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疲れない在宅システムを
2012年01月29日(日)
これまで主張してきたのと反対の方向に行こうとしていて悲しい。
「医療タイムス」12月号に掲載された自分の連載記事から転載する。
冬の時代の診療所経営12月号 疲れない在宅療養システムを 長尾和宏
来春に予定されている医療・介護報酬の概要が少しずつ明らかになってきました。社会保障・税一体改革に基づく医療・介護分野での目玉は、診療所に関してはやはり「地域包括ケア」になるのでしょう。ひとつの街がひとつの病院になるのです。中学校区が、ひとつの在宅療養の単位、いわば「見えない病院」になります。在宅医療が、今後も診療所機能の大きな柱になることには変わりありません。「なぜ在宅医療ばかり?」という疑問の声が聞こえてきますが、超高齢・多死社会においては国家施策としてほかに選択肢がないのが実情ではないでしょうか。もちろん、「人間復興としての在宅医療」という本来の目的も大切です。来春以降も引き続き、診療科を問わない診療所の在宅療養への取り組みが期待されます。
宅療養支援診療所制度も当然見直しが必要でしょう。この制度に登録したものの、年間看取りが1例も無い施設や、反対に登録はしていないがしっかり看取りまでしている診療所の再評価も議論に上がるでしょう。また単に看取り数に拘らない工夫も大切です。がんと非がんでは、平均在宅期間が全く違うからです。一方、365日24時間対応をどうするか?という大きな命題があります。複数医師での診療体制は一般的とは言えず、長崎ドクターネットのような医師会が主導する複数主治医制や、岸和田方式のように開業医同士が上手くスクラムを組むことが現実的な対応ではないでしょうか。私はかねてより診療所と地域の療養病床との連携強化を提唱してきましたが、単に介護者を休めるレスパイトケアのためには、ショートステイの活用も推進されるべきです。そこでは当然訪問看護が鍵となります。
特養、老健、グループホームには施設の看護師がいますが、普段関わっている訪問看護がショートステイ中の急変にも関われることが理想だと思います。施設看護師とステーションの訪問看護師との連携も在宅療養継続には大きな鍵になってきます。多職種連携には、これまで以上にITの活用が期待されます。セキュリテイを充分確保したクラウドコンピューテイングの応用も進むことでしょう。ITを介した連携は、市町村医師会の枠を超えた2次医療圏での多職種連携を後押しすることでしょう。在宅医療では嚥下や口腔ケアに熱心な歯科医や訪問看護師が主役となり、在宅介護では良質なケアマネが主役を担う方向になります。診療所経営者に任務は、これらの医・介連携のリーダーシップを取ることです。地域包括ケアの拠点は、地域包括支援センターとなっていますので、今後、診療所は地域包括支援センターとこれまで以上に連携を強化するべきでしょう。
在宅療養を支える診療所をこれまで以上に増やすにはどうすればいいのでしょうか?それは、地域性に配慮した多職種連携を推進して、「疲れない在宅療養システム」を模索することではないか。私も診療所の人間ですが、50歳を超えて、30代、40代とは違う体の衰えを感じます。それぞれの年代に応じた時間外対応をバックアップできるシステムを地域・地域で造り上げることが大切です。また市町村医師会の大きな使命でもあります。疲弊せず長続きさせることができる在宅療養システムを構築する。これが、これからの診療所経営者の大きな使命であると思います。 診療報酬改定は厳しいものになるかもしれません。しかし決して夢の無い時代とは思いません。国民皆保険制度を維持するためにも、本格的な「地域包括ケア」を夢を持って実現すべきだと考えます。
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