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診療所も看取りを!

2011年12月02日(金)

医療タイムス11月号に書いた連載記事からの転載。
診療所は、がんの最初と最期を診ている。
私は、それを誇りに思っている。
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冬の時代の診療所経営11月号

診療所も積極的にがん医療に参画を(その3)

 

 診療所は、今後、がんの緩和医療や在宅看取りにもっと積極的に関わるべき。これが今回(シリーズ最終回)、述べたい結論です。超高齢、多死社会を迎えています。3人に1人ががんで死ぬ時代です。「看取りの場」が、病院だけではすでに回らなくなっているのは明白です。今後、在宅や施設での看取りが益々重要になってきます。

在宅療養支援診療所(在支診)制度が出来てはや5年が経過しました。在宅看取りを期待して創設されたであろうこの制度ですが、現状はどうでしょうか。年に1例以上、看取っている在支診は、半数に過ぎません。さらに、在宅看取り数の、4分の1しか在支診が看取っていないそうです。これでは、在支診制度本来の目的が遂行されているとは言えないでしょう。そこでいくつかの工夫を提案したいと思います。

在宅看取りのネックは、やはり365日、24時間対応にあると想像します。筆者は年間、50人前後を看取っていますが、やはり大変な作業だと感じています。若さ、情熱、体力の3条件が必要。そこで、たとえば「長崎方式」のような診療所同志の連携がひとつの解決策です。医師会主導もしくは地域の有志での連携体制作りが急務です。さらに複数医師による診療体制も選択肢でしょう。また在支診と地域の療養病床との連携がこれまで以上に大切になってくると思います。さらには、在支診と在宅療養支援病院(在支病)との連携強化が注目されるでしょう。在支病が往診を行うのか行わないのか、その明確な位置付が早急に望まれます。私見ですが、在支病は在支診の後方支援のみと定義した方が、無用な混乱を避けられるのではないでしょうか。

さて連携の前提条件となるのは、「緩和医療」だと思います。一定レベルの緩和医療がベースにあってこそ、在宅看取りが可能となります。従ってこれからの診療所は、緩和医療の勉強会に積極的に参加すべきでしょう。緩和医療は、医師のみで行うものではありません。看護師や、時には介護職に手伝ってもらう必要があります。今後、緩和医療の、医・介連携も必須であり、地域の診療所がリーダーシップを果たすべきです。これも私見ですが、在支診の条件として、一定数以上の研修医教育を果たすこと、一定数以上の地域における医介連携の勉強会を主催することなどを追加してはどうでしょうか。

「地域医療連携」なしでは、「システム」としての在宅看取りの推進は難しいのではいか。そこで普通の診療所が、無理なく在宅看取りが出来るような制度調整が望まれます。しかし現段階では、数が少なくても自院での在宅看取り希望の患者さんを大切にできるだけ最期まで診ることが、かかりつけ医にとって大切。現実に在宅看取りの4分の3を在支診以外の普通の診療所が担っている事実に注目すべきです。普通の診療所が、昔ながらに、普通に看取っておられる結果がこの数字。直視すべき現実です。「看取りの文化」の再興に、診療所が果たす役割は大きい。来春からの本格的な「地域包括ケア」は、「在宅看取り」からシミュレーションすべきであると考えます。地域の診療所も、積極的にがん医療の最終段階を担うべきです。

 

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