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悲しみと怒り
2012年01月03日(火)
2泊3日の気仙沼滞在で沢山の人と話し込、現地の心情を肌で感じた。
被災地での格差、行き場のない悲しみは、私の中では怒りと変わった。
一見落ち着きを取り戻したかのように見えるが心の傷はとても深かった。
昨日は、気仙沼の面瀬中学の校庭に建っている仮設住宅の
入居者に集まって頂き血圧や生活習慣病の講演した。
講演後、10人くらいの方が個人的に相談に来られた。
全員の健康相談の根底に、深い「悲しみ」を感じた。
身内や知人を失った悲しみ。
また、命は大丈夫でも家や大切なモノを失った悲しみ。
たとえば趣味で2千個の盆栽を育てていたひと。
全て流されたなら、うつ状態になるのは当然だ。
命は助かったけれど、大切なモノを失う事も辛い。
寝込んで外に出て来れないひとが多いことをしれない。
集い場に出て来れるひとは、まだ大丈夫かもしれない。
寝込んで出て来れず結局会えなかった方が一番心配だ。
明らかに興奮状態の人も。
多弁で、話があちこちに飛ぶ。
交感神経の緊張状態が今も続いる。
300坪の敷地に建つ100坪の家に住んでいた人が、
わずか一部屋の仮設住宅で暮らしている。
彼らにとっては、「牢屋」のように感じるだろう。
しかし、そんな贅沢は誰にも言えないし我慢するしかない。
このような慢性のストレスが一番怖いと感じた。
被災者とお話して、やはりそうかと思った。
超元気そうな人が、ヘルペスに罹っていた。
血圧が180に上がっている人も何人かいた。
自覚症状が無いまま、体はストレスに蝕まれていた。
昨日、気仙沼港周辺の様子を書いた。
本吉地区、南三陸町も、何も無いので悲しくなった。
津波で壊れた志津川病院が廃墟のように佇んでいた。
阪神の時は、瓦礫の撤去は想像よりずっと早かった。
今回見た宮城県沿岸は、逆に想像を絶する遅さだ。
撤去というより全壊建物の取り崩しすらまだなのだ。
もちろん規模が全く違うので、比べるのが間違いだが。
悲しい思い出は早く撤去した方が精神衛生上絶対に良い。
PTDS対策とは、まず瓦礫の撤去からだと思った。
さらに被災地における「格差」も気になった。
僅か1mの標高差が運命を分けたのが津波の被害。
言葉が悪いかもしれませんが、天国と地獄。
天国の人は、普通に暮らしておられる。
地獄の人は、仮設住宅で耐えておらる。
当たり前かもしれませんが、私は納得がいかない。
自営業の方の格差も深刻だと感じた。
例えば被災を免れたホテルは、連日連夜の満員御礼。
しかし、被災したホテルは、再建の目途すら立たない。
勝ち組は、復興特需によるバブル景気に潤い、
負け組は、ただひたすら耐えて待つしかない。
ごめんなさい、言葉が適当でなくて・・・
被災者たちは行き場の無い悲しみに耐えている。
でも我慢強い彼らは、怒ることをしない。
しかし私の中では、悲しみが強い怒りに変わった。
小さな漁港に小さな船が何艘か浮かんでいるのが救いだった。
どんな小さな船にも日の丸の旗がちゃんと掲げられていた。
その日本国民全体で彼らをちゃんと支える必要を感じた。
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この記事へのコメント
気仙沼に来ていただき、本当にありがとうございます。
先の見えない復興。
現実との戦い。
また、気仙沼に来ていただける事を願っています。
先生も、お体ご自愛ください。
Posted by ひろくんママ at 2012年01月04日 11:15 | 返信
長尾先生、お疲れさまでした。
気仙沼。。。魚介類が美味しいというイメージしかないのですが、
震災後の現状は凄まじいものなんでしょうね?
阪神淡路大震災を体験されていらっしゃるから思いもひとしおでしょう。
ところで、私は無知ではありますが今、またこれからの東北の復興の一番の
邪魔者は何といっても「原発問題」だと思います。
放射能についてはTV討論でも「推進派」と「反対派」の学者がいて
中には「放射能は体にいい」とか言う人も、「風評被害」という言葉で
東北産物が売れないようですが、やはり国民は国を信じていません。
政府・民主党は政権をとったら公約はほとんどウソだらけ・・・
「安全宣言」=「大本営発表」
であると思っています。
出来れば集団疎開が出来ればいいのでしょうけど・・・
廃村・廃町・廃市、、、廃県まで行くのか?
除染作業って気休めなのか? 本当の事を言えば大変なことになると考えます。
しかしながら、長尾先生は「行った」のだからどんなエライ学者や医者にも文句を
言われる筋合いはないです。尊敬しております。
Posted by kawasaki at 2012年01月04日 01:35 | 返信
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