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胃瘻問題のロールプレイ

2011年11月19日(土)

今日の阪神ホームホスピスを考える会は、胃瘻問題だった。
西宮の土山雅人先生による明快なレクチャーに続いて、ロールプレイを行った。
私は、99歳の弱った老人に懸命に胃瘻を勧める病院医師の役が当たった。
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99歳の老人、妻、娘、娘婿、ケアマネ、訪問看護師、かかりつけの在宅医。
ぶっつけ本番のキャスエイングで、筋書きのない、ドラマが始まった。
全員素人演技の割には、面白かった。

私は、一生懸命胃瘻を勧めるが、家族は反対。
在宅医も懐疑的で、自然に任せようと、アドバイスする。
私が悪役を演じる格好になった。

楽しかったあとに、少し、感想を述べた。

みんな胃瘻は嫌だという。
しかし、現実には胃瘻がバンバン入れられている。
そこには、さまざまな問題がある。

アピタルブログでも書いたし、
尊厳死協会での講演はロハスメデイカルにアップして頂いた。

最後に、「尊厳死法制化の現状」について少しお話した。
「延命治療の差し支えに関する医師の免責法案」
この話は、本当は1時間かけてするところだが、5分しか時間が無かった。

終了後、1人の市民の方が詰め寄ってこられた。
私を睨んでいる。

「自分の身内を胃瘻で看取ったがどこが悪いか」
「障害児のことを考えたら間違っていいる」・・・

そもそもリビングウイルとは
・延命治療を望まない本人の意思
・他人や家族の延命治療をとやかく言うものではない
と、一生懸命説明するも、睨めつける顔は変わらない。

きっとその方には、私は、弱者をいじめる優生思想の医師と
インプットされているようだ。
一度誤解されるともうダメ。

尊厳死の問題を説明するのは難しい。
リビングウイルと言い換えたほうがまだまし。
幸福追求権という基本的人権と言なかなか理解されない。


そこで私は、思いついた。
これは映像でしか、使えることはできない。
いくらお話しても理解は難しいように感じる。

これが一番の収穫であった。

また認知症と言っても
・アルツハイマー病=進行する
・血管性=進行は緩徐ないししない
を区別しないと、「不治かつ末期」の定義が異なってくることに気がついた。

まだまだ沢山の仕事が残されている。
頑張ろう。

続きは、1月7日(土)千里ライフサイエンスホールで。

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この記事へのコメント

本日はありがとうございました。
ロールプレイもお疲れ様でした。
会終了後に私もいろいろとご質問させて頂きたかったのですが、熱心にお話をされておられるようでしたのでご挨拶もせずに失礼致しました。

以下に2点ほどコメントさせていただきます。

1.延命治療を差し控えること(withhold)と延命治療を途中で辞めること(withdraw)について、両者に倫理的には違いはないが唯一家族の後悔や負担感に違いがある、という欧米の文献をどこかで読んだことがあります(出典がでてきません、スイマセン)。重大な決断を下さなければならないご家族の精神的なフォローをいかに行うか、という視点も個人的には大切なのではないかと思います。

2.特に緩和ケアの領域においては、近年living willの次の概念としてadvance care planning (ACP)という概念がいわれています。私もまだ勉強不足で説明に自信がありませんが、簡単に言いますとliving willが患者・家族が主体となって最期のことを考えるというものであるのに対して、ACPは患者さんが元気なうちから積極的に医療従事者がコミットして相談しながら今後のことを話し合う、という感じでしょうか( http://www.bmj.com/highwire/filestream/347616/field_highwire_article_pdf/0.pdf )。Living willというよりもACPという方が、市民の方にも理解されやすいのではないかと私は考えています。

以上、長文となり申し訳ありません。
今後とも宜しくお願い致します。

Posted by みどり病院 清水 at 2011年11月20日 12:28 | 返信

はじめまして。同じ問題意識を持ち、発信していらっしゃる先生に出会えて嬉しいです。
胃瘻に関しては、結局は医療者も家族も看取る覚悟ができていないのが問題かなと思います。
生かしておく手段があるのに、なぜしないのか?という問いに答えられるかどうか。個人の死生観にも通じますね。このままでは、胃瘻と呼吸器を経なければ死ねない時代になるのでしょうか?

さすがに99歳にもなれば、まあ諦めもつくでしょうけど、
これが70歳で寝たきりの経口摂取不能になった時、老衰死といえるかどうか?
50代だったら? 明確な線引きなどできませんけどね。

ALSでも事前指示が話題になりますね。大きな問題は呼吸器をつけるかどうか、です。どんなに説明しても、「その時になってみなければ分からない」という人もいますし、呼吸器をつけずに亡くなることを選ぶ、と記載していた人も、いざとなれば「装着して生きたい」と変わる人もいます。

元気な時に、90歳くらいで寝たきりになる想定で「延命治療拒否」を希望していたとしても、想定外に40歳代で寝たきりになってしまえば、「子供が成人するのを見届けたい」希望も出てくる場合があります。
また「家で死にたい」と希望していても、特に末期がんでは体ひとつで帰れることはむしろ少なく、管の1~2本は普通に入っていることが多いですね。すると「こんな状態ではみれません」とか。

とりとめのない文章になりました。また寄らせていただきます。

Posted by 内科医K at 2011年11月24日 10:04 | 返信

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