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診療所も積極的にがん医療に参画を(その1)
2011年11月06日(日)
医療タイムスへの連載は、今回から「がんシリーズ」で書いている。
診療所こそ、がん医療にもっと積極的に関わるべきではないのか?
そんな思いで書きだした。
冬の時代の診療所経営9月号
診療所も積極的にがん医療に参画を(その1)
一般診療所の多くは、生活習慣病をターゲットにしているところが多いと思います。特に特定検診制度が導入されて以後は、診療科を問わず心・血管イベント抑制のための検診と診療に力が入ってきました。一方、がん医療における診療所の役割はどうでしょうか?
「がんは手ごわい、がんは専門医に」、という診療所が大半ではないでしょうか?しかし2人に1人ががんの時代。まさに国民病ともいえるがん医療に、地域の診療所はもっと積極的に関わるべきだと考えます。というわけで今回から3回、がん医療について書きます。
がん医療を、予防、診断、治療、緩和医療の4つのフェーズに分けて考えてみましょう。結論からいえば、開業医が参画できないのは、入院下での化学療法と放射線療法のみ。それ以外のフェーズに、開業医がもっともっと積極的に参画するべきだと思います。
まず、がんの一次予防としての生活習慣病診療。これを意識した外来診療や栄養指導は、極めて重要です。次にがん検診にももっと積極的に関与すべき。尼崎市では、市が主体となったがん予防事業として、大腸がん検診、胃がん検診、乳がん検診、肝炎ウイルス検診などが行われていますが、充分に活用できていません。特に尼崎は肝炎多発地域です。肝炎ウイルス検診をもっと市民に啓発すべきだと自省するところです。
次に、エコー検査の充実とPSA検診です。エコー検査ほど簡便で、がん発見に役立つものは無いと思います。肝臓がん、すい臓がん、腎臓がん、膀胱がんなどは、一般診療所でも沢山発見されます。一般診療所は、今後エコー検査に力を入れるべきだと思います。さらに血液中のPSA検査は、一般診療所でも充分可能です。但し無症状の方への検査は保険診療はできませんので、自費診療としてしっかり区別して診療ことが肝要です。腫瘍マーカー検査を希望される患者さんが結構おられますが、これも症状があり保険診療では画像診断との併用が望ましいなど厳しい縛りがありますので、自費診療として行うべき。一方、腫瘍マーカーを契機に発見されたがんが、生命予後に本当に影響するか、また医療経済学的に意味があるものなのか、EBMの積み重ねとセットで議論されるべきでしょう。
慶応大学の近藤誠先生は、「がん検診は百害あって一利なし」と言われます。しかし町医者としては、「一利くらいはあるだろう」と思うがんを沢山経験してきました。全部意味が無かったのか?と思い直してみても、絶対そうではないと思える症例が沢山浮かんできます。都道府県や国家レベルでの「がん検診のEBM」の積み重ねを期待しますが、町医者では「NBM(Narrative based medicine)としてのがん検診もあり」だと考えるのは間違いでしょうか。すなわち町医者はがん医療の入り口として最重要な位置にいます。偶然に見つかったがんの中に、助かるがんが沢山含まれています。がん対策基本法の理念が徐々に浸透し、がん拠点病院と地域の診療所の連携が少しずつ前進しています。今後、5大がんの地域連携パスなど、地域医療連携がますます盛んになるでしょう。しかし、がん発見の最初の窓口として、診療所の役割も益々大きくなると思います。各診療所でのがん検診の精度管理を検証する日も近いと感じます。
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