地震による全電源喪失は、ほとんど想定されなかった。

福島の非常用発電機が、同時に「使用不能」になっていた。
原子炉1基につき、2つの非常用電源が、
タービン建屋の地下に設置されていた。

何故か2台とも同じような場所に置かれていた。
これが大きな過ちだった。
非常用には、「多様性」を持たせるべきだった。

今回の事故の本質は、非常用発電機の
設置場所にあった。

アメリカでは、違う場所に設置するのが常識。
1基につき、非常用発電機が4台ある。

福島では、非常用発電機8台のうち6台が海側に置かれていた。
福島では、設置場所の「多様性」は考慮されていなかった。
これが「フクシマ」の本質だ。

ひとつの異常で非常用電源すべてが機能しなくなることは
あってはならないこと。
しかし、フクシマでは、それが通っていた。

つまり、単なる、設計ミスだったのだ。

東電も、メーカーも何故気がつかなかったのか。
担当者の責任は極めて重い。
今後の更なる検証が必要だ。

当時の責任者は「マグニチュード9.0は想定外だった」
と必死の言い訳をしている。
「隕石が落ちることと同じだ」、と言い逃れている。

信頼性が高いことと、安全性が高いことは、意味が違う。
日本は最悪の事態を考えなかった。
つねに過小評価する傾向がある。

データに基づかず、感情に基づいた「安全」が
まかり通ってきた。

「安全」の設計が間違っていた。
「確率論的安全評価」の間違い。
そこで思考停止してしまった。

「確率論」が、「安全」の哲学を欠いていた。

核兵器と原発が生む
「秘密主義」の結果がフクシマに至った。
原子力は、「タブー」が多い。

原子力技術も、分業、縦割りだった。
情報が、活かされなかった。
まさに「原子力ムラ」だったのだ。

原子力は、皮肉なことに
近代科学主義から一番遠いところにいた。
長い間に、秘密体質が、安全だという勘違いに至った。


さて、現在稼働中の原発の安全性は、本当に大丈夫なのか。

情報公開は十分か?
秘密主義から脱却できるか?
非常時のレスキュー手段の多様性は確保できているか?
分業、縦割りは本当に解消できるか?

安全を語るときに
「想定を決めて想定外を無視する」ことが
もっとも危険なのだ!

除染は、単なる「移動」にすぎない。
放射能が無くなることは無い。

18、19日は、さらに原発事故の本質に迫る放映がある。






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