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被災地の医療の現状
2012年03月13日(火)
被災地の医療の現状はどうだろうか。
以下、m3より転載させていただく。
福島県立医大のプロジェクトに協力したい。
3/11号 東日本大震災から1年、被災地の医療は今
2012年03月11日
東日本大震災、そして福島第一原発事故から1年。犠牲になられた皆様には、
心より追悼の意を表します。仮設住宅などでいまだ避難生活を続けておられる
皆様には、お見舞いを申し上げます。
◆特集◆東日本大震災から1年 被災地医療の現状とこれから
厚生労働省の集計によると、2012年3月9日現在、被災地で医療支援に携わっ
た医療者は、累計で約3万5000人(資料は、厚労省のホームページPDF:4.18MB
に掲載)。厚労省把握分以外にも、民間ベースで支援を行っているケースが多々
あります。
3月、4月頃にはインフルエンザや風邪が流行、その後も避難生活の長期化に
伴う「生活不活発病」、心のケアの問題などが続いていますが、全国から駆け
付けた医療者の献身的な支援に対しては、被災地から多くの感謝の声が聞かれ
ます。
さて、1年経った被災地の医療は今、どの程度まで復旧・復興しているので
しょうか。岩手県では、2011年8月末で避難所は閉鎖されました。岩手医科大
学理事長・学長の小川彰氏は、「復興の過程を五段階として考えているが、全
壊した三つの県立病院の代わりに仮設診療所が立ち上がり、第三段階まで進ん
だ」と語ります。今は、第四段階として、今回の教訓を次に生かすため、県を
挙げて、「いわて過疎地被災地新医療モデル」の構築を目指しています(『小
川彰・岩手医科大学学長に聞く◆Vol.1』を参照)。
宮城県の中でも、甚大な被害を受けた石巻市では、石巻市立病院(206床)
が全壊、地域の入院医療を一手に引き受けてきたのが、石巻赤十字病院(405
床)。地域では9割近い医療機関が診療を再開していますが、同院院長の飯沼
一宇氏によると、一般外来患者数はほぼ平常に戻ったものの、平日の夜や休日
の患者数は約2倍と多く、入院も増えていることから、震災前から増床計画が
あったこともあり、この3月から仮設の形で50床を増床。
一方、福島県。原発から約23kmの場所にある南相馬市立総合病院では、14人
いた常勤医は一時期、4人まで減少、今は11人まで回復しています。ただ、南
相馬市には看護師不足などでいまだ入院を再開できない病院もあります(『「今、
一番深刻なのは看護師不足」、南相馬市』を参照)。
原発周辺地域以外にも、医療従事者の不足という形で影響が広がっています。
福島県の調べによると、県内にある全138病院の常勤医師数は、2011年3月1日
には2013人でしたが、12月1日の時点では1942人で、71人(3.5%)減少。看護
師は、116病院のデータで、3月1日の1万3119人から、12月1日には170人(1.3
%)減少し、1万2949人(『医師支援のミスマッチ、コメディカル派遣が課題』
を参照)。
総じて言えば、地域差はあるものの、仮設住宅に移った住民に対し、医療を
提供できる体制を構築する段階まで震災後1年でたどり付いています。
これからが本格的な復旧・復興段階ですが、その過程で注目されるのが、医
療を核とした地域再生への取り組み。東北大学では、2月1日に「東北メディカ
ル・メガバンク構想」を実現するための組織を発足、地域医療支援やバイオバ
ンク事業などに着手します(『東北大学医学部長・山本雅之氏に聞く◆Vol.1』
を参照)。
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福島県立医科大学では、この4月からに、新たに医師10人程度を採用し、「災
害医療講座」を発足させるほか、大学内に復興事業推進本部を立ち上げ、「福
島医大復興ビジョン」実現に向け、本格稼働させます(『菊地臣一・福島県立
医科大学学長に聞く◆Vol.1』を参照)。
岩手医大でも、「いわて過疎地被災地新医療モデル」実現に向け、2月から
災害医学講座、3月から災害地域精神医学講座をそれぞれ立ち上げました。
震災1年前後を機に、様々なプロジェクトが立ち上がり、新たなステージに
入りつつありますが、その際にネックとなりそうなのが、政府の対応。m3.com
