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死んでも続ける抗がん剤治療
2011年09月29日(木)
死んでも抗がん剤が、ポタポタ落ちていた。
死んだ人の口の中にTS-1が残っていた・・・
多くの、末期がんやその手前のひとを診ている。
診ていると言っても、やることは2つ。
緩和医療と、説明(ムンテラ)。
このムンテラが、9割を占める。
病院抗がん医療と在宅緩和ケアの文化が、
日本とアフリカ以上に異なるからだ。
○○癌の高名な専門家から質問を受けたことがある。
「○○癌で死ぬ時は、どうなって死ぬの?」
その大先生は、自分の専門である○○癌の死に際を一人も
診たことがない、というから驚きた。
癌は診ても、その癌での死に際は診たことがない。
私はこう教えた。
末期がんの特徴は、死ぬ直前までADLがいいことです。
死ぬ当日まで食べて歩いている人は、いくらでもいます。
がん拠点病院は、死ぬ直前まで、引っ張る。
抗がん剤治療を続ける。
死んでも抗がん剤治療が続いている。
まるで、「抗がん剤を続ける限り死なない」と錯覚させるようなロジックを使う。
タクシーで来院し、車椅子で外来に運ばれたひとに抗がん剤を打つ。
入院させると、高カロリー輸液をし、水を抜き、麻酔で眠らせる。
これが、最高の医療、最高の緩和医療だと信じて、そう教育する。
喜劇!
患者さんには、悲劇。
何と言えばいいのか。
私のような癌医療の最下流にいるものは、
毎日、同じような説明を繰り返す日々だ。
もう、飽きた。
というか、いい加減にしてほしい。
医療者ではなく、患者会の代表になろうかとも思う。
以上は「人権問題」だと私は認識している。
こんな大切な議論を抜きにして
がん医療政策や、医療費議論を行っても
まさに机上の空論だ。
人間復興の医療へ!
これは、「医学教育」から始まる。
今週の研修医は、実にいい。
連日、23時過ぎまでみっちり教えている。
今日もこれから、私の講演をビットリ聞かせて
末期がんの患者さんの家で、お別れ会(生前葬)を一緒にして
在宅ホスピス医との懇談会に連れ回す。
今日も午前様だろう。
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この記事へのコメント
長尾先生のようなドクターさんを沢山育ててください。
長尾先生もイケメンですよ!
先生に往診に連れて行って下さった時の患者様に添えられた
先生の手が忘れられません。
優しい手、優しい語り方でした。
Posted by ゆうこ at 2011年09月29日 12:35 | 返信
ガン拠点病院で看護師してます。
長尾先生の日記を読んで、うちのガン拠点病院はまだましかもしれない、と思いました。
すくなくとも 亡くなった患者さんの口の中にTS-1が残っているようなことは、
わたしは見たことがありません。
患者さんによっては 最期まで治療することを望む方もおられます。
もしくは家族が望む場合も多いです。
病棟の主治医たちは若く、人生経験が深いとは言えません。
そんな主治医たちは 患者さん、ご家族に望まれるとそのまま受け入れてしまいます。
そんな治療したくない と思っていたとしても、それを断ることができない
自分の意見・意思を伝えることができない、もしくは しないのです。
上につくフォローの医師の指示に従い、治療を続けるのです。
よくわかりませんが、今の医療の流行り?? なのであれば、
医師のタマゴへの教育が歪んでいると思います。
長尾先生のところで研修を積んだ方々が どうぞまっとうな医師になってくださいますよう。
切に願います。
Posted by 果実 at 2011年10月05日 01:20 | 返信
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