３年前まで、がんの相談が多かった。
今もあるが、がんを遥かに凌駕するのが、認知症がらみの相談だ。
風邪や生活習慣病のついでに聞かれるのも身内の認知症の相談。

一番多いのは、病院に連れてこれないこと。
２番目は、入れる施設（病院や住宅）の相談。
３番目は、お金の相談。

特養は１０年待ち。
病院は入れてくれない。
グループホームは、月額２０万円。

どれにも該当しない方が、毎日、相談に来られる。
今日は、噂の「小規模デイ」を紹介した。
正確には、お泊り付き小規模デイだ。

御家族はもう、どこでもいいのだ。
ただし、値段が安いことが絶対条件。
不景気で子供たち自身がお金が無いのだ。


そういえば認知症薬のＴＶコマーシャルにも大変迷惑している。
あのＣＭのおかげで、毎日、同じ説明を幾度も余儀なくされる。
患者や家族は、「新しい○○」の「新しい」という言葉に実に弱い。


認知症薬栄えて、認知症療養の場、滅ぶ。


私は、エライことになっている！と思っている。

お国は、がん対策ばかりやっているように見える。
本当は認知症対策の方が最優先課題なのに。
こんな現実すら、現場を知らない人には届かない。

「安易に認知症、言いすぎ！」と、怒られるかもしれないが、
もの凄い勢いで認知症が増えている。
どうなっちゃうんだろう、この国は？と思う。

尼崎市は、がんの訂正死亡率が、全国自治体ワーストワン。
メタボの有病率も、県下でワーストワン。

ということは、おそらく、認知症の有病率も全国ワーストワン
だと密かに思っている。


明日の夜は、ある夜間高校の学生たちの健康診断だ。
年２回、全員に「健康」の授業をボランテイアでしている。
尼崎からがんを減らすにはどうすればいいのか、聞く。

いろんな意味で、遣り甲斐のある町で医業を生業としている。
そんな町で町医者ができる幸運を感謝している。
認知症予防こそが、そのお礼返しになるかと感じている。