医師会員への調査では、震災対応の問題点として、政府の対応の遅れが指摘さ
れています(『 「医師不足」が一番の問題、被災3県医師』を参照)。
m3.comでは、被災地の医療が着実に復旧・復興に向かうよう、様々な視点か
らフォローしていきます。
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◆特集◆東日本大震災から1年 被災地医療の現状とこれから東日本大震災か
ら1年(検証・教訓)「医師は、“災害対応力”という二つ目の専門を」
日医医療政策シンポジウム、「災害医療と医師会」を開催
2012年3月11日 橋本佳子(m3.com編集長)
3月11日に開催された日本医師会の2011年度医療政策シンポジウム「災害医
療と医師会」で、世界医師会長で、前ブラジル医師会長のホセ・ルイス・ゴメ
ス・ド・アマラール氏が講演、「世界に安全な場所などない。この10年、自然
災害の頻度は増している。医師には、あらゆる緊急事態を想定した災害対策の
取り組みの中で、大量の死傷者の確認、診断、治療といった作業への一層の熟
練が求められる」と述べ、2011年10月ウルグアイで開催された世界医師会で、
「災害対策と医療の対応に関するモンテビデオ宣言」を採択したことを紹介し
た。同宣言では、「医師が専門領域を超えて、災害に備えるためのトレーニン
グプログラムを受けなければならない」(アマラール氏)とうたっている。
世界医師会長のホセ・ルイス・ゴメス・ド・アマラール氏は、世界的なネット
ワークを組み、災害対応に当たる必要性を指摘。
米国医師会救急医療担当役員のジェームス・J・ジェームス氏も、「災害に
対する対応力と公衆衛生という、医師は二つ目の専門を持たなければならない」
と表現、アマラール氏と同様に、医師が災害医療などについて一定の研修を受
ける必要性を強調した。ジェームス氏は、「災害が発生すると医師の80%は支
援したいと思うが、実際には支援できると考えるのは20%にとどまる」と指摘。
その上で、米国医師会では、ADLS(Advanced Disaster Life Support)、BDLS
(Basic Disaster Life Support)、CDLS(Core Disaster Life Support)の
三つのプログラムを用意し、研修に当たっているとした。また、ジェームス氏
は、「過去に起こったことは単なる序章ではない」など、シェークスピアの様々
な言葉を引用しながら、災害対応の基本姿勢を語った。
災害医療では、DMATに代表されるように、超急性期の傷病者への対応が注目
されるが、医療者に求められるのはそれに限らない。米ハーバード大学医学部
国際救急医学フェローシップ部長のステファニー・ケイデン氏は、「humanita
rian disaster」、つまり「大量の住民の避難や公衆衛生の緊急事態」は、災
害の初期段階だけでなく、長期間にわたり、「避難所、水、衛生、食料、医療」
という基本的な健康ニーズを満たす人道支援活動を展開していく必要性を強調。
その国際的なガイドラインとして2000年に作成され、赤十字社など、世界の
主要な人道支援団体が使用している「Sphere Standards」を紹介、「危機をさ
らに深めることを避けるための最低限の指標」を定めているとした( The Sph
ere Projectのホームページを参照)。指標とは、(1)避難所は、一人当たり
3.5m2以上を確保、(2)水は一人15L確保、(3)摂取カロリーは2100kcal、
その10~12%は蛋白質で接種、(4)1日1万人当たりの死亡は1人未満、麻疹ワ
クチンの接種率95%(6カ月から12歳)――などだ。「Sphere Standards」の
最新版は2011年に改訂されたものが最新版で、日本語版も今年5月に出る予定
だという。
さらに、米ハーバード大学公衆衛生大学院教授のマイケル・ライシュ氏は、
災害対策に求められるのは、「ケア、補償、クリーンアップ(除染など)」と
いう三つの要素であると説明。ケアへの対応は、医師、医師会の役割だとした。
特に福島第一原発事故を挙げ、「福島県から避難した人が全国に今、住んでい
る。その健康管理、フォローアップはいったい誰がやるのか。政府だけではこ
の問題は解決できない。日医と政府が協力して取り組むことが必要」と指摘、
DMAT、JMATに続く、さらなる災害対策が必要だとした。
