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食後に採血する意味
2011年11月06日(日)
採血=空腹時とは限らない。
人によっては、食後2時間で採血してもらっている。
生活習慣病シリーズ第4回
わざわざ食後に採血する意味
食後の高血糖や高脂血症の怖さ
みなさん、採血というと空腹時に行うものだと思い込んでいませんか?実は、それは過去の話。今後は、わざと食後に調べる場合もあることを知ってください。今日は、日本人の「食後」に何が起こっているか、のお話。もちろん健康診断などは空腹時採血と決められています。しかし空腹時の値は正常でも、食後にビックリする位に、血糖値や中性脂肪値が上がる人が結構おられます。採血した血液スピッツをよく見ると、上澄み(血清)が白く濁っています。まさにこれが「血液ドロドロ」の状態です。
食後にいったい何が起こるのか?血糖がどこまで上がるのか?中性脂肪もどこまで上がるのか?「食後」というブラックボックスに関する研究が進んでいます。空腹時血糖が同じ100であっても、食後2時間の血糖値が120の人と、250の人がいます。前者は正常人、後者は立派な糖尿病患者です。その間は糖尿病予備軍。糖尿病は、最初から空腹時血糖が高い訳ではありません。空腹時は正常でも、食べた後がドカンと上がる、これが糖尿病の始まりなのです。この状態を「食後高血糖」と言います。この「食後高血糖」の段階でも充分、動脈硬化が起きることが分かっています。血糖の絶対値も大切ですが、食後の血糖の上がりかた(勾配)がもっと問題なのです。中性脂肪もこれと全く同じ。空腹時の中性脂肪が100(正常範囲は150以下)であっても、食後に130までしか上がらない人もいれば、同じ食事を食べても簡単に1000以上に上がる人がいます。空腹時の値だけ見ていては、病気は発見できません。実際に食べてみないとホントのところがよく分からないのです。食後に大きく変動する値として血糖や中性脂肪が代表的ですが、コレステロールや尿酸値も少し上がります。黄疸の指標であるビリルビンのように、逆に空腹時に少し上がるというものもあります。糖尿病の診断に、よく75gブドウ糖負荷試験が行われます。しかし独自の試験食での研究が進んでいます。あるクッキーや特定のハンバーガーなどの「食品」を食べてから、1時間後、2時間後の血糖や中性脂肪を測るのです。糖質と脂質を含む試験食を使い、血糖と脂質の両方を調べるのです。
同じ食事でも時間をかけて食べると血糖や中性脂肪の上がり方は緩やかになります。「早食いは生活習慣病のもと」です。よく噛んでゆっくり食べることが大切。できれば、30回以上噛んでから飲み込んでください。江戸時代は最低それくらい噛んでいたそうですが、現代人はあまり噛みませんね。「丸呑み」に近い人もいます。これも生活習習慣病の一因。
偶然採血して血糖値や中性脂肪値が高い場合、「食後だから」と放置する人がいます。しかし食後高血糖や食後高中性脂肪血症を決して侮らないでください。ジェットコースターのような上がり下がりが良くないのです。どこまで上がるかは、調べてみないと分かりません。これらは動脈硬化の重要な危険因子なのです。たまには、普段食べている食事をしっかり食べてから2時間後に採血してみてください。簡単なことですが、得られた情報の意義は極めて高いのです。
キーワード:クッキーテスト
75gのブドウ糖に相当するクッキーを使用する負荷試験。小麦粉澱粉75gとバター24gが含まれており、糖質と脂質の処理能を同時に評価できる食品的な試験食のひとつ。
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