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なぜ総合医なのか

専門医のための総合医

2012年05月18日(金)

医師会が嫌う総合医議論が活発化している。
「私のかかりつけ医になってくれますか?」と聞かれて
「はい、いいですよ」と答えられる医師が総合医だという。

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以下、m3から引用させていただく。

総合医はなぜ必要か

総合医が必要な四つの理由◆Vol.1

専門医が活躍するためにも総合医が必要

2012517日 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

  総合医とは何か、果たすべき役割は何か、基本領域の専門医として位置付

けるべきか......。かねてから総合医をめぐっては何度も論議されているが、関

係者の間でもいまだに同意が見いだされていない。こうした中、昨秋から開始

した厚生労働省の専門医に関する検討会では、総合医の問題が取り上げられ、

改めて総合医への関心が高まっている。

 m3.comでは、総合診療の領域でオピニオンリーダーの一人、聖路加国際病院

院長の福井次矢氏と、総合医養成に力を入れ、その取り組みが注目されている

筑波大学医学医療系地域医療教育学教授の前野哲博氏の対談を企画、総合医を

めぐる現状や養成に向けた課題などについて語っていただいた(対談は2012

422日に実施。計6回の連載)。

――最初に総合医の必要性について、改めてお考えをお聞かせください。

福井 今年1月の厚生労働省の「専門医のあり方に関する検討会」で私が説明

した時には、総合医の必要性について、四つの視点からまとめました(資料は、

厚労省のホームページに掲載)。臨床の現場で頻繁に起きていることですが、

「お腹が痛ければ、消化器の病気だろう」「胸が痛ければ、循環器の病気かも

しれない」などと、多くの一般の方は考え、それぞれの臓器別専門医を受診し

ます。しかし、消化器、あるいは循環器の病気ではないこともしばしば起きま

す。「症候」から考えられた「診断」が、受診した医師の専門分野から外れる

ためになかなか診断が付かず、患者さんにデメリットが生じることがあります。

つまり第一は、専門性にこだわらず、全体的な視点から問題点の仕分けが的確

にできるタイプの医師が必要だということです。

福井次矢氏は、「東日本大震災の被災地では、臓器別の専門医よりも、幅広い

診療能力を身につけた医師の方が対応できる問題が多かったことが、いろいろ

な場面で指摘されている」と語る。

 第二が、高齢社会にあって、数多くの病気を持っている人が、ますます増え

ている点。2011年の聖路加国際病院のデータですが、患者一人当たりの疾患数

65歳以上で4.665歳未満で2.3、一人当たりの受診診療科は65歳以上で4.3

科、65歳未満で2.5科という状況です。

 第三が、地域医療という視点から捉えた場合、医師が扱うべき疾患や健康問

題の幅広さ、多様さが挙げられます。私たちが、200310月に調査した結果で

すが、人口1000人に換算すると、1カ月間に何らかの体調の異常を訴える人が8

62人、医師を受診する人が307人いて、そのうち大学病院外来受診者は6人、大

学病院に入院するのは0.3人にとどまりました(JAMJ.2005;48:163167)。

 第四ですが、総合医による医療提供の有効性・効率性です。臓器別専門医を

増やすよりも総合医を増やす方が、より効果的な医療提供が可能になるという

研究があります。米国ペンシルバニア大学の研究者のグループが、「人口1

人当たり、プライマリ・ケア医が1人増えると、死亡率が5.3%低下する」とい

うデータを発表しています(International Journal of Health Services.200

7;37:111-126)。

 さらに、今回の東日本大震災の被災地では、臓器別の専門医よりも、幅広い

診療能力を身につけた医師の方が対応できる問題が多かったことは、いろいろ

な場面で指摘されています。この点も含め、厚労省の検討会で、総合医の必要

性を説明しました。

――前野先生は、どうお考えでしょうか。

前野哲博氏によると、「『私のかかりつけ医になってください』と言われた時

に、『はい、いいですよ』と言うことができるのが、総合医」だという。

前野 総合医の必要性は、我々、総合医自身は常日頃から感じて、主張してい

るわけです。一方で、臓器別の専門医の立場から見れば、「うちだって足りな

い」と考え、自分の領域の医師を増やしてより良い医療をやりたいという思い

は当然あるでしょう。専門医の先生方は、総論では、総合医の必要性を理解し

つつも、「日本の医師の配分のあり方はどうあるべきか」という各論になると、

なかなか議論にならない。

 こうした場合に、私がよく話をする論点が二つあります。一つは、「臓器別

の専門医がその専門性を発揮するためには、総合医が必要」だということ。福

井先生がおっしゃったように、患者さんが抱える問題は複雑であり、胸が痛い

からと言って、心臓の病気とは限らない。専門医の先生方は、自分の領域に純

化した患者さんだけを診たいと考える傾向がありますが、例えば「胸が痛い」

と言って受診した人を、循環器の先生が診る場合、自分の専門以外の病気もひ

っくるめて診なければいけない。もし、まず総合医が診て、きちんと問題を整

理してから専門医にお願いする形ができれば、自分の専門領域の診療に集中で

きるわけですから、専門医にとってもそれが最も効率がいいわけです。

 もう一つは、総合医の最終的な目標は、「丸ごと診る」ことにあるというこ

と。なぜ総合医が呼吸器、循環器、消化器などの特定の臓器に限らず幅広く診

るか。それは「個人、家族、あるいは地域を丸ごと診る」ためです。例えば、

「ある地域の健康を守る医師」をイメージしていただければ、骨折だけ、ある

いは子供の病気だけ、女性だけを診るなど特定の病気だけを診ていては対応で

きない。地域には男性もいれば、大人も子供もいる。内科疾患も外科疾患も有

病率の高い順に発生します。「まるごと診る」という観点から考えると、臓器

に限定することはできない。診ようとする対象が、「臓器」でなく「地域」で

あれば、ジェネラルにならざるを得ないのです。

 また、一人の人を、かかりつけ医として継続して診るためにも、ジェネラル

であることが必要。かかりつけ医の定義はいろいろありますが、私の考えでは、

「健康について何か心配なことがあった時に、何でも相談できる医師」だと思

うのです。その人は将来、ケガをするかもしれない。風邪を引くかもしれない、

下痢をするかもしれない。「私のかかりつけ医になってもらえますか」と言わ

れた時に、「ケガをした時だけは診ましょう」と答えたのでは、かかりつけ医

とは言えない。かかりつけ医になるためには、日常的に発生する様々な健康問

題に幅広く対応できるジェネラルな力が必要。

 つまり、総合医とは、「地域を丸ごと診る医師」あるいは「『私のかかりつ

け医になってください』と言われた時に、『はい、いいですよ。どんなことで

も気軽に相談してください』と言える医師」。若い人に、総合医のキャリアイ

メージを話す時には、「何でも診るのが総合医」というよりは、このように説

明した方が具体的にイメージしやすいと思っています。

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