帝京大学医学部救急医学講座主任教授の坂本哲也氏も、超急性期のDMATの活
動時期を過ぎても、多大な災害医療ニーズに応える必要があるため、「すべて
の医師、医療者が災害医療に携わる必要がある」とコメント。DMATの活動など
では救急医が果たす役割は大きいものの、坂本氏は、「災害医療ニーズに対し
て救急医が果たせるのは一部分」とし、医学部からの災害医療教育や日常にお
ける災害医療の普及啓発活動が不可欠だとした。
シンポジウムでは、海外からの演者4人を含む、計9人が講演。
「放射線について正しい知識を」
シンポジウムではそのほか、放射線医学総合研究所理事の明石真言氏が、放
射線被曝問題について講演。明石氏は、「医師は放射線被曝の問題について正
しい知識を持つべき」と強調。方医研では第一原発作業員の傷病者を受け入れ
てきたが、患者の汚染の状況を測定することにより、方医研の医療者は受け入
れに躊躇することはなかったという。「臨床医学は経験に基づくが、放射線被
曝の症例に遭遇する頻度は少ない。また放射線は目に見えず、被曝しても症状
が出るまでに時間がかかる。医療スタッフであっても、被曝、放射線に対して
不安を抱きがち」(明石氏)。しかし、輸血製剤には放射線照射が行われ、放
射線治療に用いる線源では事故が起きることもあるなど、日常診療でも放射線
は身近なものであることから、正しい知識を持つために、教育・研修を行うべ
きだとした。医学教育においては、2010年度の「モデル・コア・カリキュラム」
の改訂で、放射線関連の教育が盛り込まれるようになった。
日医常任理事の石井正三氏によると、JMATでは、震災後から7月15日までに1
395チーム、続くJMATIIでは2012年3月1日現在で派遣中・派遣済が421チーム、
今後派遣予定22チーム。2月28日までに、計7292人の医療者を派遣している(医
師2967人、看護師・准看護師2015人など)。JMATを中心とした災害医療対応に
ついては、各演者とも一定の評価をしたものの、来るべき次の災害に備えて、
急性期の傷病者への対応だけでなく、それに続く公衆衛生的な観点を踏まえた
対応のあり方について、教育・研修を行う必要性が、本シンポジウムを通じて
改めてクローズアップされた。
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東日本大震災から1年(m3.com会員アンケート)「医師不足」が一番の問題、
被災3県医師◆Vol.6
政府の対応の遅れを指摘する声も多数
2012年3月10日 橋本佳子(m3.com編集長)
被災3県の回答者に、現在困っている点を聞いたところ、「医師不足」を挙
げた医師が最も多く、半数を超えた(複数回答)。次いで多かったのが、「医
師以外の医療従事者の不足」。被災地では、被害が甚大だった沿岸部から内陸
に移ったり、福島第一原発の周辺地域からの人材の流出が続いている。
この人手不足の問題は、様々な要因が絡むため、各医療機関独自で対応でき
ない部分も多い。政府・行政の対応に関しては、政府の遅れを指摘する声が最
も多く39%、県が35%で続き、市町村は21%で政府の半数程度にとどまった。
政府の対応の遅さは、様々な場面で指摘されるが、それに加えて、現場から遠
いほど、その動きが見えにくく、また現場で施策が実行されるまでには時間が
かかることもあり、対応の遅さが目立つのだろう。
一方、被災地以外の医師会員に対しては、東日本大震災による復旧・復興
状況における問題点をどう捉えているかを聞いた(福島第一原発事故を除く)。
最も多かったのは、「政府の対応の遅れ」で69%。県、市町村よりも、政府の
対応を問題視する点では、被災3県と一致している。そのほか、「医師不足」
の問題を指摘する意見も多かった。
福島県では、沿岸部の津波被害に加えて、福島第一原発事故に伴う、健康・
医療問題への対応が求められている。その問題点を聞いたところ、トップが、
「放射線被曝と健康問題に対する広報不足」で70%と高く、震災・原発事故対
応への問題点を質問した「Q5」と「Q6」の中で最も高かった。「放射線量に関
する情報不足」との回答も過半数を超えた。放射線被曝は、原発周辺地域に限
らず、様々な地域で関係する問題であることが、関心が高い理由だろう。
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