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空腹の時間帯が無い現代人
2011年11月06日(日)
絶食で胃カメラをしても、胃の中に食べ物が残っている人が時々いる。
産経新聞に連載中の「生活習慣病シリーズ」の3回目。
生活習慣病シリーズ3 空腹の時間帯が無い現代人
あなたも空腹恐怖症!?
その人に必要なカロリーの25%を削減(カロリス)するだけで、生活習慣病は改善し、見た目は若返りし、認知症になりにくい。但し栄養素のバランスを保つことが大切。あと、高齢者は対象外。メタボ世代の方が主治医と相談して行うのが「カロリス」なのです。
さて、ひとつ単純な質問です。健康な人間はどれくらい食べないと死んでしまうのでしょうか?水は飲んで構いません。私は講演会などでよくこの質問をします。1日、で手を挙げる人は少ないですが、何人かいました。3日、で手を挙げる人が結構います。1週間以内の人も多い。若い人たちは、2週間までで大半の手が挙がります。戦争体験のある老人は少なくとも1ケ月位では死なないことを、身をもって知っています。正解は、とりあえず数ケ月以上!だと思います。年単位という意見もあるくらい、簡単に死なないのです。
一度でいいから暇なときに、自分で1日だけ実験をしてください。朝起きて、水分は摂るが食べない。昼も食べない。夕方になると強烈に空腹感が出現します。前の食事から24時間食べていない。震えがきて、イライラして、力が抜けそうになります。Dr和を恨めしく思うかも。そこを、グッと我慢します。このまま死ぬんじゃないか?大丈夫、絶対に死にません!そして夜になると、どうでしょう。空腹感はスッと消え体は軽くなり、頭の中がスッキリします。そう、スイッチが切り換わったののです。何のスイッチ?何をエネルギー源として利用するかのスイッチが自動的に切り替わった。
それまでは口から食べたものをエネルギー源として利用していたのが、自らの内臓脂肪をエネルギー源として利用するモードにスイッチが切り変わった。一旦、切り変わったら、もう至福の世界。鬱な気分も、ハイに変わる。空腹なのに空腹感を感じなくなるのです。「このままもっと食べないでいたーい!」と思うかも。しかし現代人の大半、子供の全員は一度でもそのような経験をしたことがありません。生まれた時から溢れる食べ物に囲まれて育ちます。ご飯の時間になったらたとえお腹が空いていなくても、「食べなくちゃ」「食べないと元気が出ないから無理してでも」という強迫観念で食べている人もいます。何かストレスがあると食べることで解消しようとする。現代人は24時間、空腹になる時間帯がほとんど無いのが特徴です。胃カメラで、朝、空腹の人の胃の中を覗いてみると、前日の夕食が結構残っています。胃の動きが悪いのと、遅い夕食のせい。一晩寝ても空腹になっていない。空腹で採血をしようと言うと「死んだらどうするんだ」と真顔で怒る人。現代人は空腹恐怖症、そしてブドウ糖依存症(どちらも私が命名)に陥っていると感じます。
イスラム教には「ラマダン」という儀式があります。一方、日本には、週末断食やプチ断食があります。時には一食ないし二食を抜いてみて下さい。これは胃腸が専門の私の立場からみても、非常に好ましいこと。時々胃腸を休ませると胃腸は喜びます。カロリスついでに、是非、一度でいいから週末断食を試みてください。きっと今まで知らなかった世界が見えてきます。メタボの方は、自分が空腹恐怖症かどうかのテストになる。手始めに、空腹で寝る練習からやってください。空腹は、「快感!」であることに気が付くはずです。
キーワード:ラマダン
イスラム教徒は第9の月(ラマダン)の1ケ月間は、日の出から日没までの飲食が一切禁止される。夜の飲食は構わない。アラーの神に祈りを捧げるイスラム教徒にとって神聖な1ケ月。
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